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[階段を下っていく先輩たちが見えた]
・・・
[あの様子から・・・多分ぼくは・・・もう]
・・・
[なにもする気が起きなくなり、踊り場に座り込んだ]
仁
言葉は、契約
言葉にした願いは、本当に信じ続ければ叶う
疑う事なく、諦める事なく、求め続ければ
叶わぬ願いなど、現世にはありはしない
ただ漠然と願うだけでなく
それを実現するだけの、努力を惜しまなければ…
―――…相棒の言っていた言葉だ
[すでにこちらに連れていけと言ったリウとセイジはどうか分からなかったが]
古山と結城が、真剣に願えば…―――
帰れるかも…しれないの…
[踊り場に座り込むタカハルを見下ろす位置でそう告げた]
仁
魂にとって言葉は契約
願いを口に出してみよ。
それが叶うのだと強く信じて。
そうすれば…―――
[帰れるかもしれないの、と付け加える]
…――――
[器の背中で、じっとトイレを見る
そうだ、たしかそうだった
生きていた頃の、記憶
私は、この学校で生まれた幽霊ではない
学校と言うのは、負の感情が集まりやすい場所
その負の感情に、惹かれてやってきた魂
七不思議なんて物が、負の感情の典型だ
最初は、形なんてなかった、ただの嘘
それを、生徒達が言葉にし、語り継ぐ
その言霊に、想いをのせて]
[怖い怖いと、笑いながら
心の底の負の感情が、嘘を真にしていく
それこそ、学校の七不思議]
「何か不思議な事が起こればいい」
「自分が関わらなければ、怖い事があればいい」
「ただ怖いだけじゃ、面白くない」
「たとえば、誰かが死んだりすると面白い」
[学校には、理を知らぬ者達の
無邪気な邪気が、溢れている
それが、私のような、古い、悪しき魂を
このような場所に、引き寄せて離さない]
…――――
そう、私の名前は
貴方、願いは叶えたい?
[器に問うた声は、届いたようで
聞こえた答えに、くすり、笑う]
貴方の願い、叶えましょう?
ただし、お代は頂くよ
/*
紅の本当の名前の話
最初は、流れ上「花子さん」にするつもりで
「トイレの花子さん」の異説を作ろうと、結構苦心したのです
花子→華子→華(女)子(子供)→性を売る女性、しかも子供である→花子さん遊びましょ、とはつまり…
と言うね、そう言うのを考えて
百花繚乱から貰って
百花の王、牡丹を名前にしようと
そう、思ったのでした
/*
牡丹 死亡年齢13〜16歳くらい(年齢消失) 死後200年〜250年
設定
貧しい農村の生まれであり、飢饉の年に人買いに売られ、色街に入る
最初の客を取る日の夕刻、脱走
村に戻るも、華子(色街から逃げて来た子)と呼ばれて、村中から酷い扱いを受けていた
死因 性的暴行の上、惨殺
学校の七不思議の定番である、花子さん
最初はただの作り話であったけれど、数多くの子供達がそれを試した結果、無残な死を遂げて彷徨っていた彼女の耳に届いた
花子さん遊びましょ、と言う声が、自分に暴行を働いた者達の言葉とかぶり、それを口にした者に復讐を試みるのだと言う
自分自身の、暴行で受けた恥辱を穢れと感じており、清らかな場所、日の当たる場所には顔を出せない
もしも彼女に出会ったら、自分自身を赤い絵の具等で真っ赤にして、日の出まで起きていなくてはならない
/*
赤は彼女と同じ色であり、女性の穢れだと彼女は感じるようだ
だから、赤く染まった者には、自分の境遇を重ねて手は出さない
トイレ以外に現れないのは、七不思議がトイレの花子さんであった事と、彼女の死体が丁度トイレくらいの物置に詰め込まれていたからである
…―――
とまぁ、こう言う設定にしようと思った
だがしかし、最後の流れで失敗した(ぉ
仁
[悪い霊に魅入られたと他人は見るだろうか]
それでも…
[人の愚かさを黙って見ていた。]
俺は…これでよい…
[すでに時が流れ過ぎた]
セイジ
[仁の言葉をききつけて]
結城君…
[座り込むタカハルに話しかける]
僕はこちらに来ることを願ってしまった。
だから恐らく戻れない。
戻れたとしても…―――
[これ以上は口にしなかった]
でも…君は望んでここに来たわけじゃない。
戻りたいと口にすれば、戻れるかもしれないよ?
[寂しげな笑顔ではあったが、その顔はタカハルの知るセイジの顔]
科学部 セイジは、ここまで読んだ。[栞]
あっけよ!あけよう!
[適当に入った教室の窓を開けようとして、そのうちそれは力ずくにと変化する。しかし、開く気配は全く見せなかった。]
― 1年1組の教室 ―
んだよー、誰もいねーのかよこんちくしょう。ここはそうだ1年1組じゃないか。なら俺の机が…。
[何かを求めるように声を荒らげ、何かを求めるようにふらふらと机を探す。
探し物は直ぐに見つかった。]
―引き出しに仕込んでおいたあれが見つからないか…。
[座り込んだまま首を傾げる]
かえ・・・れるの?
[力の無い声で呟くように言う]
でも・・・先輩は?
[分かっている。分かっている。
目の前の先輩が紡ごうとした言葉ぐらい。
その笑顔の意味ぐらい
でも・・・でも・・・]
セイジ
[タカハルには笑顔しか向けなかった。
願うことすら愚かかもしれないが、
もし、叶うなら]
でももし、戻れるものなら…戻りたい…よね。
[仁と一緒にいた女の霊が語る“お代はいただくけれど”の意味は分からなかったが、願いは口にしてみた]
なんだかもういいや…。
[教室から出て廊下に寄りかかり座り込む。手持ちのカロリースティックを放り込むと、大きくため息を吐いた。]
皆どっかに居るとか、いないとか。出れるとか、出れないとか…。なんかもう疲れた。
[犬を傍に寄せて、静かになでようと。
しかし、当の犬はそれを振り払うように、何処かに行こうとした。]
おい、何処に行くんだ。
[何かに向かう犬に、仕方なく立ち上がりそれを追う形になる。]
散歩の時間にでもしたいのか。
お前は平和なやつだなぁ。
[此方の思うことなど露知らず、器用に階段を登っていく。]
やっぱ帰りたいなあ。
[矢張り足音は響いていた。
暗がりを手すりを用いて登っていく。]**
そういや13階段なんてものもあったな。
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