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[トロワ・シティではなく、ドゥ・シティの古いホテルを出るときと言いたかった気がするがそれはさておき]
――ええ。ミル・シティまで。
[券売員に笑いかける。
目的の街へ向かう列車、一等席の切符を手に入れれば、さらに笑みは深くなった]
ありがとう。
[良い旅を。券売員の言葉に頷く。
年代物腕時計を見る。出発は、まだ先だ]
[駅舎を歩きながらスマホを取り出す]
……。
[開くアドレス帳。
暫く指を彷徨わせると、選んだのは、数日前に連絡を取ろうとした相手]
……さて。プロフェッサーは知っているかしら?
[どこにいるかも知れない相手に、コール音聞きながら、呟いた]
[つぶすべき時間は自分のものではなく警察のものであり。
そして……自分という囮を警察に置けば、何らかの接触を図ってくるだろう]
まぁ、無事でよかったのう。
[さきほどの刑事と同じように、命を狙う輩も多かろうが]
大丈夫。
もう少し時間を稼げば、また外に出られるさ。
[ネギヤにいつもの通りのんびりと話しかけ、高価なスーツにも構わず、どっこいしょと床に腰かける]
どら美がおらんのがさみしいのう。
[膝や肩に慣れた重さが無いことが心細い]
[ポッケに入れていたスマホがぶるっと揺れた。
発信者は先日会ったばかりの歌姫。]
はーい、ごきげんよう?
[トロワ・シティの駅のどこかの柱にもたれかかって、通話をはじめる。今日は白衣を着ていないので、歌姫は気づくかどうか。
気づくといえば、ウミが警察に捕獲されたことを彼女は知っているのだろうか。諸般の事情でドゥ・シティのホテルへ遅れて到着したのは警察が一仕事終えた後だった。
ネギヤがヘマして捕まったと教えてくれたウミが…。同じくヘマをしたとは思えないのだがさてはて。]
[携帯電話の良いところは、遠いところにいる人間にも一瞬で繋がるところだ。
悪いところは]
あら、繋がった。
ごきげんよう、プロフェッサー
[相手がどんなに近くにいても、それを感じ取れないこと]
あなたは無事そうね? よかったわ。
[話す相手が同じ駅に居ることなど、気づかずに話す]
[最近の通信機器は性能が良い。
とぎれとぎれの言葉をつなぎ合わせれば、意味は推測できた]
安全……?
警察を頼るほど危ない橋を渡ってらしたのかしら。おじいさま……それとも、渡っているのは私たち?
どちらかというと――
[ウミが最後に残した言葉を思い出して、言葉を途切れさせる。
嫌がる人間は大勢いるだろう、とウミは言った]
ああ。姫君も無事そうだね?
[視界の隅に当人を確認しつつ、しれっと聞く。]
せっかくだからミル・シティで
勝利の美酒を味わいたいじゃない。
うかうか捕まっていられませんて。
んあー、そうみたいね。
後<91>分ほど早く着いてたら
俺もまずかったかもー?
…ネギヤがヘマしたって俺に教えてくれたの、爺さんだぜ?
んで、即自分もやらかすのはなんかなぁ。
耄碌したとは流石に思えないから、何か目論見があったとしか。
[それが本人によるものか他者によるものかは知らないけれど。]
もしかして、姫君は現場にいたの?
どっちかというと、爺さんの場合は、警察に取り込まれたらやばいって動き出す後ろ盾があるようなないような?
[まぁ、その辺の事情はさっぱりなので憶測に過ぎないが。]
もちろん無事よ。
ミル・シティのシャンパンは世界一っていうわ。楽しみね。
[ゆっくりと歩きながらの通話。
プロフェッサーと呼びかけるから、思い浮かべるのも、無意識のうちに白衣姿になる。それでも視界に入れば気づくだろうが……今見えるのは、赤い列車、大勢の人の足に負けない重厚なホームと、善良な、一般市民のみ]
あら。それは運が良かったわね。
結構騒動だったみたいだから。
そうなの? まったくもう。おじいさまったら、私には教えてくれなかったのに。
でもそれが本当なら、確かに腑に落ちないわね。
[見ていなかったような口ぶりで続ける。
何か目論見が――ユウキの声に、思わず小さく頷く。
自分が知りたいのも、それだから]
[その場にいたの、と。
さらりと付け加えられたような問いに、言葉が止まる。
ほんの、一瞬]
私も、ホテルに向かったから。
あなたより90分早くね。
[言って、くすりと笑うときにはいつもの調子で]
そうよね。おじいさまがなにも勝算無くそんなこと……
聞きたかったのよ。プロフェッサー、おじいさまがなにか言ってなかったかしら。例えば手を貸すような算段とか。それとも私には内緒かしら?
[急に曖昧になった言葉に、それでも、聞いてみる]
ふふー、ねぇ、楽しみだ。
[世界一のシャンパンを思い浮かべれば、それだけで顔がにやける。おっといけない、油断大敵。]
ああ、そうだね。
遅れていっても、何かあったとわかるくらいの騒々しさだった。
ふっふっふっ、魅力的な女性を前にしたら、
情報の共有なぞ、二の次三の次だったんだろ、爺さんも男って奴さ。
[ザクロには伝えなかったことを知り、目をぱちくりさせたのは一瞬。
てきとーなことを言って、混ぜっ返して、自分で笑った。]
まぁ、あれを聞いたら、ホテルに向かうよねー。
迷…街の観光に時間をつぶさなければ、俺より早く着くのも当然。
[したり顔で頷きつつ、最後の問いかけにゆるりと首を傾げる。]
爺さんから何か…?手を貸すような算段って、いや、特に何も?
[爺さんからの言づて>>2:5でどら焼き屋に行ったことは伏せたまま。]
今回の件では俺たちチームだけど、基本フリーだからねー。
姫君の方こそ、どっちも俺より先に待ち合わせ場所に
たどり着いてるんだから、某か話は聞いてるんじゃないの?
そういえば、もう一人の爺さんとは連絡とってる?
[ちらっちらとザクロの方を見ながら、じわじわと場所を移動している。 隠れるため、というよりも、素直に予定どおりに行動しているだけで。]
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