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― 昨日 夜 ―
[今日はお風呂の日ではない。
夕食を終えると、部屋の洗面所で歯を磨く。
といってももうそんなに残っていないのだが。
こまごまを片付け、ベッドに向かう。
と、くるりと向きを変え、机に向かうとお手玉をとった]
よしと
明日はロビーに行きましょう
綺麗な夕焼けが出ていたからねぇ
きっと明日はすっきり晴れるよ
[2つのお手玉を一人でぽんぽん、とまわす。
あずきが零れ落ちる気配はない。
なかなか良い出来だ。
ふふふ…と笑うと、お手玉は机におきなおし、そのまま床に就いた]
[横になると、いつものように、視界が暗くなっていく。
いつものように、隣の老人が扉をたたく音がする。
でも、音は遠く、眠りかけの身体はさらにずっと深いところへ沈み込もうとする]
(あれあれ… いつもと何だか違うねぇ)
[暗い空間を鳥のように滑空しながら落ちていく感覚がする。
その空間の、向かう先の深いところに小さな明るい空間が見えた。
いつものおじいさんの夢…?
いや、あれは…]
満州の…カフェだよ…
[あっという間にずいぶん近くなった建物の、格子の窓の隙間から中が見える。
ウォルナットの机と椅子の数々。
入り口にあるコートかけ。
大きなストーブと天井から下がる丸いライト。
二階から木の階段をとんとんと降りてくる音が聞こえてくるようだ。
人が居る?
空間から墜ちるように身体が店の入り口に向かう。
扉ががらんがらんという音を立てて開き、頭から飛び込むように明るい空間に滑り込む。
視界が光で真っ白になった**]
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