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あのね、さっきは見る人別々だったけど、今度も別々にしたほうがいいか、皆で決めたほうがいいか聞きたいのね。
六花はまだ別々で、さっきと同じ方法でいいと思うのね。
んっと、あと、皆にオジ…近藤センセーが狙われた理由とか、考えてほしいのね。もう言ってる人はいいのね。
[オジさんと言いかけ、眉間にシワが寄ったのを思い出して今更ながら言い方を変えた。先ほどまで場を纏めてくれた人がいなくなり、自分が出来ることを考えようとしていた]
そうか、村瀬…なら絶対鬼側でないな。
[彼女から何かを決意した気配が伝わってきて感心する。
頭の上に軽く手を置いて撫でた。彼女が負った責務を肩代わりしたいが、今自分が置かれた状況ではそれは出来ない]
できるだけ先生も支えるよ。大変だと思うが…まとめ役を頼む。
櫻木も村瀬を手伝ってやってくれ。
というのも、櫻木も鬼側ではないと考えているからだ。
先生は
[名指しで言うのは憚られて]
見る者のどちらかが、…鬼を補佐する者なんだと思っている。
見る相手については、先生も村瀬の案でいいと思う。
鬼という結果が出た場合、村瀬がいればそれが真実かどうか、…分かるからな。
[その手段は該当者殺すという意味だ。それを行うには、十分検討をした上でなければならないが]
ただ…、人数が今以上に減ってきた場合は、…その限りではないが…
[これから更に犠牲が増える暗示めいた内容を口にした後で、その重さに気づいて口を噤む]
次に見る方法については、言った通りでいいと思う。
んっとね、シンヤくん、最初見える人にも耳の人にも両方出てほしいって言ってたのね。
今占い師の偽物が出て、耳の人は六花だけなのね。最初からこの状態になってたらすぐに狙われるんじゃないかって心配は無かったのかな?
[何故か地べたに座り、座席に顔を乗せてレコーダーを聞いている。この姿勢が楽のようだ]
-回想-
[近藤が票数を確かめている。それに則りメモに椎名の名前を書こうとするがうまく書けない。
彼女もあぁ、自分も震えていたんだと認識する。
今までの強がりも彼女自身はだませなかったようだ。
汚くなってしまった字が嫌で書いてすぐにメモを折る]
隣の車両に行ってもらうだけだもんね。
[そうちょっと一緒にいるのが不安な人を隔離するだけ、椎名の言うような怖いことなんてあるわけない。
だけど、耳に残って仕方がない。キュっと目をつぶり、友人2人を見つめる。それはすがるように]
−回想−
[長澤の後、弓槻に言われた通りに手を貸す。]
ん。いいよ。
…私は何もできないから、ね。
[何もできないことにぽつりとつぶやいた。]
終了
[駆け出していく椎名を追いかける小鳥遊。そして、その間に倒れる近藤――。
めまぐるしく変わる状況に彼女は耳を押さえてしゃがみこむ。
なんだかとても怖いことが起きている気がして、現実を拒絶したかった]
ヨッシー…?
[大船にのったつもりでいいんだよね?と思い、長澤にすがると長澤からは思いもよらぬ言葉が聞こえる]
ヨッシーも見える人なの?
見える人って1人なんだよね…。
[なんだか長澤が知らない人物に見えて、少し震える。
弓槻と長澤―見える人は2人はいないはずだ]
[「ありがとう」と三枝の言葉に、落ち着いてきたのだろう。]
…ん。
こんくらいしか出来なくてごめんね。
[彼女がもう大丈夫なのであれば、背をさするのをやめ、去り際にぽんぽんと優しくたたいて、三枝から離れるだろうか。
その間に話が出ていたことを聞き入る為に、ボイスレコーダーへと向かった。]
[周りの話を聞いて、村瀬が聞こえる耳だと言うことを知る。そして、椎名が鬼ではないとも―。
椎名が鬼ではなく、いつの間にかに戻ってきた小鳥遊は様子こそ冷静だが、その姿は異常であった]
小鳥遊先生?
その格好…どうしたんですか?
[答えは聞きたくなかった。しかし、聞かないことには何も安心ができない]
[彼女の中で今の状況下、唯一安心出来たことといえば、長澤と弓槻からの櫻木の評価だった]
櫻木先輩…ごめんなさい。
変に疑ってしまって。
[2人いる状況がおかしいが2人が出したということはその答えは本当なのだろう。
弓槻は投票前にでてきて、長澤は投票後にでてきた。
弓槻は鬼を引きつり出す意味合いででてきたと言っていたが、話し合いの論点が投票などとなっている中、少しばかり不用心なのではないかと彼女の中にシコリが残る。
鬼がもし、本物を表に出すためにでてきたのだとしたら―――]
りぅはヨッシーを今は信じたいな。
ヨッシーが鬼だなんて考えたくない。
[弓槻の目線が怖く、大きな声では言えなかった。まだ判別なんてつかないがそれ以上に心の拠り所を友人に求めたかった]
あのね、リウちゃんあーん。
[先ほど成瀬も食べていた三枝のクッキーを差し出す]
思ったことはね、口に出したほうがスッキリするのね。
リウちゃん、声出すの遅かったけど、それから大きい声で話し初めて六花、嬉しかったのね。
もっと喋れるよう、六花、応援するのね。
[不安そうにする成瀬の頭を撫でた]
[ざっと聞き入って]
見える目に2人、聞ける耳に1人…。
村瀬が鬼じゃないって分かるのも、うれしい…。
[村瀬が鬼でないことにほっと安堵してじーと村瀬を見て。]
…村瀬さんが可愛い…。
[何故か地べたに座り、座席に顔を乗せてレコーダーを聞いている彼女がなんだか小動物にみえてそう感想を述べた。
頭を撫でてやりたくなる可愛さだ。]
あ、そうだ。村瀬さん。
私も同じように近藤先生の狙われた理由考えて、言葉にしたほうがいいかしら?
[櫻木の視線に気づかず成瀬の口にお菓子を詰めていると、呼びかけられて櫻木に近寄る]
あのね、ナオちゃんは思ったことはちょっと後に話したほうがいいかなーって思うのね。
まずは気になるとこの質問とかしてほしいのね。
[・・・それは、いつのことだったろうか?もしかしたら、本当はそんなことはなかったのかもしれない。自分の中で作り上げた記憶だろうか。ただ、たしかに記憶にある、気がするのだ。叔母の屋敷で、かくれんぼをした記憶。あまり活発でなかった従姉妹が、珍しく楽しそうにしていた記憶。「もーいーかい」「まーだだよ」の声。二人で隠れた、ウミのベッドの香り。そして、探すのが遅くなると聞こえてくる、彼女の泣き声・・・]
ああ、そうだ・・・。ウミを、探さないと・・・。
[そして気がつくと、汽車の中でみんなを見下ろしている自分を発見した]
・・・そう、か。やっぱり、届かなかったな・・・。
ウミ・・・は、ここにはいないか。生きていればまた・・・と思ってたのも、自分に嘘をついていただけだな・・・。はは、はははは。本当はわかってたさ。ウミにはもう会えないって。でも、俺には探すしか選択肢がなかった!そんなこと認めたら俺は駄目になっちまう!
・・・知ってたさ。あいつには神田もいた。神田が何も言わないって時点で、本当は何もかもわかってた。・・・道化だ。俺にはもう道化の役しかなかった。でも、道化しかできないなら、そうするしかないだろ?
諦められるなら諦めたよ!でもそう思うだけで、胸の奥が・・・
[言って、実態のない胸をかきむしるようにつかむ]
胸の奥が痛むんだよ・・・!
だったら、前に暗闇しかなくても進むしかないじゃないか!
あんただって・・・あんただってそうだろう!
なあ、近藤さん!!!
[吐き出すように叫ぶしかなかった]
・・・はぁ、はぁ。ふふふ、やっぱり死んじゃうと、楽なんだなあ。ウミは、あいつもこんな感じだったのかなあ。それなら、少しは俺も救われる、気がするよ・・・。
[空中に腰を下ろす。何もかもがどうでもいい感じ・・・だが死んで初めて、ここ半年で一番楽に思えているのも確かだった]
なあ、近藤さん。俺たちは何を探してたんだろうな・・・。
どうせ時間はあるんだ、ゆっくりいろいろ話そうぜ・・・。
[そういうと、自分の知っている青玲学園の物語を、語り始めた**]
村瀬さんが聞こえる人、ね…
俄かには信じ難いんだけど、村瀬さんなら在り得るかなって思うな。
それに自己申告は村瀬さんだけみたいだし、暫定的に纏め役をお願いしてもいいかな?
完全に信じれなくて、ごめんね。
[彼女に向け申し訳なさそうに笑みを零す。
近藤が倒れていた傍から彼の使っていたスケッチブックを彼女に手渡し]
近藤さんが殺された理由だったね。
殆ど小鳥遊先生と同じ意見だけど…
纏め役の消失によって場の混乱を招くのが主たる理由だと思う。
ただ先生と少し違うのは、近藤さんが何かの力を持っている可能性を考えたってところかな。
今までの話でも少し出たけれど力を持つ人が目立つのは好ましくない。
近藤さんが力を持っていたなら流石に鬼の目につきすぎる。
他に理由を上げるとするなれば…
この状況を詳しく知る者を消しておきたかったんじゃないかと考える。
鬼にとって自身が何者でありこの場にいる人間にどんな厄災が降りかかるかを知る人間は邪魔だろう?
少しでも情報が漏れる前にって感じかな。
[自身の手帳に現状を書き込みながら]
それと、僕が全員に出てきてほしいって言った理由だっけ?
すぐに狙われるって危機感はなかったね。
僕は鬼に連なる者は鬼と連絡が出来ないと考えていたから、偽物は補佐役の方だと思った。
つまり鬼にはどちらが本物かわからないから狙わないと思ったよ。
聞こえる人に関しては存在自体が不明瞭だったから…
出てきてもらっても信じれるかどうかは別として今みたいに申告が一人なら状況は少し変わるかなと考えた。
表に出てきた力のあるものが最低2人、最大でも4人…かな。
それだけいればどこを狙うかの目くらましにもなるし
その、鬼火の言う守る…者?の存在もあったしね。
鬼火の狂言の可能性もあるけど、もしいるとするなれば鬼の狙いを眩ませられると思ったんだ。
…あくまでも鬼と補佐役が連絡が取れないと仮定したときの話だけれどね?
だけど取れたとしてもむざむざ仲間を殺すとは思えなかった。
思考の整理が出来てなくてすまない。
鬼火の言う言葉がすべて真実とは限らない…簡単に信用はしたくないんだ。
[本人を目の前にして言うのは憚られるが事実であることは仕方がないと、彼女の目をしっかりと見据える。]
[人の温もりは偉大だ。村瀬の手も須藤同様、彼女に勇気を与える。ポロポロと涙を流しながら彼女は思ったことを伝え始める]
みんな当たり前な感じになってるけどこんな変なとこ怖くて、須藤先生は人数が減ったらとか言うし。
今さらだけど、櫻木先輩の名前言ったの後悔したの。
櫻木先輩がすごい勢いで受け身であることや他の人も受け身かどうか気にしてて変だなと思ったけど、櫻木先輩も不安だったからこそあんなにこだわってたんじゃないかなって。
だから、そこも理由に付け加えた弓槻先輩はりぅからは変だなと思ったよ。
後は・・・。
[彼女は弓槻が投票前にでてきた違和感を語り、疲れをとるように村瀬からもらったチョコレートにかじる]
[思いの丈を吐き出したバクに目を丸くしつつ、己の心を振り返る。
俺は、何かを探していた、だろうか?]
暗闇しかなくても……、か。
その言葉。生きているときに、聞かせてくれれば良かったのに。
[詮無いことと知りつつも、隠し立てをする理由も最早無い。
そう、忌憚なき会話を交わすことだけが、死して霊となった自分たちに与えられた自由なのだから。]
なぁ、椎名君。
鬼火は言っていたな。
『自ら贄になりたがるとは、愚かな奴らじゃ』と。
……俺たちは、いつからか、もう……自らを生贄に差し出してしまっていた、のかもしれないな。
[形は違えど、バクも己も、死の淵を覗いてしまって。]
――『深淵を覗き込むとき、深淵もまたお前を覗き込む』。
死の淵を覗いたつもりで、俺たちが死に魅入られていたんじゃないか、とか。
そんな風にも思う。
[チョコレートを食べて、安心したのかいつの間に涙は止まっていた。何か村瀬に恩返しをしなければ、そう思い今の状況を振り返る]
近藤さんはここにきた時から中心になって話してたよね。
投票の案もりぅ、すごいなって思ったよ。
その投票の案とかがもしかしたら鬼?に不都合があったんじゃないかな。
だから、これからも何か不都合なことを言われては困るからその鬼火に囲まれたんじゃないかって思ったよ。
[近藤が倒れた時に側にいた三枝を気にしつつ、村瀬や周りにいた人間に思ったことを伝える]
怖がられてるみたいだから余り反論とかはしたくないんだけどね…弁明はさせてくれるかな?
確かに投票前に出たのは申し訳ないと思う。
けれどあの状況で悠長に投票だの出るだので話している場合だったかな?
それこそ早くこの状況から脱出するために話し合うべきだと僕は思った。
皆の視界がクリアになるのなら鬼に狙われるのも致し方ないとも思ったしね。
それと櫻木さんの件だけど…僕には彼女の反応は不安から来るものには見えなかった。
個人の捉え方だと思うよ。不安なのは、皆一緒だと思うしね。
そこを疑う理由に加えられるのは少し困るかな。
まあ、これも個人の捉え方だから仕方がないんだけれどね?
っと、これぐらいにしておくよ。
後輩に詰め寄るとか本当にしたくないんだ…
[自身の語気が強くなっているのを自覚し成瀬から距離を取る。
何時も自身を落ち着かせてくれる星を見ようにも空には絵具をぶちまけた様な漆黒が広がり
慣れないことをしているせいか震える息を吐き出し扉に凭れ掛かる。**]
喋りすぎて疲れた…少し、黙るよ。
ん、分かったよ。
…色々お菓子を詰めると味が混沌になるよ。
[近寄る村瀬の頭ぽんぽんしてボイスレコーダーに耳を傾ける]
気になる所の、質問ね…。
んー、なんとなくでいいのだけど、成瀬さんからこの人とお話みたいなって思う人いる?
須藤先生は、えーと、先生からみて…不安な、えーと、分からない人って誰ですか?
あぁ、あと一部意味が分からない所は、ごめんなさい。
うん、意味が通じるように心がけるわ…。
―回想―
[霊体となったせいなのだろうか、全員の呟きにも似た小さな言葉まで全てが明瞭に耳に届く。
『意外と、呆気無いものでしたね』
そう言って口元を歪ませたのはシンヤだった。思わず彼を注視すれば、悦びとも憐みともつかぬ表情で己の亡骸を眺めている]
弓槻君……?
[近藤が彼の動きに苦言を呈したことを根に持っていたのだろうか。彼は近藤のことを占いたいとも言ったし、良く思われていないであろうことは自覚していたが。]
残念、な。一番残念なのは、ハルに会えてないこと、だけど。
[彼に自分の声は聞こえていないと、また、たとえ聞こえていたとしても解らないと知りつつも、応える]
[そのまま己の亡骸の傍へ歩み寄った彼の動きを追えば、シンヤは貼り付けたような笑みで全員に殺し合いを宣言した]
ただの優男かと思ったが……なかなか、食わせモノじゃないか、君も。
[そう感想を漏らした近藤の表情は、ひょっとすると今のシンヤのそれに、似通っていたかもしれない。]
―回想終了―
―回想―
[弓槻が、斃れた近藤に投げかけた言葉は非常に淡々としていて、普段の彼とは別人のように思えた。
何かが崩れてしまったのだと、言葉に尽くせぬ様な悲痛な面持ちで友を見ていた。
やがて、弓槻も櫻木の元へ行き――「鬼じゃない」と口にする。]
…二人とも、櫻木さんは鬼じゃないって結果なのか。
[ふっと目を閉じ、火の玉の言葉を思い出す。
同じ力を持つ人が二人いるとは言われていない。――つまり、どちらかは嘘をついている。
友を信じたい半面、疑心の目を向けなければいけないという事態に、胸が詰まった。]
こんな力、すぐには信じきれないの、分かるのね。
でも、ありえるって言ってくれてありがとなのね。
[弓槻の言葉に苦笑してみせる。纏め役について頷きながらスケッチブックを受け取った]
色々とお話してくれてありがとなのね。
でも、年下の女の子にすごんじゃメッ!なのね。
[成瀬を庇いつつチョップの素振りをするが、弓槻の心情を思うと扉に凭れ掛かる姿を寂しそうに眺めた]
[近藤を別の車両に移し終え、やや暫く座席に体重を預け、何も見えない窓の外を眺めていた。
体温が失われた肌の冷たさが、掌に感触として残ったままだ。
俯き気味に周囲の会話を聞いていたが、弓槻が櫻木を見た理由等を話している時、それに対して質問を]
…なあ、シンヤ。
長澤君の事、手強そうだって言ったけど、どういう所でそう感じた?
[どちらか、と問われれば、それは心証の面で弓槻を信じたい。
共に帰ることが出来たらとは思うのだが、比べなければいけないのは辛いことだった。今の自分は、どんな表情で弓槻を見ているのだろう――]
[近藤の言葉に苦笑いを返す]
・・・ああ、生きている間に、な。そうできれば、色々簡単だったよな・・・。
たしかに、近藤さんの言う通りだよ。ウミを探して、ウミと同じような場所に来て、ウミと同じように死んじまった。魅入られてたのかもな・・・。
[そう言って、長く息を吐き出しながら、車両の天井を見上げた**]
[少しだけ気持ちを切り替えて、村瀬の言葉にも耳を向ける。]
そうか…。
村瀬さんが持つのがどんな力なのかはよく分からないし、力の存在を信じることはできそうにないんだけど、
火の玉が言ってた3つの力ってやつの一つ、なのかな。
他に名乗る人が居ないし、村瀬さんが鬼では無いっていうのははっきりしたことになるのかな。
だとしたら、良かった。
[車内で自由に振舞う様子の村瀬を見て、どこか安堵した様な気持になった。考えてほしいと言われた事について、自分なりの答えを紡いでゆく。]
そうだな…近藤先生は、鬼の力で…。
そう考えるとしたら、どうして狙われたのかは、他に言ってる人もいるけど、指揮を執る動きを良くないと鬼に思われたからかな、って思う。
近藤先生の行動は、きっと誰の目にも止まったはずだし。
…先生は、塾でも人気があってさ。いつも生徒に囲まれてたんだ。
真面目で生徒思いのいい先生、だった。
[話していると語尾が過去形になっていることに気付いて、ふと三枝の様子を思い出してしまい、少しの間だけ言葉を紡げなかった。
呼吸を整えてから、もう一つの問題に対して話していく。]
……見る人を別々にするかどうかだけど、同じ人を見てもらう方が考えやすいような気がするんだよな…。
どちらかは嘘をついて名乗ってるというなら、鬼に対して、この人は大丈夫だという結果をだされたら?
鬼じゃない人に対して、この人が鬼だよって言われたとしたら?
…そういう風に想像してみた時に、見てもらった2人を同時に考えなければいけないのは、大変じゃないかなって思って。
村瀬さんの案でも色々分かる事はありそうなんだけど、正しく判断できるかは自信がないな。
これって、シンヤと長澤君がどうしたいのか聞いてもいいのかな?
ところで、椎名君は占い師の2人についてどう思う?
弓槻君は告白関連はともかく、彼が占いたいと言っていた俺がやられたことについて言及がないのが気になるな。彼視点では鬼候補が消えて、占いの手がひとつ増えたわけだからね。そこは喜ぶべきなんじゃないかな、と。感情には乗せられなくとも、言及していいところだと思うんだが。
長澤君はいい位置から出てきたね。告白のしかたについてもよく考えていたし、信頼は得やすいだろう。
鬼ならそのまま黙っていればいい位置。補佐役なら感情的に弓槻君に対抗して、守りの手をぶれさせるだけでも昨日のうちに出る意味はあった。それをしなかった意味とは何か。
こう考えると、長澤君のほうが本物である可能性が高いかな、と俺は思っている。
ちなみに、ロッカちゃんはとても納得の位置。
正直、「占い師じゃない」とさらっと言ってしまった3人のうちに耳の人がいる可能性は高いと思っていた。
櫻木さんから椎名君に票を移したのはそのせいでもある。
もし櫻木さんが耳の人で、隔離される可能性に耐えきれなくなって出てきた場合、信頼を得るのが難しくなるかもしれないと懸念した。
ん。
[寺崎と村瀬の言葉に顔を上げてこちらも言う。]
どのように見たいか、は欲しいね。
…同じ人を見れば分かりやすいわね。
けれど、いつまで同じ人を見れるか、どうか。次もできるとは、分からない不安もあるわ。
―回想―
[死にたくないと残して隣の車両へ走っていく椎名を、落ち着かせてくると追いかけて行った小鳥遊の背を見送る。
きっとあの先生に任せておけば大丈夫だろう。
しかし何故彼は死にたくないだなんて…そんな疑問がどうしても浮かんでしまう。
そんな時、近藤が倒れ、三枝がそれを抱き起こす。
何が起こったのか理解出来なかったが、三枝の呼びかけに近藤が答える気配は…ない。
さっきまであんなに雄弁に色々喋っていた人が何の前触れもなくいきなり倒れるものなのだろうか?]
こ…近藤…さ……?
[不意に汽車に収容されたばかりの時に鬼火に囲まれて倒れてしまった女生徒の姿と近藤の姿が重なった気がして、手で口を覆う。
バクバクと心臓が煩い。
もしかして、もしかして、もしかして…これが鬼に捕まる、という事?
ちが…違うよね?これは…ゲー…『近藤さんは、もう…亡くなっているよ』須藤の声に思考が止まる]
やだっ…やだやだやだっ……!
[レコーダーを巻き戻していたら、気になっていた事があったのを思い出す。]
ああ、そう言えば。
まだ椎名が車両を移る前の事なんだけど、小鳥遊先生に。
僕が先生を疑う理由を話した後、先生から返事がありましたよね。
「見える目を持つ人間ではないと言外に示しちゃってる人が結構いるように思えた」という部分、あの時点では聞けなかったんで、そう思った人を話してもらってもいいですか?
[歯が噛み合わなくなり、自然と息も荒くなる。
口元を押さえていた手は情けないくらいに震えてしまっている。
見知らぬ女生徒の死よりも、面識のある近藤の死はとても現実的だった。
もうこれはゲームなんだと自分自身を誤魔化せなくなる程に]
これは、現実で……鬼に捕まると、死んじゃ……
[全てを言い終わる前に、先程椎名を追いかけて行った小鳥遊が戻ってきた。
出て行った時と変わらないのんびりとした声音がこの状況の中では凄く違和感があって、でも何故か安心出来て。
救いを求めるように彼女の方へと視線を向けて…そして固まる。
アノ血ハ ナァニ?
彼女自身が怪我をした様子はない。状況が全く理解出来なくて、ただ唖然と小鳥遊を見ていると、のんびりとした口調とは酷く似合わない不穏な言葉が紡がれ]
こ、ころ…殺、す…?
[もう限界だった。皆と一緒にいて安心なはずなのに何故か怖くて、でも一人になるのは怖くて。
無言で立ち上がると誰の顔も見ずに一番奥の優先席の隅を陣取ると、そこで膝を抱えてたまごのように蹲りカタカタと震える。
本当は土足で座席に足なんて乗せてはいけないが、そんな事に構ってる余裕はなかった]
―回想終了―
[そう答えたのち、扉に凭れ掛かっている弓槻へ向かう。]
…隣、いい?
ん、邪魔でなければ、だけど。
[いいのなら隣、そうでなければ距離を置いて近くに居るつもりだ。**]
―回想―
[櫻木の結果を伝えた後に向き直ると、視界には椎名を追う小鳥遊の後ろ姿。
そして―倒れゆく近藤の体…]
…………!?
近藤さん!?
[咄嗟に駆け寄ろうとしたものの、そばで取り乱す三枝と、対処する須藤を見て、歩を止める。
近藤さんは亡くなっている―須藤の言葉を聞き、深いため息を一つ付く。]
ん・・・?ああ、占い、か。
まあ理屈で考えていくと、片方は本物、片方は鬼に与する人間だろうな・・・。鬼が騙ってるってことはあまり考えられない気がするぜ。どっちが、ってのは後にして・・・聞こえる力が村瀬にあるってのも、同じように納得だな。彼女の不思議な感じにもあうし、さ。
弓槻と長澤どっちが、か・・・。正直言うと、死んじまったし真面目に考えてなかったから、近藤さんの説明はするっと納得できるよ。ただ俺は、・・・俺が死んじまうまでの流れ、って言うか順番とか、どこまで推理の材料にしていいか、ちょっと疑問は残ってるな。弓槻が名乗り出たのも、長澤が名乗り出なかったのも、流れでそうなった、みたいに取れなくもないだろ?
もし俺が占い師だったら、やっぱり弓槻と同じようなタイミングで名乗り出たんじゃねえかな。不利もあるかもしれないけどそれ以上に、議論が停滞してたり何も決まらなかったり、のほうが困るし・・・言い方悪いかもしれないけど、つまらない、って思っちまうタイプだからな・・・。
まあでも俺の話は、だからどっちが本物っぽい、ってところにはつながらないし、近藤さんの言う「弓槻の説明不足」も感じるから、今の段階では俺も長澤を本物よりに思ってる、ってところだな。
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