…おや。
[ふと、塔に干渉する力を感じて左耳のピアスの紫水晶に手を触れる。
どの宝石よりも紫の魔女と一番相性の良い紫水晶が淡く輝くと、塔の中の知りたい事をその脳裏に鮮明に伝えてくれる。]
…ふむ。内側からは普通には開かなくなってるようだね。ご丁寧に窓まで。流石に部屋の行き来はできるが…意識してやったものか無意識下で働いた力かは知らんが。
…まぁ、こういうのも含めて「見守る」ってことさね。若いの達に任せてみようか。
[テーブルの千里眼の水晶に意識を向け、大根飯を一口。]
しかしアン…言ったこっちゃないよ。
黒のが何を考えたかは知らんが、やはりあれは脅かしすぎさね。
…ガモンさんや。塔にもキッチンはあるはずさね。
あとでルリちゃんに食後のおやつを作っておくれ。あと、アンの分の食事も。こっちに来てるようだからね。
[見物を決め込むと、千里眼の水晶を眺める。
眺めながらも再びピアスの紫水晶に触れると、塔のどこぞの階で慌てふためく弟子の様子を感じ取り、小さく溜息をついた。]
若いの達はますます慌てるだろうかねぇ…ふむ。悪循環にならなきゃいいんだが。
[言いながらも見物を決め込む姿勢は崩そうとしない。]
ガモンさんもアンの気配を感じたかい。
…すまないね。頼んだよ。
そう長くは続かないだろう。まあ、いざとなりゃあ
[心配させまいと思わず言いかけたが、やはりその先の言葉は今は口に出さない。
水晶の中に映る、塔と魔女と童話を結びつける若い子達の様子を見て]
今は魔女と塔で連想するものがラプンツェル、か。
平和な時代になったもんだねぇ……まぁ、私も伝わる話をお師匠様に散々聞かされただけに過ぎないが。土地柄もあるのかね。
ふふ、髪が長く長く伸びたら面白いかい?
ルリちゃんは若いから手入れの心配は無用かね?羨ましいもんだよ。
[無意識に自分の髪に触れるあたり、歳の事は少し気になるようで。]
…ほう。あのニワトリは使い魔系の力とばかり思っていたが。あの先生の不安定さはなかなかに面白い不安定さだねぇ。
全てが魔法でできたものは儚し。
カボチャの馬車は時が来れば元のカボチャに戻ってしまう。さて。持続するものか、消えてしまうものか。
…元は冷蔵庫の卵か…微妙なセンだねぇ。
手作りの料理に勝るものはないさね。
[もてなしの心を込めて丁寧に料理された白身魚の野菜あんかけを味わっている。]
そう。内緒だよ。
ルリちゃんはいい子さね。
[言ってルリの頭をなでてやる。]
…ついでに言うと、包丁はあんな風に使っちゃいけないよ。危ないからね。魔女さんとのお約束だよ。
[空いているほうの手でやれやれ…と額を抑える。]