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[は、と祈りを止めて顔を上げる。揺り椅子には毛布が掛けられているだけで]
……御慈悲を…。
時間という名の御慈悲をどうか…。
[その場にへたり込んで、先まで揺れていた椅子の動きが止まるのを呆然と見つめていた]
[キャロルの手に我に返り、ぎこちなく笑って見せた。それは上手く出来ただろうか]
…確かに、私達は死んでおります。
ただ…本来ならばこの魂は直ちに主の御許へと誘われるのですが、強い何らかの思いがこの地に私達を留めているのだと思いますわ…主もその思いを叶える事を一時お許しになられたのでしょう。
しかしそれは生命の法則から離れた事、主もいつまでもお許しにはなられないでしょう。
…先程ユージーンさんも仰っておられましたが、時間はあまりないと……私も思いますわ。
デボラお婆様やメイさんが消えてしまったのは…申し訳御座いません、私にも解りませんの…。
ただ、単に時間だけの問題ではないようにも思えますの。
[落胆してはいるものの、饒舌に語る気力だけは残っていたらしい。真っ直ぐにキャロルを見上げて答えた]
[肩に強い力がかかるのを、堪えるように眉を歪ませて]
…主の御考えはいくら聖職者と言えど、人という存在である以上全てを理解し汲み取る事は不可能ですわ…。
でも、不安な思いをさせてしまうような事を言ってしまって…申し訳御座いません…。
[再び俯いて、握ったままの十字架を撫でた]
寂しく、なってしまいましたわね…。
[キャロルがメイに問い掛けた方、一際賑やかだったはずのその場所を振り返る。]
でも…あの時のように辛くは、ありませんわ…。
今度こそ、きっと。
お2人は主の御許へと誘われ、この出来事の意図をお聞きになられているのですわ。
[そっと目を閉じてメイとデボラの面影を思い出し、祈った]
―回想・いつだったか過ぎた日の教会―
えっ…?牧師様、本当ですの?彼が…コーネリアスが帰って来ているんですの?
[ぱ、と解り易すぎる程に明るくなる表情に牧師は苦笑し]
『だがまたいつ旅に出てしまうか分からない。じきに丁度あの集会所へと行くだろうからきっと逢えるだろう』
本当ですの?
あ…申し訳御座いませんわ、私はお勤めが御座いますのに私事ではしゃいでしまって…。
『はは、そうだね。そちらの方は長く掛かるかも知れない、儀礼用に大切に持っているあの十字架は忘れないように。』
でも…牧師様が執り行わなくてもよろしいのですか?
私のような修道女が1人、お式のお手伝いだなんて。
『恐らく中心になって行うという事は無い筈、それならば大丈夫だろう。こちらは別の式を受けているので行く事が出来ないんだ』
[1人で派遣、という事態に一抹の不安はあったものの、どこかそわそわした様子なのは幼馴染にまた逢えるかも知れないという期待からか]
『そうだ…云いそびれた事があってな、ひとつ伝言を頼まれてくれまいか』
あらまあ、なんですの?
『―――』
[それはたった一言の、父としての願い]
(遅いかも知れませんが…私は伝えませんと)
[顔を上げ、顔をぷるりと震わせて思考を*元に戻した*]
[いつの間にか耳を澄まし、2人の話を聞いていた。だからハーヴェイの言葉の断片が聞こえてしまったかも知れない。]
『──… えてし え。』
――!
ハーヴェイさ……
[制止しようともその姿は既に階上へ消えた後]
貴方は、何色?
―現在―
[キャロルの花嫁姿を、何処か羨ましげに見つめながらもその元へと跪き手を組んだ]
本来なら牧師様からの祝福があるはずなのですが…今が今ですので、代わりに私が務めさせて頂きますわ。
…おめでとう御座います。
[これから先の幸せなど無い、そう思うものの
魂を視る力しか有しない自分も祝いたかった]
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