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[どこか、
どこでもない場所で目を開いた]
……ん。
[眼を擦って、億劫そうに身を起こす。欠伸が出て、目元から口許に手を移した。
闇に包まれた周囲。何もないのか、何も見えないだけなのか、どちらが天でどちらが地か、上下の感覚すら失くしそうだった]
休みすぎた?
[呟くと、つま先を上げ、下ろした。とんと、地面を叩くように。
闇が晴れて、村の景色が広がる。
しっかりと上下を確認して立ち、地を蹴り跳んだ。その一歩は人の一歩とは違って、長い距離を一瞬で縮めてしまう。様々な場所を巡る。
藍色の眼は移り変わっていく村の光景を、そこにいる人々の行動を静かに映していった。
何も言わないし、何もすることはない。伸ばした手も届かない。
最後には神社に辿り着いて、鳥居の上から人々を見下ろす]
夢から覚めたら戻れるよ。
[きっとね、と付け加えた言葉は曖昧。
不意に高く空から振る声。
距離など関係ないかのように]
おれはあなたたちの思う「神様」かはわからない。
おれはただ、ここにずっといるだけだから。
それに、そうだとしたって、人のお金に興味はないから、手は打てないな。
夢と現は同じようでいて、別のものだから。
現で夢を見ることは出来るけれど、現にはならないし逆もまたしかり。
「バク」。
そう呼ばれていたことがある。
だから、呼ぶならそう呼ぶといい。
永嶋グリタ。
名は自身を象るものだから、大切に。
[聞きもしていない男の名を呼んだ]
[こちらの世界とあちらの世界、二つの世界で別々に交わされる声を聞いて、ふわりと音もなく地面に降り立った]
消えて欲しい、と望む人はいないよ。
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