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―「かなた」内・一室―
……あ?
[目を開くと、見覚えのない天井。
ゆっくり上体を起こし、部屋を見渡す]
なんだ……?
[ずきん、と痛む頭を押さえて立ち上がる。
身体が、ありえないほどに軽い]
[部屋を出て行った、ユウキとヨシアキの後ろ姿を見送って]
……行っちゃいましたねぇ……。
何で呼び出されたんでしょか?
何か悪いことしたのかな??
…なんやろねぇ?
同性同士の恋愛行為は風紀に反するからとかやろか?
[彼らが火星探索調査隊として宇宙へ送り出される事になったと知るのは、多分もう少し先のお話。]
事務局の人も、手紙なんて知らないって言ってたみたいだし。
そもそも。この手紙って、ホントに学校から来たのかなぁ……。
[ピラピラと、手紙を弄びながら独りごち]
そっくりそのまま返す。
[顔をしかめ、踵を返して廊下を歩き出した。
その足取りが重いのは、重力の弱さに飛び立ちそうな恐怖と、痛みつづける頭のせい]
誰かいませんかー?
[赤い染みのついた名簿。
そのタイトルには改ざんされた形跡。
訂正される前のそれは、第2期調査隊員候補生名簿。
職員室から何者かが持ち出したものだったりとかしたりするかもね。]
いこいこ♪
まだこのガッコ、見てないとこ多いんや。
[菊ちゃんと連れ立ってテクテク廊下を。]
…なぁ、菊ちゃん。
菊ちゃんは、なしてこのガッコに転校してきたん?
[並んで歩きながら他愛のない話。]
ンなもン返すな。思い出せねェし、答えようがねェよ。
第一…この感覚、宇宙だろォ?ここが宇宙船なら、誰かしらいるだろォし、通信システムだってあンだろ。
適当に捜すしかねェのか…。
[微か、不安げな面持ちで結城の後ろをついていく]
さすが宇宙学校の生徒だな。
[宇宙だろ、の言葉に頷いて、他より大きな扉に辿り着くと、先ほどと同じようにして開錠した]
何で誰もいないんだ?
[ワカバにホームズ帽子を被せて傍らを歩く]
名探偵コンビですよー。うふー。
[ワカバの問いには]
えと。引っ越して来たんですよ。
そしたら近くに面白そうな学校があるから、どうせ編入するならここへー!って。
そかそかー。
越してきてガッコあったから来たんかー。
ウチと逆やなー。
[ふと、空を向いて憬れるような視線。]
ウチなぁ、夢ぇあってん。
その為に無理やり引っ越してこのガッコ来たんよ。
地球って、もう狭いやろ?
あちこち場所とりあって、喰いモンも燃料もとりあって。
せやからなぁ、空の向こうに…
[窓の向こう、飛行機雲。]
火星ィあるやろ?
あそこ、な?
頑張れば人住めるようになるかもしれへんねん。
赤い赤い大地を、緑の若葉で一杯にしてな?
ウチの故郷はもう狭くてどーしよーもあらへんから…
そもそも、誰がいたかも思い出せねェ…。オレら以外誰もいねェ、なら…ぞッとすンな。男二人とか。
一応、少数精鋭の可能性は高ェか。
[結城に続き、室内に入る]
…通信室、だな。船内に連絡すンには、確か…。
[機器を操作し始める]
けどな?
そこ独り占めにしようとしてる奴らがおるんや。
なんや【JINRO】とか云うたかな?
そいつらが火星ィ独り占めんしてナ?
ウチの故郷の調査隊も、何回も行ってんけど…そのたんび機材ぬっ壊されておじゃんや。
…せやから。
[人差し指の先、とまるてんとう虫。]
そうなんだ……。夢かぁ。素敵だなー。
やっぱあれですか?宇宙飛行士になりたいの?
[ワカバの視線を追いかけて、飛行機雲を眺める。続く彼女の言葉には首を傾げて]
火星かぁ……。随分前に、調査団が入ったんですよね。
えっと。
故郷って、どこ、ですか?
【JINRO】……聞いた事あるような。
独り占めは良くないですよねっ。
みんなで仲良く分け合わないと。お菓子もそうです。
[ぐっと握りこぶし]
野郎二人で宇宙旅行なんて勘弁してくれよ。
美人船長とかいねぇのかな。
[軽口を叩くのは、いまだハッキリしない記憶に怯えているせい]
火星?
いや、違う。砂漠――。
[壁にあるモニタに映る映像に目を止めた。
画面には、枯れ果てた大地が広がっている]
どうだ、何かわかったか?
南パライソや。
太平洋の海のど真ん中。
宇宙船飛ばすにゃ最適な国やで。
[秘密やで、と口元に人差し指を立てる仕草。]
…ま、観光と宇宙船基地しかあらへんのやけど。
だからナ、そゆのんは死活問題やねん。
なんとかして火星分けてもらわなあかん。
…調査隊、また行くらしいしナ。
なんと!?郡上八幡さんは、生粋の日本人だと思ってましたが。
うんうん。秘密、秘密ね。
ほえー。調査隊また行くんですか?
今度はどこの国が飛ばすんだろ?
案外うちの学校だったりしてねぇ。あははー。
[まったくもって能天気に、空を仰いでいる]
オレだって勘弁願いてェぜ…。
[持てる知識を総動員しても、正しい反応は得られず舌打ちする]
……分かったのは、船の中にも、外にも連絡が付きそうにねェ事、だな。
やべェな…ついに、本格的な妨害工作が入っちまったかァ?
それにしても、随分詳しいですね郡上八幡さんは。
それに比べて勉強不足だなー私。
何となくこの学校来ちゃった人だから申し訳ない感じ……。
でも!今日からは、私も、郡上八幡さんの夢に協力しますよー。同じ転校生仲間としてもー。
頑張って火星行きましょう!
だったらえぇのになー。
[一緒に空を仰いで。]
もし、うちらでいけるんやったら、一緒いってくれる?
菊ちゃんみたいな素直で可愛ぇ子と…一緒に夢ぇ追えたらえぇなぁ思うねん。
多少メカに強いくらいでどうにかなるもンじゃねェよ。
訓練受けてるオレでさえ…。
[苛立った視線を機械に向ける。
尋ねられ、自然と口は重くなる]
あァ…。……火星の宇宙事業にはな、ちょっとした組織抗争があンだ。
オレは、日本の組織の人間で……。
[重く息を吐く]
悪ィ。アンタを巻き込んだの、オレかもしンねェ…。
あのさー……。
何で私ここにいるんだ?
身に覚えがないんだが。
[ヨシアキと同じように、トーンは徐々に落ちていく]
覚えっつーか、記憶がおかしい。
その抗争に巻き込まれてぶん殴られて記憶喪失か何かか?
[はは、と笑う声はかすれていた]
それも、思い出せねェよ。
…船医として、呼ばれたンじゃねェの?
[適当な口から出任せ]
二人して記憶障害なンざ、故意だろォな。
JINROに敵対してるどこぞの組織にナノマシンでも射されたかァ…?
……はッ。喋ってても埒があかねェな。
この船の構造には覚えがある。
食料庫漁りに行くが、どォする?
説明いンなら、ついてこい。
道すがらで、かつ、教えられる限りでいンなら、少しは話す。
[そう言って、部屋の外へ歩きだそうと*する*]
何だよJINROって。
大体、宇宙に行きたがる医者なんか他にいくらでもいるだろ。
何で私が。
[考え込んだが、心当たりなど浮かぶはずもなく口を閉じる]
食料があるなら、しばらくはどうにかなるか。
酸素ボンベとかあんの?
[部屋を出て行くヨシアキの*後を追った*]
[それは菊子と若葉が連れ立って部屋を出る数分前の事。クルミは若葉と芳秋の痴話喧嘩を横目で見つつ]
結城センセー、それを言うなら「痴話喧嘩は水星人も食わない」ですよ。
[ちゃっかり訂正なんぞを入れていた。]
ふ〜ん、でもおかしいですよね。わたしが特選(以下略)を戴いた時には、見回り係の話も通じていたんですけども…。
[結城が携えた戦利品の赤福をしげしげと眺める。何処か釈然としないものがクルミの心の中を渦巻いていた。]
事務局長、物忘れでも始まったのかしら?
[指に付いた餡子を舐め取っていると、若葉を誑し込んでいた(?)芳秋と結城が放送によって呼び出され部屋を出て行く。
そして転校生同士ということで意気投合したらしい若葉と菊子も部屋から出て行くのを見送り]
そして誰も居なくなった…。なんて。
[季節はずれの天道虫に興味がなかったのか。クルミは一人残された部屋で古いファイルを取り出し、眺め始めた。]
へぇ、随分面白い記事…。
[クルミが取り出したのは新聞記事を切り取りファイルした物だった。
その内容は火星探査宇宙船「かなた」と「こなた」の打ち上げから始まり、こなたから送られてくるデータ、そしてかたなとこなた以降、火星探査は尽く失敗している記事までずらりと並べられていた。]
ニッポンの宇宙船だけ探査に成功しているって変な話よね。何か裏でも有るのかしら? ニッポンだけが火星人に賄賂を贈っているとか。
[まさかね。
そう呟きペラペラと捲るページの下、埋もれるように書かれていた【JINRO】の文字に、果してクルミは気付いただろうか?]
[残り一個の赤福を頬張っていると、前触れなく実行委員室のドアが開いた。]
えーと…事務局の人ですか?
[静かに入ってきた、見たことの無い人物に、クルミは目をぱちくりさせて尋ねる。]
[クルミの問いに、相手も不思議そうな顔をして尋ねてくる。
事務局とは何ぞや? と。]
事務局って…あれでしょう? ほら、見回り係…
[言った途端に相手の表情が曇る。ふとクルミの脳裏に先ほどの結城の言葉が蘇ってきた。]
『見回り係の名簿なんて存じ上げませんが?
手紙?何のことでしょう』
あの、おじさんはこの手紙に見覚えは…?
[近くに置いていた通知書を手渡す。
一瞬の間。
中年の男は首を横に振りただ一言こう言った。]
『学園ではこういう物は一切出していないですよ?』
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