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うん。
10thが自分の命をかけて護る相手。
その相手も10thを命かけて護る、と、
それらしき事は本人に言ったらしいんでな。
俺か9thにコンタクト取ってるかと思ってな。
[そうであれば、確実にどちらかは判るからな、とは添えて]
…は。
あいつがそんなに簡単に
死ぬタマじゃねぇだろ…
[未だに脇に挟んだ拳の感触が残っている。
呆然とした声は、ひどく乾いていた]
…デンゴ、お前の日記には、
何か書かれてねぇのか…?
[10thの行動が書かれているなら、と。
期待を込めて少年を見た*]
[言葉無く階段を上がる。
クルミとヨシアキが何かこそとしている事に気付いても何も、言わないし云う気もない。
薄暗い中、横たわる死体。
身を持って強さを知っている男の。
無言のまま見下ろして立ち尽くし
クルミの声に、やっと顔を、上げた]
[差し出されたポールを、俯いたまま怪我していない方の手で受け取る。
誰の顔も、見ない。
見下ろすポールにこびりついている血は自分のものだ]
…ん。
で…7thが死んだのか。
残りは10人。
まだ終わんねぇな。
[低く溢す声は掠れていて。
10thの死体の側に屈み、一度、触れた]
こいつ、一番上に連れてっていいか。
[言いながら誰の答えも待たずに
10thの身体を苦労して背負う。
指が酷く痛んだから
手伝いを申し出てくれるなら頷く心算。
階段を上がり屋上へと出ると、
薄紫色と桃色のグラデーションの朝焼けが
空一面に広がっていた]
…ここなら、見えんだろ。
[開けた場所に、どさりと乱暴気味に死体を置く]
俺は大丈夫だ。
まぁ…怪我の礼が出来無くなったのが、
残念だけどな。
[クルミにもヨシアキにも心配された事に
やっとここで返す声は、態と明るい。
完全に、負けた、敵、だけれど
殺せたのに殺さなかったのは、
借りだとも思っている。
複雑な感情は言葉にはなりそうもなく
ただ、酷く疲れを感じていた]
…これで、足止めは無くなったわけだな。
[悪態ひとつ置いて、去っていく2ndの背を見た。
そこに佇む4thも一度見て、目を眇めた]
[クルミからポールを受け取り、握る。
それから]
…俺は、少し休む。
デンゴはちょっと来いよ。
[ヨシアキとクルミに言って、少年の手を取った。
階段で、画面の内容は見えなかったが、2人が隠して何かするならいない方が良いと思ったから。
問を向けない理由はひとつだけだ。
デンゴが拒否しなければ彼を連れて階段を降りる]
デンゴ、疲れてないか?
[階段を降りて、うろうろと売り場を歩く。
適当に降りた場所はスポーツ用品売り場で
木や金属の棒がちらほら置かれているのに、
あぁ、クルミが言っていた場所はここかと思う]
じゃあ少し寝よう。
実は俺が限界だ。
…俺の事が判るのはお前の日記だから、
悪いが、こうさせてもらおうと思って
連れてきたんだ。
[良さそうだと潜り込んだのは、
展示用のキャンプテント。
デンゴも引っ張り込むと捕まえておくつもりで
その細い手首を握ったまま横になったが
眠りに入ってすぐにそれは解けてしまい。
あまり意味を成さなかった*]
ん…
[それほど長い時間でなかったかもしれないが
とても深く眠ったようで、思い体を持ち上げた。
夢を見ていた気がする。
子供が夜に隠れているとか、何とか]
…っ、くそ、デンゴ。
[手は離してしまったらしく、彼はいない。
全身でホールドしておくべきだったか、と
見当違いの事を呟いて、のそのそとテントを出た]
[ポールを手に拾い、握ってみる。
負傷した手は力を込めて握れなかったが、
それでも随分とマシになっているようだった]
喉乾いたな。
これでいいか。
[近くにあったスポーツドリンクを開けて飲んだ。
それから、随分と開いていなかった日記を開き、目を落とす。
最早過去となった自分の行動に、目を眇める]
[そして読み進めていくうちに、目が見開かれる。
瘡蓋残る顎を突き出して]
ふぅん。
良い事書いてあんじゃねぇか。
[飲み干したペットボトルを握りつぶして、放る。
口元の紅が、その飲み口に移っていた]
DEAD END…―――か。
出来るモンなら、やってみやがれ。
[日記を、パタリと閉じて。
その内容は頭に入れて、にやりと笑みを浮かべた]
[随分と間取りも覚えてきた。
魔法の動く階段に乗って、下へ降りる。
クルミやデンゴと周った辺りを歩き
果物とパンを取ると、食べながら歩く。
ポールは手から、離さない]
…腹が減っては、ってね。
お、ここは治療用のものを貰った所だな。
[ドラッグストアに入ると、
見たことのない物が並ぶ中を歩いた]
え?
これを飲めば痛みが無くなるのか?
そんなものが、この世界にはあるのか!
すげぇな、無敵じゃねぇか。
[鎮痛薬を入手し、店員に聞いて飲み干す。
指の痛みが無くなれば、まだ戦える筈だ。
残りはカーゴパンツのポケットに入れて
ドラッグストアを出て日用品売り場へ。]
[それから、大工工具売り場で色々物色する。
チェーンソーの凄まじさに持って行きたかったが、サイズと音に諦めた。
釘やボルト等、細かい物をポケットに詰めて
片手でパラリと日記を捲った]
…武器を入手、と。
[頷いて、大工工具売り場を後にする]
だな。
何か、納得行くもの、見つけたか?
[軽い口調で言いながら、
視線の先に気づいて、ポールを持ち上げる。
自分の肩をトントン叩き]
スケベ親父のモンだよ。
今は、俺の武器だ。
[重い。]
そうか。
まぁ…難しく考え過ぎてんじゃね?
俺は頭悪いから、考える事も少なく生きる。
[苦笑する相手に、真顔で言って。
続いた言葉には頭を横に振った]
いや…別にそんな心算はねぇよ。
むしろ殺し合った仲だ。
ま、俺の武器と形状も似てるし。
これだと魔法の存在も忘れられそうだしな。
[自身の杖は、魔力を増幅するものだから。
此処では使えないそれに頼るわけにはいかない]
…名前、なんだっけ。
殺す覚悟が無かった?
あぁ、そうかもな。
お陰で俺は、命が助かったからな。
[肩を竦めて笑って見せたが、
どうにも 歪んだ笑いになった]
俺は、ソラ、だ。
キシコハル?長ェな。キシでいいか。
…キシ?あんた、騎士か。
[自分の世界では、前線に立って盾となる職業。
音で気づいて、思わず笑んだ]
なァ、キシ?
今から少し、付き合ってくれねぇか?
まぁ、俺とやりあった時は、
殺す気には見えたんだけどな…
その後、生かされた。
[は、と息を吐いて。
承諾が得られれば、エスカレーターへと向かう]
居てくれるだけでいいからさ。
俺の未来、って奴。
騎士と共に、ってのは無かったから
[きっと、と、その先を飲み込んで。
エスカレーターを降りたのは4Fだった]
うん、それでいい。
日記には一人で、と書かれていたんだ。
[コハルには頷いて、足を踏み出す。
何やら見た事のない機械の並ぶフロアの中
通路のベンチに、2人がいた。
12thと2nd。
壁際に身を寄せて見つからないように、
そっと 2人の背中側から、近寄るが]
…本当、不意打ちってのが全く出来ねぇってのは考えもんだぜ。
[気付かれたらしきに、舌打ちをして2人を見た]
ん。
聞きたい事なら聞くぜ?
ただ、あんまり、時間はねぇが…
[チラリと見るのは、柱時計。
コハルの問いには態と、声は返さなかった]
大人しく殺されてなんかやるモンかよ!
[日記に現れたDEAD ENDの文字。
チラめくそれを打ち払うように、
手にしたポールで風を切った]
そんな事言われて信用できるかよ。
…俺の日記には、
此処で俺が殺されるって出たからな。
[ギリ、と、力を込めてネギヤとマシロを見て。
ポールをぎり、と、前に構えた。
怪我をしている手は、添えるだけ]
今、だよ。
時間ねぇって言ったろ。
[回避するという思考はソラには無い。
ぶつかってぶち破るだけだ。
そして何かを変える為に、
要素として無かった騎士を連れてきた。
12thに闘う意志が無いと見て、
視線は自然とマシロに留められた。
あちらか、と、小さく呟く]
あー、やっぱりな。
そうじゃねぇかとは、思ったんだ。
[混線する日記。
合ってたよな、とは思いつつ]
…つまり、あんたらは鬼だけを排除する、んだろ?
で、さっき、1stと4thって言ったよな?
なら、やっぱり俺は。
あんたらを自由にはしておけねぇ。
…カノの動向見てんなら知ってんだろ?
[組んでいる事を。
低い声で告げると、ポールを振りかぶった]
[蹴り倒された展示品を小さくジャンプして乗り越え
足は地面を蹴って、そのまま2人を追った。
いかつい客にぶつかったが文句も言われない]
待て、よ!
[伸ばした手が掴んだのは、展示品の電気ポット。
駆けて追いながら2人へと投げつけた]
[電気ポットは当たる事無く、
ガシャンと何かを壊して落ちたらしい。
展示品が並ぶ狭い道に入り込んだマシロを追い、
またとりあえず触れたものを放り投げた。
電気シェーバーのようだったが、
勿論ソラには何かは判らない。
駆けこんだ通路の幅に低く舌打ちを漏らし
ポールは縦に持ったまま。
マシロへの距離を詰めようと、
更に蹴る足に力を籠めた]
[狭い通路、蹴りつけられる足を軽く跳躍してかわす。
逆の位置になりながら縦に振り下ろしたポールは、
薬缶に当たり、高く大きな音を立てた]
…いい得物持ってンじゃねェか。
[く、と口の端を上げて。
包丁を持った手首をめがけて、
真っ直ぐにポールを突きだした。]
さぁ、ね?
[薬缶に跳ね返ったポールが負傷した指に響く。
ぐ、と眉を顰めて答えを返すと共に
一瞬足の動きを止めたから、
包丁は手の甲を掠めて 赤く線を描いた]
あんたが12thを逃がそうとするのと、
別に違わねェんじゃねェの?
[ぐる、と身体を大きく捻り
包丁を持った腕の肘辺りを狙って
伸ばした踵を上から落とす]
…あんた、慣れてンな…ッ!
[振り下ろした足を地面に下ろし態勢を整える前
突き出された包丁にポールを地面に落として
彼女の手首を捕まえようとする――が。
思っていたより素早い動作に僅かに間に合わず、
その切っ先が自分の脇腹へと飲み込まれていた。
それ以上刺されぬよう、力を籠める]
……やるじゃん。
[にぃ、と笑って、余裕ぶって見せた]
…諦めなんて言葉は、俺の辞書には無ェな。
[間近に見詰められる顔に、更に壮絶な笑みを作る。
痛みが、薄い。
だからまだ思ったより動けそうだ。
それは先ほど飲んだ鎮痛剤のおかげだとは判らないが。
包丁を握るマシロの手を握った手のうち、力の余り入らぬ方を離して、ゆるゆると逆の脇へと手を伸ばす。
短剣ケースに入った包丁がそこにはあるから]
無駄で悪かったな?
[そして眉を立て、手首を握った手を捻ろうと力を籠めた]
やなこった。
あんたが諦めな。
あんたの世界ごと。
[押し込められた包丁が身体の中で嫌な音を響かせる。
蹴りが入るのは視界に収めていたが、
掴んだ手首は離さずに、更に力を篭めた。
逃さない、と、呟く声は、低い]
けふ、
[至近距離の蹴りは鳩尾に入り、
身を折るけれど。
逆の手で短剣の柄を上着の内側で握った]
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