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[こんぺいとうが降りました]
[後ろで声が聞こえます]
……運がなかったな。
[振り返らずに、境内へと続く階段を上って行きます]
[石木の声に、階段の途中で足を止めました]
さあてな。
どうなるかは、神とやらに聞いてみたらどうだ?
計画は立ち消えにはさせない。
[振り返ることはなく、その表情は下からは窺えません]
神は死なねばならん。
人に神が必要だったのは、遠き昔のこと。
時代は移ろい、人は自らの手で強くなった。
今や、神はいつまでも過去の栄華にすがるだけの存在。神という名の権力に執着する、ただの亡霊。
[面の下の表情は見えず。ただ静かに言葉を紡ぎます]
運命か。
ミドリ、そんな言葉で死を片付けられる程、お前の心は強いか。
語れる程に、死を知っているのか。
俺は誰かの為に戦うつもりなどない。
全ては自分の為。生き物とはそういうものだろう?
ただそこに在る、か。
[面の下でおかしそうに笑います]
存在するだけで、悪。そんな存在があったならば。
それは排斥されるべきとは思わぬか?
例えば、黒くてテカテカした大きな虫が多数、部屋の中を蠢いていたら。
そこに在るだけ、と許容できるか?
さてな。
人に混じり、細々と生き延びていると聞くが。
聞きかじった伝承に過ぎぬ。
色々と理由はあったのだろう。土地への愛着、仇敵への復讐に
……呪い。
[目の前へと歩み来る石木を、面の下の瞳は静かに見つめています]
くく。自らを女と呼ぶのは意外だ。
……見え透いた挑発には乗らぬ。
手伝いだと。ほう。
何か勘違いをしているようだが。
神を殺したとて、皆が戻るなどと言った覚えはない。
むしろ神を殺すことで、その手段さえなくなるやもしれぬ。
[そうしてミドリへと視線を向けます]
神がいるなら、俺は鬼だ。摩訶不思議な神隠しの話、どう説明をつけるというのか。
神がいなければ、俺は人だ。20世紀も半ばを過ぎて、そんな非科学的な話があるはずがない。
さて、結論は?
博識だな。だがカミの一種ならば、どうした。そんなことは何の意味も持たぬ。
……は。仲間など、いない。
[一言の元に切り捨て]
少しは人の話も聞いているようだな。
さてな。確かめたことはないし。
[確かめようとも思わん、と吐き捨てるように]
……神の力は俺には通じんよ。
通じるのなら、わざわざ信者を使ったりせんだろう。
話す必要もないことだが、どうせあんたに嘘は通じないだろうからな。
[仕掛けを警戒しながらも、見た目はぞんざいに布の包みへと手を伸ばします]
何だ、これは。
……鈴?
[掌の上で転がす度に、ちりり。ちりり。
その様子を鬼の面が見つめていました]
[最後に言われた言葉は聞き取れずに、一瞬顔を上げます。
そうして意識は再び、鈴へと]
[鈴の音に、心が乱れます]
……呼び声なんて聞こえない。
そんなものはただの音だ。空気の振動だ。
神と同じ!夢と同じ!
何もない現象に、人が勝手に意味を付与して、幻を形にするのだ。
チがウ!そんな物は無意味だ。ただノふるイスズにスギナい。
騙されるナ。イマ必要なのは変革。道路ニ鉄道、てれビに電気。発展シタ豊かで文化的な生活。
[鈴と会話をする少女に、無表情な鬼の面が向きます]
ニュータウンカケイカクサエジツゲンスレバ、スベテガウマクイクノダ。
フレルナ!
[鈴ごと包む手に、口をついて出たのはいつかと同じ台詞]
[声は異常な程の低音で、波長も安定していません。面の口元から唾液が流れます]
スズもカミカクシ、も、こんぺい、トウもテ、ガみモ、なにもか、もガ幻。
ヒトがヒトハヒトがカワラねばならナイカミがカミハカミヲコわさねバならナイ
ココニいるのハ、げんじツの生き物。チガウ違ウチガウカミはイテハいけないいてはイけナイ
……ここにいる、オレは――ダレ?
[プレーチェに鈴を投げつけると、石木に向かって赤の木刀を大きく*振りかぶります*]
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