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ん?写真?
そういえば、あの人が撮って…
[ざらりとノイズのように、思考に混じる声。]
…生き延び……?
[ちくりと意識の芯からの痛み。
思わず額に当てた手は、驚くほど冷たい。]
…どうかしたの?
[困惑した様子の写真家へと駆け寄り、彼女が見下ろす先に目をやる。]
赤…?
赤い…花?
[白い石の立ち並ぶ中、そこだけが鮮やかな色。]
[ふわりとした感覚に包まれたと思ったら、意識に急激にもやがかかって。何が起こったかを理解していない。感覚すら鈍く。
今はただ、ぼやける意識のままで……]
…ミナツ……獏……世界…。
結びつき…。
ほん、ものの……
絵…もう一度……
一緒に……
[強く心に思い浮かべていた言葉が、無意識に唇から紡がれる。今はまだ、不安定で。]
カナメ…何、言ってるですか。
[ややあって声が引けば額を拭う]
[ミナツとペケレのやりとりの端々は耳に入ってはいた]
わからないことが多いのは、みんな同じ…ですね。
[眼前のカメラ。
この写真を撮ったのはこれだろうか、という面持ちで]
ペケレが…写真を、撮った?作った?
[疑問は内に秘める。そしてペケレを射る眼差し]
…自分を、思い出したいですか?ぜんぶ?
っ……
[脳内に響いた声にこめかみを押さえる。確かにカナメの物だが、酷く金属的な硬さを持った、神経を抉るような響き。
「貴方が生き延びる方法は――」
「これが、 。
これからが本当の ですよ]」
……う、……
縁起でもない事を……
[振り切るように首を横に振った。ペケレらの方に走るユウキに気付くと、緩慢な歩調で近付いていき。目に入ったのは]
赤い花……?
レンとアン。
[ふと見れば、墓碑群に二つの花が増えていた。
プレートに書かれた名を低い声で読み上げる。
ややあってから、辺りを見渡した]
どこ?
あぁ。
まるであの墓に手向けられたような…花。
[何気なしにつぶやいた言葉を、もう一度思い返して。]
…手向け…る?
[困惑。]
[墨色に透ける亡霊には、「カナメ」の声は聴こえない。
然し人々が僅かに違える様子を悟り…気紛れに歩き出した。]
…ルリさん。
記憶の鍵を…回せるといいですね。
[ルリへ一言だけ告げると、亡霊は階下へと下りゆく。
先刻此方へ――彼にとっては虚空へ向けて――名を告げた、
緑帽子の少年の前を通り過ぎる。眠たげにも丁寧な一揖。]
レン…?
[ルリの叫びに対するレンの答えへ、
意識を向けたところで、
めにうつるものはもう、そこにはなく]
レン……
[窓枠を握る指、力をこめた関節が白くなる]
[感じることがひどく鈍くて。それでも少しずつ。少しずつ。]
声が……聞こえる。
みんな…?
…花?
[鈍い感覚の中。つい先ほどと違う、そんな違和感。何もかもが]
テンマ、向こう。
[羽織った背広の袖口をつまみ上げ、ペケレに掲げる。
絞り出した声はそれ以上の音を出さず、娘の顔は微かに歪んだ]
アン……
レン?
アン、という人には会った事がないが。
レンは……今まで、此処にいたのではないのかね。
[先程ルリが呼んでいた声を、遠くも確かに視界の端に映った姿を思い出す。二つの赤い花を見据えながら]
……プレートに。
名前が書かれている、のかね?
[誰にともなく問うような、確認するような言葉は、空気に溶けるように語尾が掠れ]
墓碑に……
[ペケレの呟きに返すような呟き。
赤い花や扉より少し離れた位置、それ以上進みもひきもせずに、立ち尽くし]
あかいはな。
墓碑名に。そう――。
[ペケレの言葉にぼんやり頷くだけ。
それしかできない様]
レンの瞬間、そこに…あるですね。
それに意味があるかはわからないけれど。
呟いて、いちどだけカメラに触れた。
[アンというひとの写真がないのは、
少しだけ、残念な心持がしたかもしれない]
[会釈をしながら目の前を通り過ぎた男。ぼうっとする中、それを無意識に目で追って]
男…背の高い……30過ぎ……
[口から紡がれるは、いつかペケレに聞いた特徴。結びつける言葉、名前は。]
テンマ。
[呟いた名前だけが、まるで当たり前のことであるかのようなはっきりとした響き。
こつ、こつと聴こえてきた足音に。誘われるように歩き出す。]
向こうって……どこ。
どこかに行くの?
安らかに、眠っているんじゃないの?
[誰かを責めるような、少しいらだちの混じる口調]
ええダーリン分かってる!
眠ってる……のね……。
[口調はカナメを信じては居ない]
よし、できた!
[そこに描かれていたのは、木々の中に佇むレンの絵。
木漏れ日を浴びながら、空を見上げている。
1本の木にはウグイスが羽を休めている]
……カナメ?
この人は……「大丈夫」なんだ。……よかった。
きおく…。かぎ…。
[「むこう」の世界から響く、
それは、優しさとも残酷さともしれない。
俯いて、ふと、
手のひらを見る白衣の男性に、怪訝な顔をして]
[ぺたり、ペタリと廊下に響く足音。
泥は小さな足型も残す]
“手向ける”ってなぁに?
[人影の手前で足を止め、細めた瞳が人々の顔へ順に向けられる]
[響くテンマの言葉に]
……なるほど、ね。答えのない、曖昧であった理由。
俺は、望んだこともあった。
目覚めてしばらくはそれでもいいって思ってた。
どんな形であっても、世界と結びつくことが全てだと。
けれど、あの絵の世界を見たから。
今は、望まないから。
だから、還っていない。
この形で結びつくことを望まないから。
……だから眠れずに居る、のか。俺も……。
[紡がれる言葉は、心の感じるままに。感じることこそが全て。]
あれ……レン?
どこ行っちゃったんだろ。
[しかし、そこにレンの姿はなく。その姿を探す]
[そこにもうひとつ、声が響く。
「誰かを手向けなさい」と]
――…
[背後で呟かれた名は、確かに自身のもの。
ゆらあり 振り向いた影は、穏やかに笑む。]
ええ。
…レンさん、でしたね。
[先刻は――…と声音は含む。歩む距離はみじかい。
亡霊が導く先には…新しく刻まれた墓碑がふたつ。
供えられた赤い華もふたつ。ふたつの死のかたち。
墓所の前には、やさしい桜色に透ける少女の亡霊が
屈みこんで――呆然と、己の墓碑を眺めて居る。]
[ペケレには、頷いてみせる]
はい。
それは…よかったような、気が、します。
[それからふいと
窓へと視線をそらし、小さくのせた疑問]
二つの花はどうして、咲いてしまったでしょう。
[瞼のうらに蘇る、テンマの扉の青い花]
こんどは、あかいはな…?
ダーリンが……カナメが。
[何かに導かれるかのように、ぴんと墓を指差す]
Requiescat in pace
安らかに、眠れ。
あそこで眠らせること。
手向ける。眠らせる……?
「向こう」に行く?
[何かにとりつかれたように、混乱したように言葉を紡ぎ、ふっとその場に倒れた。*眠っているようだ*]
[プレーチェやバクの声が耳に入れば]
手向けるとは、神や仏……死者に捧げ物をする事。
旅人にはなむけ……贈り物をする事。
[視線は赤い花に向けたまま、穏やかだが響く声で二つの意味を口にする。
ふらりと墓碑に近付いては、新たに増えたプレートを、そこに刻まれた名前を確認した。天井を見上げてから、目を閉じて]
[少しずつはっきりして行く意識。
目に映るのは共に居たみんなの騒ぐ様子。
そんな中、スケッチブックを持つ少女へと視線を向けて―――]
そうか。俺を、描いてくれたのか…。
[その手のスケッチブックの中の新しい絵を見て呟いた。]
きっと…俺は強く願いすぎたんだろうね。結びつける事は、きっと、高い代償を伴うもの。そう感じる。
…ミナツ。
君が、もう一度世界の絵を描けますように。
だから。君はこちら側へ来てはいけないよ…。
[強い願い。それは、祈り。自分の置かれた状況は心が感じている。言葉などにしなくとも。]
[彼らの墓碑へ、やがて生者も訪れることだろう。
遠巻きに立ち止まるのは、この亡者の流儀らしく]
…還っていない。なるほど。
[とろりと緩慢な瞬き。浅過ぎる眠りに酔う如く。]
絵、…
ミナツさんの、ですね。
結びつけられた絵の世界…
手向ける。眠らせる…
[それはカナメも告げてきた]
[その意味はまだ、しかとはわからずに」
ペケレ? だいじょうぶですか。
[屈みこんで、眠っているのを確認して]
死者。
[目覚めてから何度か聞いた言葉。
上着の内ポケットから、アンの落とした手紙を取り出して皺を伸ばす]
アン、手紙……。
[封は開いているのに中身を見ることが出来ずにいるそれを、誰に渡そうかと逡巡する]
…そうですか。カナメ。
これはまた、おはよう、のある、ねむりですか。
[そして]
結びつき…?
[向こうの世界から、
そんな言葉が漂ってきたかもしれない*]
[己の墓碑へ手向けられた、いろえんぴつの青い花。
視線を遣って…影は淡く明滅する。
青い花が、青いから。
男の世界では、青い花はずっとずっと乾涸びていたから]
死に絶えなければならないのなら、
死に絶えればいい…私はそう思っていますが。
生き延びる方がお出でなら、
しあわせに生きて下さるといい…
死なないように殺しながら、それでも。
[レンが口にしない酷い言葉で]
[レンが果たせなかったことを]
――どうか、どなたもお風邪など召さぬよう…
[やわらかく密やかに、願う*]
へいき?
[寝息を立てるペケレを一歩離れて見下ろしてから、後ろを振り返る。
ユウキの姿が見えれば、*名を呼ぶつもりで*]
[己の部屋へと戻る足取りは重く、半ばも行くか行かないかのところで止まってしまった。壁に背を預け、そのままずるずると座り込み]
……カナメ。
[俯き、呟くようにそれを呼ぶ。返事があったかないかのところで]
カナメ。
[もう一度、呼んでから]
何だか、何かを思い出せそうな気がする。
何かを思い出しそうな、気がする……
気持ちが悪い。頭が痛い、……
[弱い声で続ける。ぐ、と拳を握り締め]
どうしたらいい。
こういう時は、どうしたらいいのか……
教えてくれたまえ。
苦しい。
思い出せそうだというのに、酷く苦しいんだ。
[すがるような問いにカナメは沈黙の後、返す。「思い出さなければ、いいんです」と。
どことなく遠く聞こえるそれに]
駄目、だ。思い出さなければ私は……
私は、私が誰だったか思い出せない。
[テンマの言葉に]
…ふぅん。穏やかじゃないな。
感じても。言葉と意味が繋がっても。記憶と言葉は、記憶と意味はまだ繋がらない。
お前の含みが意味するもの。なんだろうね。
記憶の鍵、ね…。何が眠っているのかね。
再び結びつけば……死、かい?いずれにせよ。
[心に浮かんだのはそんな言葉。何が、との主語は、思い浮かばなかった。]
…まぁ、いいさ。当たり外れなんてどうでも。
ただそう感じただけ。
俺は、俺の感じるままに。今までも、これからも。
今この時は。ここから見守るだけだ…*
「貴方は、ライデンですよ」
私は……
「忘れてしまいなさい」
思い出したいんだ、
「思い出す事が幸せとは限りません。
……気分が悪いのは、頭をぶつけたせいでしょう。
あのドクターに診て貰った方がいいのではありませんか?」
[話をそらすカナメの声は奇妙に優しく]
……Since brass, nor stone, nor earth, nor boundless sea, But sad mortality o'ersways their power,……
[今度は歌ではなく、台詞のようなものを口にして。カナメの囁きに誘われるよう、そのまま目を閉じ、通路の半ばで*眠り込んだ*]
[少しまどろみながらも、聞こえるいろんな言葉を反復して。]
死に絶えなければならないのならば、死に絶えればいいと思う、か……。へぇ。
それは……お前自身の事も含めて、なのかね。果たして。
まぁ、いいけどね…。
[問いかけと呼ぶには、あまりにも呟きに近すぎて。
小さくぽつりと言ったその後は、再び皆の姿を見守って*]
[ぬいぐるみを抱いた少女に呼ばれ、眠る女に跪く。
脈をとり、聴診器を当てるも、困惑するばかり。]
眠っているだけみたいだね。
せめて部屋までいけばいいのに。
[少女を安心させるようにやわらかな口調で言い、
女を抱き上げて部屋へと運ぶ。]
[胸が、頭が、ずきりと痛む。全て思い出しそうで、何も思い出せなくて、胸が苦しくなる。手向ける、眠らせる、それがどういう事なのか、わかっている。そして、自分の心が叫んでいるのもわかっている。けっして、眠らせてはいけない者がいる。もし、その者が眠ったなら、自分は………]
心が、叫んでいる。
胸が、張り裂けそうに痛い。
何処だ?
あいつは………何処だよ?
[辺りを見回せば、その姿をみとめて。ゆっくりと、その者に歩みより。だけど、何をしたらいいかわからないから。]
…こっちもか。
突発性入眠症候群としか言いようがないな。
[異常が無いことが異常とばかりに首を傾げ、ライデンの体を毛布でくるむ。]
ねぇ、キミ!
手を貸してくれないか?
彼を運ばないと…
[近くにいた少年に声をかけた。]
─自室─
[サイドランプが付いた中、
ベッドの上で身じろぎをする]
……思い出したわ。
ダーリン……カナメ。
アナタは私の最愛の人じゃないのね。
[両手で肩を押さえるように、震える声]
あれ? 私……ここ何処?
[目を覚まし、不安そうに辺りを見回す]
[自室であることに気付きほっとする]
[起き上がり、毛布の上に掛けられている白い上着を見た]
……テンマさんのじゃないわね。
確か──バク君。
[脳裏に浮かぶのは、カレーをおかわりしていた少年]
[だるそうに頭を振って起き上がる]
シャワー。
──身体の洗浄および保全。
[ベッドに衣服を脱ぎ散らかす]
[褐色の肌。
右の二の腕の半ばと、左足膝に刺青のような金色のラインが付いている]
[医師が見れば、機械式の義肢との接合と*分かるだろう*]
ライデン、起きろ。
お前みたいに大きな奴が、廊下で寝てたらビビるだろ。
寝るなら、部屋に帰って寝ろ。
[ライデンの前に座り込んで、おでこ辺りをつついてみる。それでも起きないから、胸元から一本のマジックを取り出して]
起きないと、額に内って書くぞ。
[微妙に脅してみる。]
かんせいしつ?
[奥まったその一室は扉が開く気配がない。
プレートを見上げていたが、一歩後ずさってすとんと腰を下ろした。
病院の待合室にあるような椅子の上、やがてまどろみ丸くなる。
上着の下に半ば隠れて、穏やかな寝息を*立て始めた*]
[幾許かの後――
亡霊の姿は、黒い上着に包まって眠るプレーチェの傍に。
長椅子の端へ座る影は、彼女の目元へてのひらを乗せる。
蒼褪めてつめたい死人の手は、光も遮らないはずだった。
然し自らの僅かな眠りを分けるかの如く…その目元へ。]
…開かずの扉です。 今はまだ…
[管制室の扉。先刻、ペケレが操作していたタッチパネルは、
プレーチェが触れても鈍く光るだけでやはり沈黙していた。
墨色に透ける亡霊は、その扉を見詰め…とろり*瞬き居て*]
うむ、すまない。
次からは部屋に戻って寝るように心がけよう。
[少し身体を起こして一旦座り直しつつ。バクの問いかけには、やや考えるような間を置いて]
そうだな、……
何か見たような気もするが……
ただの気のせいかもしれない。
だが、……いや。
[口元を押さえ、一度、横に首を振り]
恐らく何も見なかった、のだろう。
……君はまだ、夢は喰われたままかね?
そうか、見なかったのか。
[ぺたり、ライデンの前に座り込んで]
俺の夢は、まだ見つからない。
ただ、夢の登場人物は、見つかった気がする。
…そんなところで眠らんでくれ、クランケ。
頭を打った後遺症で意識障害が出たかと心配になったぞ?
[ようやく目覚めたライデンに苦笑い。]
夢というのはね、覚えていない方が正常なんだ。
脳内の整理整頓をするために、睡眠中に頭の中で広げた記憶の断片。
それが夢だからね。
必要なものをきちんと棚に仕舞ったら、残りかすは獏がきちんと掃除して、すっきり目覚める。
その作業の途中で目が覚めるから、頭の中がちらかりっぱなしのまま。
それが夢だと学術論文にはあるね。
[ふ、と思い]
忘れているのは、夢の途中で散らかったものをちゃんと片付けられてないからかな?
[物理とわかたれた、蒼の世界。
カメラのファインダーに赤が映された頃、
墓碑の間にゆらめきだした影、
遠巻きに、別の薄墨色のが、迎える態で現れ。
さらに向こう、
ひとつの墓碑の前に佇む、淡く暖かな色の影もあった*]
心配させてしまったようで、すまないね。
少しばかり気分が悪くて……
だが、今は大丈夫らしい。
[夢の話には、ふむ、と]
成る程。
それならば、実際に夢を見ていたのなら……
少しは思い出せてきている、という事になるだろうか。
とはいえ、見たかどうかもわからないのではどうしようもないが。
[獏というのには同じ名を持つ少年をちらと見つつ。腕を組み、思考を巡らせるよう]
散らかったもの……か。
夢を捕まえる方法は、あるよ。
眠りを誰かに見張ってもらい、うなされていたら起こしてもらうんだ。
…きっと最悪な気分で目が覚めるから、積極的にはオススメしないね。
[うたた寝から覚める。
寝汗でこめかみに髪の毛が纏わり付いていた。
薄暗い中を起き上がると、上着が床に落ちて視界が白む]
……ひつじ。
[ぬいぐるみと上着を拾い上げ、ぺたりぺたりと廊下を歩き出した]
─自室─
[乱暴に水気を拭うと、癖のある茶色い髪をとき、いつものようにまとめる]
[首の後ろにある、3つの金色のほくろが、きらりと光を反射した]
[やがてそれもスカーフで覆われる]
準備完了。
[鏡の中の自分に笑顔を向ける]
──夢を見たのはどちらでしょう?
[まるで自分の背後にカナメがいるかのように、鏡の中のアリスの台詞を呟く]
[バクの上着を片手に、自室を後にした]
返さないとね。会えるうちに。
うん、とびきり空腹だ。誰も夢をみないからな。
[医者にクスリ、笑ってみせて。]
ライデン、何か聞こうとしたろう?
なんだ?中途半端は気になるしな。
あげる。
[男達が何やら話し込む姿を見つけると、内ポケットから取り出した封筒を誰にともなく差し出しながら近づいた。
昨日拾ったそれは、大分しわが増えてはいるが、読まないままだった]
[2つの赤い花に気づいたミナツは、恐る恐るそれに近づく]
[そこで、カナメの声が頭に響く]
え……私が、レンを……。
[花がその証拠だとカナメが語る]
そんな……だって私、絵を描いただけで……。
[訪れたプレーチェに、やあ、と声をかけ。バクに手紙らしきものを手渡す様子を、座しているため見上げる形で眺める。続けて高い足音と共にやってきたペケレに]
やあ、今日……っと。
[写真を撮られれば少し驚いたように。アン、赤い花、という単語が聞こえて、一時、憂鬱げに目を細める]
[眠り姫が運ばれるのはじっと見守っていた。
抱きあげられ、落ちそうな彼女の
カメラをそのお腹のうえへ、不器用に置いた時、
写真で出会った男性の顔をルリの目は捉えた。
それで挨拶を]
ユウキですね。
ルリです。よろしくです。
[彼らが去った後は、ふらふらと――]
[興奮してきたのか、叫ぶようにしてその場にいるものに問う]
ねえ、ねえ!
どこかでレン、見なかった?
さっきここにいたはずなのに……いなくなっちゃって。
―墓碑群―
ミナツ…?
[赤い花の咲く前で、足が留まる。
ミナツの肩越しにどこかをみてから。
彼女のスケッチブックへ留まる、視線]
絵を、描いてたですか?
ミナツ、うるさい。
騒ぐな、世界の歌が乱れる。
レンは向こう側に行った。
もう二度と、帰って来ない。
それだけだ。
[とりあえず、彼女の問いに答えておく]
[不意に呼ばれる声にそちらを向いて]
ルリ。
うん、絵を描いてたんだけど……
その間にレンがいなくなっちゃって。
さっきまで、ここにいたはずなのに。
[スケッチブックには、さきほど仕上がった絵が
一番上に来たままで]
ミナツ。
レンは…影になったです。
それで……さっき、レンの、影は、
[す、と、人差し指が上がり、
スケッチブックの絵を指し示し、伝える。
さきほど二階の窓ごしに、知覚した光景を]
それを、みていたようです。
[ミナツの声がする、墓碑へと視線を向けた]
枯れない。
[手折った青い蕾はすぐに萎れたのに、墓に咲く花はどれも色濃いままだった]
…いや、わからない。
[胸ポケットのペンを手に取り、じっと見る。]
書いた気がするんだ、その名前。
白い書類に…何枚も。
東海林 杏。
書いた名前……。
ユウキさんは、これに見覚えがあるかしら?
[取り出したのは先ほどルリに見せた1枚の写真]
[目覚めたプレーチェが長椅子を離れ…
寝汗も乾く頃には、亡霊の姿も其処にはない。
漂う意識が、ミナツの悲痛な叫びを聴く。
それを「騒ぐな」と制する、バクの声も。]
世界の在りようも歌も、
…世界が決めるのではないですかね?
乱れるのは、それを聴くひとの心。
[姿は見せず――何処からか、亡霊のささやき。]
レンは……
[ミナツの声が聞こえれば、コートの肘を緩く握り。頭に響くカナメの声に]
わかっている。……も……
[小さな声で独りごちるように返し]
書いた覚えが? そうなのかね。
[ユウキの返答に耳を傾ける。彼に一枚の写真を見せようとするペケレの様を眺め]
[暫しの沈黙が、力なく膝を折るミナツを慮るように置かれる。]
[そして声は、不意にそのミナツと話しているルリの耳元へ。]
…騒げばいい。
但し、注意深く。
[悲哀も愉悦も、間近なら隠せない。]
世界が。緩慢に沈黙していくことに、気づいたのなら…
何か、変えられるかもしれませんよ?
[そして―――――― 期待 も。**]
[何か言いかけるライデンの声も聞こえたのか]
うん……。
もう、ここにはいないんだよね。レンは。
そうなんだよね……。
[寂しそうな呟きが漏れる]
はい、その絵を。見てたようです。
[そして彼女の傍に、
レンの影が佇んでいたようだと伝え]
[スケッチブックへ寄って首を傾ぎつつ、
仕上がった絵をのぞきこむ]
絵、すてきですね
…いいえ、素敵より、素敵だとおもいます。
…うまく、いえません。
[顔をあげ]
レンは、還ってはいません。
影になって彷徨っています。
望んでか、そうでないかは、わかりません。
ミナツ、だいじょうぶですか。
[レンの声はよくは、聞こえなかったから、と]
[ミナツを挟んで、
獏の反対側に、膝をついて座った]
[風になびく髪を耳にかける動きを、不意に止め]
ユウキ。
[名を小さく呼んで、写真を見ている背後に近づいた。
手は白衣へとゆっくり伸ばされる]
[名を呼ばれてもすぐには気づかず、白衣のすそをつかまれて、ようやく少女に目をやる。]
ん?…どうした?
[幾度か瞬いて、少女に問う。]
>>106
[つまんだ白衣を顔まで近づけて、すん、と鼻を鳴らした]
知ってる、匂い?
[瞳を伏せ、呟いた。
布から手を離すと、一歩二歩と後ずさってから、くるりと背中をみせて歩き出す]
…匂い?
あぁ、薬品の…
[少女の言葉に首をかしげて。]
キミも…僕のクランケ?
[何かがずっと、引っかかっている感覚。]
[つと、一つの墓標の方へ向く]
[そこに佇んでいる花色の影]
あなたが、アン…ですか?
[呟いた時。
花のような足取りで影は、白衣の方へ漂いゆき、
彼の頬へそっと、手を伸ばしたようだった]
>>110
知らない。
[ユウキの問いに振り向くと、首を左右に振ってまた歩き出した。
ぺたりぺたりと響く足音は、徐々に間隔が縮まって、駆け足の早さになる]
―泉―
カナメ?
[肩で息をしたまま、泉の端に腰を下ろす。
水に足はひたさない。
抱え込んだ膝に顔を埋めて、何度もカナメの*名を呼んだ*]
[去る少女をぼんやりと見送る。
目に見えぬ少女には気づく事もなく。]
…後悔が、沢山ある気がするんだ。
助け…られなかった?
[手の中のペンを、じっと見る。]
[出会ったことがなかった、桜色の少女が白衣の男――ユウキに駆け寄って行く姿を認めて]
…アン。という名なのか。
[こちら側に来たばかりの時の墓碑群の様子を思い出して]
同じくらいに、彼女もここに来たのかね。
赤い花、青い花。
まだ、意味は繋がらないけれども。
[眺める会話の中。ルリが、自分のことを知覚している様子を確認して]
…ルリ。君が見えている影、聞こえている声は、テンマだけじゃないんだな。
もしこの声が聞こえるのなら。
ミナツ。絵を、ありがとう。
あやまらないで。ミナツの絵、好きだから。
だから……描いてくれて、ありがとう。
そう、伝えてほしい。
もし、ルリの気が向いたらでいいさ……。
「見ること、聞くことができないはずの意思」の言葉を伝えられる。
それ自体が、奇跡のようなものなのだから。
[ふわり、とミナツの側へ。その動きに以前のようなぎこちなさはもう、ない。]
[すいと、足を返した、アン]
アン…?
[ルリの前で立ち止まり、
彼女の透ける指が、何かをさした]
なんですか?
[みれば、
直前まで佇んでいた、墓碑がある。
赤い花が彩るそれはアンのものらしい]
[ミナツの側に佇みつつ。獏の方に視線を向けて]
――獏。
ミナツを守って。
ミナツがもう一度、世界の絵を描くことができるように―――君が聞こえるっていう「世界の歌」も聞いてみたいよ。だから。
[静かに祈る。]
――絵を、ありがとう、と。
『あやまらないで。ミナツの絵、好きだから。
描いてくれて、ありがとう』
そう、ミナツに伝えてって。
レンが言ってます。
……。…
[「気をつけて。」その一言に意義を見出せないのは、
深く願い、望み、祈るレンの想う深さを聴くからで*]
…誰もが祈る。…叶える者の、苦悩は…
それと…獏。
[ミナツ越しに獏を覗き込んで、
大きな瞳が瞬く]
ミナツを守って、って。レンが、頼んでます。
それから。世界の歌を聞いてみたい、と言ってます。
[聞こえるテンマの声は他の者達とは違う不思議な響き方で。まるで、時が交差したような感覚。未だに慣れない響きに]
……不思議な感覚だな。
[響いた声>>+13>>+14に]
……俺が持っていると自覚できるのは、この心だけだからな。
殺されずとも人は死ぬ。多分、それは自然なことだ……空を遮る透明なものの向こうでは、きっと。
…だから、お前は再び結びつきを取り戻したとしても還ることができないような、そんな気がするんだけれどね。
[浮かんでくる言葉をそのまま口から紡ぐ。自ら口にする言葉の意味をはっきりと感じるにはまだ、記憶がぼやけすぎていて。心に全てを任せて。]
[記憶がないのにレンの事が手伝ってか、少々遅れて声を発する。
暫くの間周囲の会話をぼんやりと聞いていたが、そのうちに立ち上がり]
失礼。
もう少しだけ寝てくるよ。
[誰にともなく言い残して、その場を*後にした*]
[少し不思議そうに
ミナツと獏とを、交互にみた]
[頷くともなくミナツへ頷くと、
いちど温もりを握り返してから離し、
膝をはらって立ち、アンの墓標の方へ向かって*]
[ふと、こちら側へ来たばかりで意識がぼんやりとしていた時のことを思い返す。気になった事は…]
…そういえば。皆が揃って「手向ける」と突然言い出したのは…?
プレーチェが最初…だったかな。
[記憶の糸を辿る。目覚めた後の記憶は、目覚める前のぼやけた記憶と違って繋がるのは遅くなくて。プレーチェの言葉の後のペケレの言葉>>33を捕まえて。そして連想を]
…カナメが、言った…?みんなに?
カナメ。俺は何も聞いてないんだが。あの様子。みんなに必要な事?必要な事はおせっかいに話すお前が俺に話さない。
…という事は。俺には必要がないことか?何が?
何を言った、カナメ。
[少しずつ遠ざかるも、聞こえる事に変わりはない声へと問う]
[やっと話したカナメの声に]
…この上ないほど穏やかではないな。
ふぅん。…それで。『誰に』『何に』、『なんのために』手向けるの?
とても妙な話だね…。
俺が手向けられたとするならば。
手向けた『先』が存在するということ。
お前が答えない類の話だろうから答えが返る事は期待しないけれども。…でも。
やっぱり「この世界」はどこかが変だ。
……そんな妙な「死」であるならば。
仮に、あの透明なガラスを突き破って、適応できずに還る……そのほうが、ずっとずっとマシ。
…世界との結びつきを見つけることができるまで。
ぼやけた記憶から意味を見つけることができるまで。
俺はやっぱり、眠れない。
俺は……望んで彷徨う。還るその時までは。
[その言葉は―――決意。]
アン、ここですか?
えっと…?
[赤い花をかき分けのけてみると、
西欧の文字で記された下、花に隠れていた、
東洋の文字の綴りと、5桁の没年が露わとなる。
数字には、どこか覚えがあるかもしれない。
その傍の墓標に刻まれた、数字は4桁]
アン…?
[確かめるように振り返り、かろうじて届いた囁きは…幽かで、とても聞き取りにくかった]
ら く え ん …? と、何…?
もしかしてアンは…
眠る前のこと、覚えてるですか?
[刻まれた数字を見比べ、また向き直る。
すると長い髪の少女は、
肯定も否定も伝えず、手を挙げ今度は上を、
硝子の天井を包み込む素振りをして。
そして空中へ溶け込むように去って行った]
[その時ひときわ、
カナメの声が高まる]
カナメ…?なに…。
ルリが、生き延びる為に…?
ミナツ…?
ミナツが、どうしたですか…?
ミナツの所為でレンが…?
そんなこと、ミナツ、言ってたですか…?
わかりま、せん…。
なにを…はい、
ミナツには、死者になってほしくない、です…
[やがて声は、優しげな調子を湛えてきて]
手向ける。
[扉の前でしゃがみこみ、、
幾度も幾度も吐かれる言葉]
どうして、ですか――。
死者って、なんですか。
[地を這う蟻へ、差し出された指]
[見えぬものとの対峙は続く]
――いいえ?
カナメは、良いものだとおもいます。
それにカナメだけじゃなくて……
…さわげばいい。
ただし ちゅういぶかく。
[含蓄じみたこれは、
ルリ自身の言葉ではない]
せかいが かんまんに ちんもくしていく…?
[蟻を手に乗せたまま。
届かぬ扉を、knockするフリ]
……ずっと、思ってたです。
テンマは、いぢわる です。
そのくせ――
[あとは、口をつぐんだ]
鍵はまだ、かえしてあげない。
[ポケットの中身へ触れて独り言。
いましばらくは必要と。思ったか]
振り回したら、
…蟻、目を回してしまう、です。
[立ち上がる際には、よろめいて。
より緑が茂る所へ、蟻を連れて行こうと
樹の間に消え行く姿*]
誰に?
何を?
[“手向ける”ことを尋ねても、答えは聞こえない]
カナメ……
[泣かないで、という声は風に飲まれるほどの*か細さ*]
["お前が選んだKnightは、本当にKnightか?"そんな問うような呟きを聞いて]
…「世界」に惹かれる。
ミナツの絵から感じた世界。
獏が感じる世界の歌。
世界との結びつきを望む俺。
どの位置からでも同じさ。
そう思ったから。一緒に世界を見たいと思って祈った。
俺がこっちに来たのが、最大の誤算だけど。
……"途中で止められる"のは、きっと俺だけ。
今は『獏』が守ると思って振る舞えば――それは一番安全なのだろう?
[獏を見つめて困ったように肩を竦める。]
あたたかい――か。お前はそう感じるのかい。
ミナツが「おいしそう」、とは物騒な話だな…。
[撒き直されたマフラーに手を触れて。消え行くテンマを見送りながら]
――青い花。
花の色は、他の色へと変化をするものかね。
それとも永久に、同じ色?
あの少女はどうしてここに来たのだろうな。
俺と同じ赤い花。
俺はきっと祈りが強すぎて…掴まってしまったのかね。
結ぶ事。代償は高い…きっと。
でも、ミナツの描いた絵であるなら――構わないさ。
ここからでは止める事はできないのが、残念だけど。
[ミナツが手向けた絵にそっ、と触れた。その手は絵をすり抜けそうになるが、『これに、触れる』と思えば。丁度触れる位置でその手は止まる。]
――あの桜色の――アン。アンはどうしてここに居て、赤い花を添えられたのかね。
[その口から紡がれてゆく言葉に。カナメは何も答えはしない。]
……カナメ。
これが、お前が鐘と共に告げた事の『意味』か。
俺がお前の声を遮り、自分で感じるものを拒まないことで得たものは己の『心のかたち』。
『存在の意味』。
断片的ではあるけれども。
いまだ繋がらないのは記憶。だから、全てが何の為であるのかはわからない。お前はきっと……教えないだろうな。都合のいい事意外はさ。お前は何を考え、何を知るのだろうな…。
いいさ。…探すから。
[カナメへそう告げると。]
…さて。俺はどうしたものかな。
探すと言っても、どこから。何から。どうやって探し始めるかね…。
[テンマが見せた『消える事』の仕方も知らぬ少年は、墓碑群を見守りながら何をするべきか、と思案*]
[墨色に透ける亡霊は、閉じていた瞼を悪びれもせず
片方持ち上げて…波打つ栗毛を拭うペケレを見遣る。
こつ こつ こつ …ややあって、近づく靴音。
鏡の前に座るペケレの背後、椅子の背凭れへと
亡霊の蒼褪めた手が触れる。ゆらあり傾げる首。
女の滑らかな項に光るきらめき――みっつの金色。]
[ずきり、ずきり、痛む頭。失人は、右手で目頭を抑えて俯いた。瞳を閉じて、真っ暗な目の前に映るのは女の後ろ姿。首から上は、ぼやけていて見えないけれど。それでも、わかる。彼女は大切な人だった気がする。意識の底から浮かぶ、失人の想いとは違う、不思議な感情が、言葉になって口から漏れる。]
来世でまた会おう……か。
果たして俺に来世があるかな………
……。
[墓碑のミナツたちを写真に納め、
そのままレンズを墓碑に向ける]
requiescat in pace やすらかにねむれ。
[刻まれた言葉を読み上げた]
ダーリンは何をしたいの?
ずっと眠っていて欲しいなら、世界の終わりまで起こさなければよかったのに──ね。
眠り姫を無理矢理起こして、手向けろだなんて、酷い王子様。
[キッチンに響く小さな足音。
ぺたぺたぺたとシンクへ向かい、続いて物音と水音]
しゃぼんだま。
[ふぅ、とストローに息を吹き込むと、ぽたぽたと滴が垂れる。
しばらくそれを繰り返すと、いつしか綺麗な球体を作り出せるようになった]
[シャボン玉は空へ飛んでいく。
見上げ、「ら」でも「あ」でも「な」でもないような音で浮かんだメロディーを口ずさんだ。
古い古い、童謡の一節]
変、だよ。
[視線は、見える限りの空を端から端へ辿る]
[ルリが赤い花を掻き分ける様子を眺めていた]
って、ちょっと待って。
どうしてこんなに古いお墓が……?
それに、今っていったいいつなんだろう……。
[ますます不安になって、今がいつなのかの手がかりを求める。
スケッチブックや色鉛筆には表記がなかった。
部屋に戻っても、時計やカレンダーの類はない]
……そんなに長い間、眠ってたってこと?
どうして、そんなことを?
[突然かけられた声に驚いて、そちらを見る]
え!?
……ああ、プレーチェか。
そういえば、プレーチェは知ってる?
今がいつなのか。
[部屋に戻ってから、衣服の入っていた木箱に腰掛け、向かいの壁を遠く見ていた。眠り直すとは言ったが、いざ眠れる事もなく]
11018年……
[呟くのは写真の裏に刻まれていた年号]
あれが本物だとして。
私は……彼らは、一体どれだけの間眠っていたのだね?
[「知っても仕方がない事です」と、カナメが教える事は当然のようにない]
[ふわりふわりと、シャボン玉は舞い上がる。
一息吹き終わると、ストローをコップに戻した]
知らない……
[ミナツ>>150へ即答する]
ミナツは知ってる?
“おやすみ”はいつだったのか。
…おかしいな。
[袖をめくり上げて撫でる左手首には、淡い色の部分がバンド状に残る。]
腕時計を、していたはずなんだ。
腕時計どころか…何処にも時計が…。
[必要が無い、と声はささやく。]
…隠したい、のかい?
[いすから立ち上がる彼へと返す声は無い。]
>>153
テンマ、つめたかった。
[自分の右てのひらを見下ろして、瞳を伏せる]
時は……。
[ときは人が作るもの。
呟く声はごくごく小さい]
[しばらく思案していたが]
……考えてるばかりでは、見つかるものも見つからないな。
じゃあ、また…。
[溶けるように消えた桜色の少女に手を振り。
墓碑前から人がまばらになって行くのを見て。
消える術を知らぬ、知ろうとせぬ少年は歩き出す。
ビオトープの中を、建物に向かって。]
冷たかったんだ……。
[幽霊であるとすれば、触れられるだけでも幸いであろうか。
先の言葉にはそれしか返すことができず]
……そしたら。
また新しい時を……私たちに作れってこと……?
あのお墓も、私たちみたいに「手向ける」ことを、
繰り返してきたのかな?
本当に何も教えないつもりかね。
そうだろう、君は。
私に記憶が戻らないように、と、考えている……
過去の全てを隠してしまおう、と。
「そんな事はありませんよ」
なら何故何も答えないのだね?
自然に思い出すのを待っている、などとは言わないだろう?
……、
[問い詰めるような口調。ふ、と息を吐き]
すまない。少々熱くなった。
>>156
繰り返し、繰り返し、何を、誰に手向ける?
[カナメは答えなかった問いを口にしてから、新たな疑問を付け加える。
ただし、それは語尾の上がらない形]
何のため。
考えても仕方ないな。
………愛しのお姫様を助けに行くか。
[閉じていた瞳を見開き、首をふるふる振って。ふらり、立ち上がってから、虚空に語る。]
カナメよ、俺はお前の言いなりにはならない。
俺は、俺の選んだ道を行く。
それが我道。覚えておけ。
だが、何一つとしてわからないままでは……
おかしくなってしまいそうだ。
[おかしくなる?
いいえ、貴方は――]
[途切れるカナメの声。暫し待っても言葉は続かず]
……? ……まあ、いい。
君は……私に役目を伝えただろう。
それを果たす事で記憶が戻ったりはしないのかね?
「可能性はありますね」
また曖昧な事を。
[ふう、と溜息を吐きながら肩を竦め]
もう一つ確認するが……
……私の役目は、本当に正しいものなのかね?
「と、いいますと?」
間違った役目では、ないのかね。
手向ける。
だが…何のために?
[部屋を出、あの赤い花を目指す。]
アン。彼女は…手向けられた?
それとも…
[廊下に響く、サンダルの靴音。]
「そんな事はありません。
確かに正しいものですよ」
本当かね?
[ええ、と肯定するカナメに黙り込む。何度重ねても同じように上滑りする問答。立ち上がり、部屋の外に出て]
>>162
悲しい?
[言葉を飲み込むミナツの表情を見つめていたが、ゆっくり瞬きをしながら空を見上げる]
“空”はこんなに、小さくない。
[言って、見上げた格好のまま瞳を閉じた。
人工の風が頬を撫でてゆく]
[公園を小さく切り取ったようなビオトープ。
日差し降り注ぐ下には、二人の少女。
少し離れた場所から、ぼんやりとそれを眺める。]
彼女も…僕のクランケだったとしたら。
[白衣に染み付いた香りを、知っていると告げた少女。]
彼女はちゃんと、僕のところから巣立ったんだろうか?
それとも…
なぁ、カナメ。
感情と記憶が結びつかないんだ。
漠然とした事実と、奥底に残った思いと…
それがうまくつながらないのは、意識がまだ剥離しているから?それとも、記憶統合野に障害か?
[岩に腰掛けたまま、鳥の鳴き声がする方へ視線を向ける。
佇むユウキの姿が見て取れた]
“せんせい”。
[音になるかならないかの大きさで言って、眼を細め薄く笑った]
─キッチン─
[風呂敷に包んでおいたおでんの味見をする]
うん。味がしみしみだわ。
美味美味。
[再びおでんをお鍋に置く]
まだある──けど。
確か一晩寝かせたカレーが美味しいらしいのよね。
[カレーを開けかけて、蓋をして戻した]
[少女がこちらを向いたのに気づいて、小さく手を振って傍へ行く。]
調子はどうかな?プレーチェ。
今日はちょっと顔色も良いみたいだ。
[さらりと出てきた言葉は、きっと以前と同じもの。]
>>168
変わらないことなんてない。
[シャボン玉用の液体が入ったコップを岩に置いて、羽織った上着のボタンの辺りを握り合わせた]
時が流れるのはそういうこと。
>>171
とても穏やかな気分。
[ユウキへ照れたような笑みを向ける]
お父さんとお母さんはいつ来るの?
[決り文句のような流暢さで言った]
[空を見上げたまま。目を閉じて思案する。]
世界……手向け……手向ける先…
人が、もし生きていてはいけないが故の手向けであるなら…
…カナメが告げた、そして俺が見つけた己の存在意義に、反する…?
滅びる事で還るために手向けるのであれば。
"結ぶ者"など不要だ。
…カナメ。お前は俺にこう告げたね。
『―――幸運を祈るよ。
"結ぶ者"、レン。』、と。
…何かがある。きっと。だから―――探す。お前がなんと言おうとも。この空に本当にふれることができるよう、俺は…。
[その言葉はカナメへ。カナメからの返事を期待する訳ではないけれども。]
Ten little Injuns standing in a line.
One toddled home and then there were nine.
[静かな通路を歩きながら、無意識のように歌を紡ぐ。有名な詩に節を付けたもの]
Nine little Injuns swinging on a gate,
One tumbled off and then there were eight.
[どこかこの状況に重なるような]
[目を開けて。視線を空からプレーチェ、ミナツ、ユウキのほうへ。
声をかけようとするが、届かぬ事を思い出し。
そっと、傍でその会話に耳を傾ける。]
次の面会日にはまた来てくれるんじゃないかな?
もう少し数値が安定したら、一度帰省……
[プレーチェとの普段どおりのようなやり取りを、
横から入った金髪の少女の声が断ち切る。
我に返ったか、それとも呆けたか、
それ以上は続けられなくなって目を瞬く。]
…あ、あぁ…
確か、そうだった気がするんだ。
今、何か捕まえかけてたような…
[額を押さえて頭を振った。]
綺麗な声──。
でも、怖い歌詞。
[不可思議な笑みを浮かべ]
ダーリン──カナメ。
どうして、あの写真を残しておいたの?
あんな、下手っぴな……私の、初めての写真。
[カナメに語りかける]
『別れの儀式は、死者の為に行われるものではない。
自分を言い聞かせる為の物。
それならば何故、墓碑で記憶を留めようとするの?』
[すらすらと、いつかのカナメの問いを諳んじる]
答えは簡単。
前提が間違っているか、結論が間違っているか。
[事務的な平坦さで言うと、そこで深呼吸した]
[木漏れ日の下、
土へ下ろされた蟻は急いて行く。
どこかへ帰って行くのかもしれない]
[見送って唇をひらいた]
――カナメ。
アンは、どうして…
[突然さいた、赤い花]
[アンのようになりたくないでしょう、カナメが優しく語る]
……わかりません。
レン、「そちら」のせかいは……うつくしい、ですか。
[カナメの声が響く。落ち着いた声で絵を描けと促す]
……ちょっと、待ってて。
[昨日と同じように、スケッチブックを広げて描き始める]
[いつか獏が口にした形容詞を、
問いかけて僅か空気を震わせたものの、
その答えを恐れる具合に、顔を下げて。
むしろ彼に聞かれていない事を、期待していたかもしれない]
でも、無理はしないほうがいいよ。プレーチェ。
両親が来たときに元気な姿を見せられるように、ね。
………っ?
[口から紡がれた言葉は。]
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