[1] [2] [3] [4] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
[言いかけて言葉を止めるフユキに首をかしげ
引き戸が開く音を聞くと、緩慢に首を玄関の方に向けて]
……誰か来た
[立ち上がり、ゆっくりと玄関へと向かう]
何か?
[疲れきった様子で尋ねる声には、僅かな抑揚しかない]
隣村に行きたいのだけれど。
[言って、右手をひねり腕時計の*文字板を見遣った*]
それじゃあ、また明日ね。バイバイ。
[友達と別れて森の中を歩きます。
木の枝を拾い藪をかきわけて進みます]
近道近道。えいっ。
[草だらけの姿で日本家屋の玄関脇にひょいと出ます]
[冷静なソラに目を丸くする。
どうやら自分を追っている人ではないようだ]
あー。びっくりした。
何でもない……よ。たぶん。
[続いてやってくるリウに小さな悲鳴を上げる]
……隣町ってどこか知ってる?
[小さな声で尋ねた]
[服についた草を手で払います]
お母さんのお客さん?
お兄さん、お姉さん、こんばんは。
お姉さん、大きな荷物ね。
[ソラの荷物を目を丸くしてみつめ、引き戸の隙間に飛び込みました**]
迷子は大変。
二度と戻れないかも。
[レンの背後を見やる]
大きな荷物……家出?
このへん、村しかない。
町だと……歩くのは、無理。
隣村でも、歩いて2日はかかる。人の足なら。
大切なものなの。
[トランクについて、意にそぐわぬ与えられたセリフを諳んじるように言った]
バス停、探してたのに。
乗り遅れちゃった。
[笑う声もまた、嫌々の演技のように]
[視線をトランクに向けている合間に、気付かぬまま頭をなでられていた。
慌てて振り向く]
な……
[口を『に』の形に開いたまま茫然とレンを見つめ、表情を見て取ろうとした]
宿、ない。一番近くて、隣村。歩いたら、二日。
夜通し歩けば、宿要らず……
[手をぽんと叩いて、家の中を指差し]
今日から、宿屋。
開店記念で、宿賃サービス。
[リウのおかえりという言葉に少し首を傾げたものの]
ただいま、お姉、ちゃん?
[玄関で靴を脱ぎ捨てて廊下に走って行き、また戻ってきて靴を揃えました]
[広間から賑やかな玄関の方を見。此方を見られれば、一たびの礼を。床に手をつき立ち上がりかけるが]
……う。
[足が痺れていたのか、一寸よろけた。ふう、と溜息]
じゃあ、お邪魔させて頂戴。
何だか不安だけれど。
[小声で言って、トランクを運び込もうと持ち上げた。
遠く、カッコーの鳴き声が聞こえて振り返る]
不気味。
[当たり前の用に動くリウとルリを不思議そうに見ながらも、ぼんやりと眺めている]
……宿屋?
[建物は宿というより民宿といったたたずまいで]
あー……。
[蝋燭の中で、【タカハル】という名前を見つけると、顔をしかめ、【レン】と書き直す]
これで、よしっ。
[部屋の中だけれどもサングラスと帽子を取る気配は無い]
[迷う様子もなく、ごく自然に家のなかをぐるりと一周し、広間に戻ってくると、ネギヤの隣で地味にお茶を飲み始める]
やっぱりお茶だよね。
[ちゃぶ台に羊羹などを並べる。
微妙に*じじむさい*]
[蝋燭に気付いたらしい二人を、様子を窺うように見ていたが。その視線はふと、壁面へと向き]
――地球を、七回半。
[そこには薄明かりが照らす黒板。少しく目を細めながら、男は白墨で走り書きされた文字を読み上げる。
後、卓上の束からノート一冊と鉛筆一本を取り。どこかの頁に、その短い文を*書き留めておいた*]
[レンの言葉にはこくりと頷き]
細腕繁盛記。宿屋の、バイブル。
ようこそ、おこしやす。
お風呂にする……ご飯にする?
[一人、玄関先で三つ指をつき、変な人と化している。
やがて広間へと足を向けると、不思議な光景に]
どうしたの、フユキ?
地球を、七回半……
[読み上げられる言葉を、とり憑かれたように*反復する*]
地球を七回半。
確か……光が一秒に進む距離、だ。
……そこに書いてあるのが、そういう意味なのかは知らないけれど。
[リウに向けてまた繰り返し、言葉を足してから]
……。
客、なのかな?
迷子になったから、お邪魔させて貰っているんだよ。
[おじさんと呼ばれたのには、ほんのり落ち込んだようだったが。一言ずつ考えるようにしつつ、*ルリに答え*]
ソラ。
[蝋燭に印された名を読み上げる。
それが自分の名であることを確かめるように]
地球を?
[黒板に目を向けてから、どこか不安げに、茶を飲む人々を*遠巻きに眺める*]
ネギヤ、リウ、フユキ、レン、ソラ、ルリ……。
[蝋燭にかかれた名前を指差し確認しながら読み上げる。
最後にレンの名前の上で指を一旦止め]
これオレの名前。レンっていうんだ。よろしく。
ここってお客さんの名前を蝋燭に書くサービスしてるの?
面白いね。
地球を七回り半か。光の速さ。
1光年って単位があるよね。光が一年かかって移動できる長さ。
いまオレたちが見ている星ってさ、何光年、何十、百、千光年も離れてる。
だから、いま見えている星の光が見えているだけで、本当にその星がいまもそこにあるかは分からないんだ。
[淡々と説明をすると、にこっと笑った。
サングラスの下の目は見えないけれど、口と眉は笑みの形]
[フユキの言葉にしばらく何かを考えていたが
突然床の一点を中心にして、その周囲をぐるぐると7回転半。
回り終えると、ふらふらとよろめき、息を切らせながら]
はふ、はふぅ
……何秒?
光、速い。世界、まだ遠い
[床に倒れ込み、呼吸が整うまでしばらく休憩]
[フユキの視線の先を見やり、黒板に気づく。
黒板の前へと進み出ると、書かれた文字をじっと見つめる。
やがて白墨を手にすると、おもむろに何かを書きはじめる。
辺りにカツ、カツと白墨が削れる音が響く。
書き終えると、白墨を置き手をぱんぱんと払う。
白い粉がはらはらと床に舞い落ちる]
○月×日 たぶん晴れ 日直 リウ
[書かれた日付はなぜか霞がかかったように
ぼんやりとして認識できない。
文字の隣にはデフォルメされたキリンの落描き。
しばらく黒板を満足げに眺めていた]
[卓上の束から、表紙にキリンの絵が描かれたノートを取り
広間の食卓の上に置く]
……宿帳。
[まだ真っ白な二ページ目を開いて、その脇に鉛筆を*置いた*]
温泉ない。露天風呂なら作れる。
ドラム缶……庭に運ぶ。
[レンに名前を呼ばれて、不思議そう。
戸棚に近づき、蝋燭を眺める]
……蝋燭が、宿帳?
[名前の書かれた蝋燭にそっと触れ、少し*悲しそうな顔*]
おじさん迷子なんだ。
私も町に行った時に、迷子になったことがあるの。
お母さんが迎えにきてくれたから良かったけど・・・。
おじさんも、きっと誰かが迎えにきてくれるよ。
[フユキが迷子で落ち込んでいると思い込み、元気づけるように*言いました*]
今見える星が本当にそこにあるのかはわからない。
同じように、今見えている宇宙も……
遠い端ではもう終わり始めているのかもしれない。
[レンの説明に、詩か何かを読むように続け。羊羹を勧められれば、頂くよ、と頷いて]
ああ、私はフユキという。
迷子、なんだろうね。目的地を見失ってしまったから。
[肯定に続けた言葉はどこか曖昧に]
怪しい奴。……
危険人物は来ない事を祈ろう。
[1] [2] [3] [4] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ