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―船内一室―
んぁ…?
[床に大の字に寝ていた。
天井の色が昨日までと違う。
不思議に思いながらも、のそのそとベッドに上がり*眠りへ落ちた*]
―船内一室―
[ベッドの上、顔をしかめた後、うっすら目を開く]
いたぃ…。
[鈍い痛みを覚える右手をさすり、目前にあげ、何かがおかしいことにようやく気付く]
ここ、どこ?
[起き上がって部屋を見渡す。
昨晩袖を通したパジャマを身につけたままだった。
ベッドに投げ捨てられたような衣服を見つけて]
…ご丁寧に。
[深緑のペイズリー柄のロングスカートに、白いシャツの上にカーキ色のカーデガンを羽織って部屋を出ていく]
[人気のない廊下を進んでいく。
奥の一室から物音が聞こえ、扉をノックすると、中からアーヴァインの声が入室を促す。
踏み込んだ室内には、アーヴァインの他にローズマリーの姿もあって]
お久しぶりです〜。
[脱力して、近くのソファーにぼふ、と座り込んだ]
ローズマリーさんは元気そうですね。
[部屋の様子から察してはいたものの、実際に無事な姿を見ると安堵のため息をこぼして]
ラッセル君は?
よかったよかった。
[ローズマリーに、左手でピースサインを返す]
そうなんだ、ラッセル君も無傷だといいけど…。
[部屋の壁際で光る、モニタの画面に視線が釘付けになった]
随分手が込んでるんですね。
[ローズマリーの言葉に、くすくす笑い出し]
確かに。
こんなカメラあるの全然気付かなかったし。
アーヴァインさんの会社が用意したのかな?
おっかねもち〜。
[ローズマリーの視線を追って、仰々しい椅子を見やる]
司令官気取りしてるうちに寝てるとか?
腕組したままいびきかいてたりして〜。
[耳をすませば、そんな音が聞こえるかもしれない]
…冗談で言ってたことが、もしかしたら当たっちゃってたんだったらどうしよう。
[モニタを見つめ、上にいる顔ぶれを*確認している*@離席]
ローズマリーさん、おやすみなさい〜。
[アーヴァインと2人きりになった部屋には、寝息が響いている]
あとひとり……。
[モニタに写るレストランを見つめながら、ソファーの上で足を引き寄せて抱え込んだ]
ざっつらいと!
[扉の向こうの声に答える。
まん次郎の声であることを認識すると、冗談が本当になってしまったのだという思いが頭を占めた]
[よろよろと扉に歩み寄って、ノブを回した]
さっきまで、ローズマリーさんもいたんです。
ラッセル君は、まだ来てないらしくて、あ、でもローズマリーさんも無傷だったから、きっと大丈夫だと思うんですけど。
[額に触れられた拍子に扉から手は離れ、目が泳いだ]
まん次郎さん、なんともないんですか?
上の人たちも騒いでるんですけど、睡眠薬みたいのが、使われたんじゃないかって…。
たかがミステリーツアーでそんなもの出てくるなんて思えないですけど。
[促すように、扉の前を空ける]
アーヴァインさん、悪の総帥みたいな気分かもです。
[椅子の向こうで寝息を立てているアーヴァインに視線を向けて]
[振り向くと、まん次郎の顔を真っ直ぐに見上げた]
覚えてますか?
昨日、次にいなくなるのはまん次郎さんとあたしかもしれないですねって言ったこと。
[頭の上の包みに手を伸ばすと、中身を確認する]
どうしたんですかこれ?
[部屋を見渡し小さな電気ポットを見つけると、そこに近づいてコーヒーを淹れようとする]
あたし、昨日寝る前にちょっと思ったんです。
アクターか劇団員は、連れ去る途中で中断せざるを得ないハプニングが起きたんじゃないかって。
本当は、ローズマリーさんとラッセル君、まん次郎さんとあたしの4人を連れて行きたかったんじゃないでしょうか。
2人ずつ部屋を結ぶと、Xの文字になります。
Xが頭文字の人なんて…いないですね。
ここに連れて来られた時点で、もう考えてもしょうがないのかもしれないですね。
[コーヒーを入れたマグカップを差し出して]
ブラックでしたっけ?
[自分の分は、砂糖とミルクをたっぷり入れてある]
X線…レントゲン?
骨?
安眠妨害したらかわいそうですよ〜?
[アーヴァインから距離を置いて、ソファーに腰をおろした]
あたし、気付いたら床に寝てたんです。
ベッドにあげられない人が犯人なのかも。
もしくは、あたしなんて風邪をひいてしまえという怨恨説。
[真剣な顔で、クッキーを一つ摘んで口に放り込んだ]
[レストランで繰り広げられる推理を見ながら]
あたしにチョコをくれたのは、まん次郎さんとカミーラさん。
カミーラさんのチョコは、メイちゃんにもおすそ分けをした。
…まん次郎さんは昨日、ラッセル君の部屋が隣だったことを失念していた。
あたしには、あれが演技には見えなかった。
チョコは、ばら撒けばほとんどの人が食べると思って、適当に配っていただけなんじゃないかな。
>>+37
え……。
まん次郎さん、ベッドの上で目覚めたんですか?
えっと、じゃあ、まん次郎さんを運んだのがギルバートさんで、あたしは誰か他の人がずるずる引きずって。
[クッキーに伸ばした右手に視線を止めた]
昨晩塗ったばかりのマニキュアが、剥がれてます。
あと、実は手首が少し痛いんです。
[ぶらん、と手をもたげて、まん次郎に見せた]
ローズマリーさんの部屋を一人で捜索するのも躊躇する人ですよ?
ギルバートさんが誰かをさらうなら、男の人だと思うな〜。
今気づいたんだからしょうがないじゃないですか。
どういう運ばれ方したら、こうなるんだろ。
[手首を動かされ、うーん、と眉間に皺を寄せ]
筋肉痛と大差ない位です。
あたしは、壁に激突するような寝相じゃありません。
[しっかり聞こえている]
大丈夫ですよ。
さっきまで忘れてた位ですから。
[ぼんやりと右手首を見やって]
まん次郎さんは、違いますよね?
[数回瞬いた後、窺う視線を向けた]
[まん次郎の返答に、小さく首を振る]
そうじゃなくて。
あたしを連れ去ったんじゃないですよね?
[手首を左手で支えて胸に抱え、ぽつり呟きながら視線を落とした]
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