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[考える、考える。
どっちがいいか、どうすればいいのか。
でも、結論はどうしても出なくて]
あー、もうっ……!
わっけ、わっかんねぇ!
[苛立ちを声に出したら、それが、雪色の侵蝕を揺るがした。
弾みで異変──狭間落ちが起きるかも知れないけれど、そこまで意識は回らない。*]
[通り抜ける感覚が過ぎ去った後、男は傍らのバス停に手を添えてみる]
……やれやれ。
[するりと擦り抜けるのを見て、狭間に落ちたことを実感した]
…兎、まだ、足りないか?
[あれから姿を見せない兎に声を投げる。
他の者達は分からないが、男の『たからもの』はここにある。
ずっと忘れていた大切なもの。
男がこれからも目指し忘れまいと決めた、大切な「夢」**]
[マールが冷たくなった日に、モミジちゃんは、熱を出して辛そうで...怖くなって必死で周りの大人に助けを求めた。
本当は、他にも伝えたいことがあった。重病だった父親が亡くなって、母や姉妹と一緒に引っ越す事になったこと...
もう、公園で会うことは出来ない、と]
『いつか、また会えるから』
[さよならが言えなくて、熱でもう意識も怪しそうなモミジちゃんに、泣きながら言った]
『ボク、その時にはきっと...』
[モミジちゃんが楽しくなれるようなおとぎばなしを、きっと持ってくるね、と]
…………。
[気が付けば、雪はまた強くなって。
残っているのは、立ち尽くす自分と、熱を出した紅葉だけ]
………………。
[ぐ、と。
拳を握り締めて、それから]
[怒鳴った。
思いっきり、怒鳴った]
そりゃあ、雪はきれーだし、積もるの好きだし、ガキの頃はそれでよく遊んだけど!
ガッコ入ってからも、あいつらと一緒に遊ぶの楽しかったけど!
それで全部埋まればいいとか、な、い、か、ら!
[怒鳴る声に驚くように、降ってくる雪が、揺らいだ]
てか、あと、兎!
[次に怒鳴るのは、あれきり姿の見えない兎に向けて]
なくした、とか縁起でもねぇ物言いすっから、完全に誤認したじゃねぇかばかやろ!
[こっちは完全八つ当たり。
なくした『たからもの』、そんなのほんとはわかってる。
ただ、向き合うにはちょっとだけ、足りないものがあって、目を逸らしてた]
つーか!
雪、止めよ、いい加減!
このままここにいたって、なんもかわんねぇだろ、寒いだけだし、七咲さんヤバい事になってるし!
[びし、と空を指さしてまた怒鳴る。
怒鳴る先が何かはわからないけれど、とにかく、この雪色を零しているものに届けないとならない、と。
それだけは、わかるから]
[怒鳴った後に、ぽつ、と付け加えたのは。
このままじゃいけない、と思っても、でも、このままでいたい気持ちも何となくわかるから。
でも、そこに囚われたらいけない──いや、現実的にやばい人がいる、と、そう思ったからが結構な比率なんだけど。
怒鳴り声と、囁きと。
二つのこえに、雪色はまた、揺らいで。
風がゆっくり、動きを止めて。
雪が──止んだ。*]
[雪が止んで、少しして。
ぽてり。
空から落ちてきたのは、時計を持ったましろの兎]
『やあやあ、どーやら見つかったみたいだね、『たからもの』』
[例によって悪びれた所、全くなしの様子で言いながら。
兎は懐中時計を懐に押し込み、くるり、その場で回転した]
[ぴょい、と差し上げられるふわっふわの手。
そこに幾つかの光の珠が舞い降りる]
『……んー、とりあえず、『時計』の修復はできそう、かなぁ?
よし、それじゃー』
[光の舞い降りた手をぱん、と重ねて、ひょ、と離す。
そこに現れるのは、虹色の『鍵』と空色の『螺子』。
虚空に向けて突き出された『鍵』がくるり、と回ってかちり、と音を立て。
続けて出された『螺子』がくるくるかちかち、何かを巻いて、そして。
──時計の鐘が、12回、ゆっくりと鳴り響いた]
『……ねぇ、知ってた?』
[鐘の音が鳴り響いた後、兎は手にした『鍵』と『螺子』を器用に投げ上げ、一回転させて受け止めた]
『雪って、つめたいけど。
……でも、凄く、あったかいんだよ』
『でも、やっぱり、つめたいから』
『ずっとそこにいたら、『時計』も凍り付いて、時間が『眠っちゃう』んだ』
『だから、ちゃんとし起こしてあげないと、なんだよねー』
[キミはわかったみたいだけどね、と。
兎はくすり、笑ってその場で一回転]
『さてさて、これでぼくのお仕事一段落』
『この場の『時計』は直ったから、後は、キミたちが望んだ時に、望んだ場所へ戻る事ができるはずだよ』
『……うん、多分、ね!』
[何やら無責任な事を呟いた後、兎は『鍵』と『螺子』を空へと投げ上げる。
虹色と空色の光が散り、直後に、かしゃん、と何かが砕け散るよなおとが響いて。
──柔らかい陽射しがふわり、空から射し込んできた。**]
[上手くピントが合わないから、中の塩ビ人形が何を模しているのかわからない。
だからこそ浮かぶのは、記憶に残る最後のクリスマスプレゼント。
従兄弟の真似をしてモデルガンが欲しいと言ったのに、女の子なんだからと人形を贈られた]
サンタさんって、ちょっと勝手だよね。
[友達の持つリカちゃんともジェニーちゃんともバービーちゃんとも縮尺が合わなかった人形は、ちっとも嬉しくなかった。
その後父は亡くなり、結果的にそれが最後のプレゼントとなった。
祖父母宅へ行くこともなくなったし、親戚の話が上ることもないまま大人になった]
あー、あれ、聴きたいな。
[仕事帰りに時折駅前で見かけた演奏のことが思い出されて、この街の古ぼけた駅へ向かってみることに*した*]
……、「たからもの」…が、仕舞っている記憶なら…、
無理に取り出そうとするのって、辛いよね…
[そう息も絶え絶えに告げるのは、同情でも気遣いでもなく、嘘偽りのない素直な気持ち。
自分が見たあの夢は、探そうとして見つけたのではない。
仕舞っていたのはきっと、思い出して支えにするには生きていくには苦しかったから。
夜の海に映る月が、どんなに手を伸ばしても掴むことが出来ないように。
もう二度と、得られないものだから。]
『モミジちゃん....!』
[なぜ、胸の奥。
水面に拡がる波紋。
夢だと、幻だと、仕舞おうとした記憶が何かに共鳴するように。
心の雪を溶かして、響く。**]
[溜めていた心の内を吐き出すかのような叫び。
八つ当たりも多分に含まれていたようだが…兎に同情する余地は無く。
男は黙って事の成り行きを見詰めた]
─────
[やがて、風が緩やかな動きを辿り止み、灰色の空が凍れる涙を止めた]
[その空から白が一つ落ちてくる]
……兎。
[雪のようにふわふわなそれは器用に着地し、最初と同じく軽い調子で声をかけてきた。
ただ見るだけならば愛らしいとも思える動き。
それを何の感慨も抱かずに眺め、兎の手の中に『鍵』と『螺子』が現れるのを見た。
兎の手で『鍵』と『螺子』が動き、時計の鐘が鳴り響く]
──…12
[正しい数の音。
どうやら、兎の言う『時計』が直ったらしい]
[兎が誰かに語る声はただ聞くに留まった。
男に向けた言葉では無いと理解したために。
ただ、その言葉は男の意識にもしっかりと滑り込んできた]
…終いか。
最後まで適当だな。
[多分、と曖昧なことを言う兎に小さく紡ぎ、僅かばかり口端を持ち上げる。
虹色と空色の光に包まれた何かが砕けるおと。
雲間から差し込む柔らかい日差しが男の身にも降り注いだ。
空間の狭間は、もう、無い*]
[空から降ってきた何かが白兎の声で喋る。
相変わらず一方的で、機械仕掛けなんじゃないかとすら思える]
もっとゆっくり喋ってよー。
ニンジンでも食べる?
[距離がある兎の仕草は認識出来ず、ただ何かが壊れる音が聞こえた]
いらないよっ!
[自分で、キラッとした声音で言う。
足元を見ながらたどたどしく歩いていく道が、いつもの世界に戻ったことを認識するのは、喧騒に*包まれたとき*]
[いつの間にか、狭間に居る人数の方が多くなっている。
結果、取り残された形のバクが、拳を握りしめて空に向かって怒鳴った]
[その意味は、やっぱり半分以上掴めなかったけれど]
もしかして…彼が最後の、鍵、かな?
[なんだかそんな気がして、息を呑むように成り行きを見守る]
[現れた兎は、相変わらず軽い。けれど、そのふわふわの手に集まる光は暖かいいろで、光から産まれた虹と空の色が、見えない時計の蓋を開いて、その螺子を巻いた]
はは……ほんと、突拍子も無いファンタジーだな。
[鐘の音が12回。そしてなんだかドヤ顔に見える兎の言葉に、溜め息を落とす]
言いたい事は分かるけど、唐突な上に説明不足だよ。
[このまま小説にしたら、きっと編集者からダメ出しの嵐だ。でも多分、兎はこっちの言う事等気にしてもいないのだろう]
[やがて、何かが砕ける音がして、どこかぼんやりとしていた「感覚」が戻ったのを、日射しの暖かさから知る]
戻った…?
[立っていたベンチの脇から、背もたれに手を伸ばすと、触れる感触が返る。片手で、ぐ、と、それを握り、少しかがみ込んで…]
……モミジ、ちゃん。
[少し迷ってから、口にしたのは、思い出したあの日の呼び名]
ごめん、遅くなって。
でも......逢えて良かった。
[彼女は多分覚えていないだろう、と、そう思うけれど。
説明するより何より、ただそう、告げたかった*]
……見つかった…
[止まった雪の代わりなのかどうなのか。
空から振ってきた兎の調子は最初と何も変わらない。
熱で長く目を開けて居られなかったから、雪が止んだことは知らず聞こえた言葉を確認するように呟いた。]
───…じゃ、あ…
[兎の言うことが本当なら、これでみんな。
元居た場所に戻れるということ。
回らない頭でもそれくらいは理解できて。
けれど、霞が、肝心な元居た場所を曖昧に揺らがせる。]
( ───……じゃあ、
夢は、どこから……? )
[時計の鐘が鳴っている。
頬に当たる光の感触。
子供の頃と同じよう。
境界線がわからない。]
俺は、夢じゃないから。
[冷えたままの左手を、紅いモミジの頬に当てる。今度は前のように慌てて離したりはせずに、彼女の熱が手の平に移ってしまうまで、ずっとそのままに]
一緒に帰ろう。大丈夫、ずっと傍に居るよ。
[想いは昔と同じ。
でも、泣いて大人に助けを求めるしかなくて、居場所を探すことも出来なかった子供の頃とは違うから。
誓うように、そう告げた*]
「消えないよ。」
[子供ではない、相応の。
意志の見える、はっきりとした声が聞こえる。
もう一度、"私"の名を呼ばれて。
近く届けられるその音は、どの鍵よりもしっかりと。
心に、響いて。]
………夢じゃない…
[漸く、やっと。
止まっていた時計が、螺子が。
記憶の針が、動き出したような、そんな気がした。]
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