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[ラジヲから流れる軽快なメロディにあわせ
似つかない麗しき歌声が、微かなノイズと入り混じる。]
あっつ…
[きちんと手入れが施された指先が団扇を手に、
涼を扇ぐ。]
おかあさん、今日って予定通り盆踊り大会、あるの?
[明け方の失踪事件は、小さな村に響き渡るに容易く。
唯一の娯楽すら揺るがすに等しく反響する。]
[投げ出した足許に掠める藍の着物。
その裾に微かに夏花の花粉が恭しく
散りばめられていようとは、誰が気付こうか。]
ひとりよりふたり、ふたりよりさんにん。
賑やかに越したこと、ないんでしょうかね。
[語尾を上げずして問いと換え、
どこか薄らぼんやりと聞こえる声に返す。]
[母親からは間延びした返答がこだまするのみで。
ノイズ交じりのラジヲは、歌謡曲ばかりを口ずさむ。]
次は…
[ごろりと横たわる懐から一通の封書を引っ張り出す。
無造作に並べられた名前、その中に引かれた紅色に目を奪われる。]
何で住人でもないあたしの名前が?
[疑問は、募るばかり。
暑さは、身を蝕むばかり*]
[困ったような、呆れたような、諦めたような。
さまざまな想いが入り混じる柔くゆれる声に、
小さく微笑みを浮かべ]
そうね。あたし達には解らないわね。
真意なんて。
[一絡げにされた心地よさを漂わせ。
ひとつ頷く。]
おかーさん、あたしちょっと様子見てくるね。
[家に居たって生ぬるい風の餌食になるならと。
ゆっくり起き上がった爪先は玄関へと向かう。
歩く道順にはらりと落ちた花粉。
気に留めるものなど、いない。]
[下駄を鳴らして歩く道。
初めてではない余所行き顔の風景は、
まれに特異な眼差しを投げかける。]
男女じゃないわよ。
[滑稽な皮肉に強がりを叩き行き進むと。
遠くに祭りに似つかわしくない人の姿を見かけた。]
あのひと暑そうね。大丈夫かしら。
それはそうと、次は誰を誘うのかしら?
[茜色に染まり行く空を見上げ、問う。
"誰が"、などという野暮なことは紡がない。
生ぬるい風が、頬を撫ぜる。
呟いた眼差しは、一度だけそっとまつげを伏せた。]
[両手に鞄を抱えたひとは、
暑さに負けず逞しく通り過ぎていく]
あっつ…
[陰り始めた空を眺め。
藍の浴衣はさらりと揺れる。]
つぎは あなた
[手に握る封書をなぞり、独り言を紡ぐ。
少女はひまわり畑で消えたと言う。]
かみさまは、賑やかなお人がお好きかしら?
それとも、謎めいたお人がお好みかしら?
[くすくすと小さな笑い声を立てて。
伏せられた視線は、次なる紅色のあかしを待つ、
摩訶不思議な手紙へと。]
つぎは、あなた?
[通りかかったひまわり畑。
不安げに紡ぐ少女の独り言を拾い]
来年もひまわりを見たいなら――
[微かに笑みを浮かべ、ひとり詠う。]
少なくてもあたしは見せてあげる*
妖精が?
[響く、柔い低音に初めて知る態で驚いてみせ]
でもそうね。いずれ呼ばれるでしょうね。
かみさまに。
でも、来年も向日葵は咲くわ。
少なくてもあたしか貴方、どちらかが居る限りは。
[からんと足許で鳴る、乾いた下駄の音。
零れ落ちた花粉が、ほのかに立ち上った。]
そろそろお時間かしら?
[ふと何かに諭されるかのように、
封書へと視線を落とす。]
かみさまがお呼びなの。
悪く思わないでね?
だってこうするしか――
…貴方は、今度は誰を招きいれようとするの?
[指先は並ぶ名前のうち、
ひとりを選んで紅い線を施そうとしながら。
柔く低い声の主へと、そっと問い掛けた*]
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