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[こんぺいとうと一緒に雨が落ちてきたか。
それを見上げて、救い上げるように手を開く。]
――――――…。
勝手に消えるなんてもうヤダ…。
[消えたのは鬼の姿。]
なんで勝手に消えるのかなぁ…。
勝手に消しちゃうかな…。
そんな神様いらない。
そんな町になんか価値なんかない。
[顔を両手で覆うようにした。]
それでも1人でも愛してくれるなら。
[忘れないでいてくれるなら。]
愛してくれるなら…消えちゃダメなんだ…。
絶対…ダメなんだ…。
父さんのバカ……バカ…バカ…。
[消えてしまった父の姿を思い出す。]
還るかは分からないけど。
探さなきゃいけないなら諦めない。
愛されるから人で…愛したから人なんだ。
[空を見上げる。]
― 2009年7月 ××県 覚代木村 ―
おー。りんごあめー。
[間抜けな狸のお面がりんご飴を見つめている。
赤い丸がオレンジの灯りを反射して煌いた。]
――――――…。
空からこんぺいとう…は降ったよねぇ…昔。
[とか言ったら笑われた。]
あの時はー…誰かいなくなったのかなー…?分かんないー、けどー。
[狸は空を見上げたまま。**]
ねぇ、ネギのおっちゃんはー。
消えたほうが幸せだと思う?
消えないほうが幸せだと思う?
[間抜けな狸のお面がりんご飴片手に首を傾げた。]
雲はね。
消えちゃうんだ。
消えちゃうから綺麗なんだよ。
じゃあ、人間も消えるほうがいいのかなー?
神様はそんな人間が好きなのかなー?
[狸に隠れて表情は見えない。]
わたしはねー。
消えるとやっぱり寂しいから。
町の人もみんな好きだよ。
新しくてきれいな町も好き。
澄んだ川も好き。
青い空が好き。
だから神様の意地悪はヤダなー。
ネギのおっちゃん、めーって言っておいてね。
[りんご飴をべしべし振った。]
わたしはねー。
[狸の下で笑う。]
えへへ。
神様も好きだよ。
こんぺいとうだなんてかわいいよね。
きっと照れ屋なんだよ、ね、ネギのおじさん!
[なんだか1人で元気になっている。]
じゃあ、アキちゃんとギンちゃんにご馳走してもらってくるー。
こんなとき、年下って便利だよねー。
[わー、と走り出した。]
アーキちゃーん、ギーンちゃーん。
[狸が駆け寄ってきて。]
わたしのチョコバナナとベビーカステラ買っておいてねー。
[よろしく、よろしくとお願いして。]
後は誰にお願いすればいいかなー。
せんせー、とかお願いすればいいかなー。
[めいいっぱい食べるらしい。]
うん、じゃあ、後で家に届けてね、ギンちゃん!
[突き返した。
今はりんご飴で手一杯のようだ。]
おー、明日は雨かなー。
こんぺいとー降ってきたりして。
あは、わたし消えちゃったり、なんてー。
[やきそばは冷める前の方がいいだろうか、なんて考え始める。]
アイちゃんのお土産も考えなきゃね。
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