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狼……ねぇ。
[使者の語る話に、ふうと深い息を漏らす。
そうしている間も狼の遠吠えは止まない]
(状況は分かるんだけどね)
(だけどトナカイたちをほっとくわけにもいかないじゃないか)
行くのは行くからさ、先に行っててくれないかね。
こっちにも準備ってもんがあるからさ。
[容疑者扱いされるのには納得いかないけどね、という
言葉は心の内にしまったままで]
―長老のテント―
[ばさり。
入口を塞ぐ布が音を立てる]
……話は聞いたよ。
狼遣いがいるっていうのは――
いや、聞くまでもなかったね。
[狼がいつもとは様子が違う、それだけで十分だった]
操られてる、ってことなら
分からないでもないかねぇ。
あいつらが自分の意思を持たない、
生き物のかたちをしたモノだというなら。
そうだというなら、本当に我が身なんぞ気にせず
命ぜられるままに動くんだろうさ。
死ぬまで、ね。
[疑問を呈するようなラウリにはさらりと答える。
時折、言葉の狭間に獣の声が響く]
先に分かっていれば、別に余計なことをする必要もなく
狼遣いだけを狙えばいいんだろうけど……
結局は分からないんだろうねぇ。
知るのは本人ばかりなり、さ。
この中にいると言われてもねぇ。困ってしまうよ。
[余計なこと、とは即ち贄を捧ぐということ。
ドロテアのことを思えば直接的な表現を使う気にはなれなかった。
ビャルネの言葉には深いため息交じりで答える]
あの数は――異常だね。
今までだってあんなの見たことないよ。
周りがあんな毛皮に囲まれているなんて前代未聞さね。
よくもあれだけの数が集まったもんだよ。
[トゥーリッキとその相棒に視線をやる。
ウルスラからしてみれば害を与える狼を敵視する理由はあれど
害を与えることもない誰かの相棒を
嫌う理由も遠ざける理由もなかった]
そうさねえ、相変わらずってところかね。
病気のもいたから、余計に大人しかったもんさ。
だからこそ、狼が来るなんてことは
思ってもみなかったんだけどね。
そこらへんがまた、不気味なもんだ。
[あの日狼の気配に気づいたトナカイはいない。
それなのに、突然取り囲まれていた異常性。
それを思い、眉間に少しだけ皺が寄った]
まあ、そういうこと。
さすがにあれだけ予想外のことばかりで
その上あの数の狼。
どうにかできる方が凄い、
っていうかおかしいって思うけどねえ。
[お手上げと声をかけられたヘイノには率直な回答。
少し大げさに首を振って見せる]
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