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[それは何時ごろ行われた惨劇だろうか。
あらたに雪が赤に染まったころ。
その様子を見ていた男はふと、聞こえた声に視線を向ける。]
……ウルスラ、お主もか……
やはり、死してもそう簡単に、この村からは離れられないようじゃなぁ。
[うすらぼんやりとした姿で宙に漂う男は、
獣医の言葉に静かに声を掛けた**]
[ウルスラの言葉に、それもそうだというようにゆるくうなずく。]
そうさのぅ。
なんだかんだと離れられなかったのは、わしらのほうか……
[狼使い、という言葉に、村へと意識を向ける。]
狼使い、か……
[ふと、呟いた言葉に、案じる響きが混じる。
カウコを襲った狼を指揮したものとは、別のものを――]
離れられないのならば、最後まで見届けるのもまた一興じゃろうて。
[生前と変わらぬ口調で答える男は、生ある者達へと意識を向ける。]
ああ、カウコが狼に食い殺されるところなら、見ておったよ。
もともと彼らは本気じゃったろうて。
[動けなかったのには、なにか別の要因があるかのよう。
見知ったものを語る口ぶりで呟き。
もっとも――今はもう、彼ら、とは表現できない狼使いへと視線を向ける。]
ヘイノとラウリはどうしたんじゃろうなあ……
ほんにのぅ。
死後ぐらい自由にさせてもらいたいもんじゃが……
[やれやれと肩をすくめて見せる。
つい癖で杖を握ろうとして、ただ、手を握っただけにおわり。]
さてのう……どんな事情なのかはわしにはわからんが……
けれど、あそこまで包囲しておいて此れだけ動くのが遅れた理由は、あるのじゃろうて。
[ヘイノ、という言葉に意識をそちらに向ける。
自宅で死んでいる家主の姿にふう、とひとつ頷き。]
そのようじゃのぅ。
誰かにころされたようにも見えぬが――はて、何があったのやら。
[どことも知れぬまま、宙を漂い、村の中を眺めている。
ふと、新たにやってきた魂の気配に視線を向け。
そこに己を手にかけた相手の姿を見れば、口元をゆがめた。]
やはり、お主もやってきたか……
どうやら死したものはどのような死であってもとどめられるようだのぅ……
[いったいどのような神の悪戯なのかわからんが、と軽く肩をすくめた。]
レイヨは死せるものを見るまじない師のようじゃのぅ……
[静かに返す声は、殺されたことへは言及しない。
殺し方のみを謝る男にやれやれと肩をすくめて。]
ほんに、痛みを長引かせるやり方がうまいのぅ……
わしは狼使いではないが、狼使いが誰かはしっておったからのぅ……アレが続いて逐ったら白状してしまったかも知れんなあ。
[それはあたたかな室内で、雪の冷たさに体温と血を奪われなければの話。]
――呪い、か……村の者達の思いか……それとも、ドロテアかのぅ。
[一度、声を届けただけで沈黙している贄の娘にちらりと視線を向けた。]
まあ、よいわ……
どうやら村も、容疑者がへって浮き足立っているようだしのぅ。
どうなることやら、高みの見物をさせてもらうかの。
[くす、と小さく笑み、その場にとどまっている**]
[カウコとドロテアのやりとりには口を挟まず。
ウルスラとの会話も聞いているが、声を発することはしない。
ラウリとヘイノがともに死んでいると聞けば眉根を寄せて。
その二人の姿もこの場にあるのだろうかと、探すように視線を漂白わせた。]
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