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まさか本当に出て行くとはな…ハハッ!
[アナウンスに急かされ、友人に促され。
名指しされた少女は、少し躓きながらも迷わず走り去る。
見送る姿に、憑りつく者は美しく笑む。
涼やかに、声を高らかに。]
更におひとり様、ご案内いたしました。
お客様、よきお時間をお過ごしくださいませ。
――永遠に。
[生首だけになった少女の姿を見遣り、目を細めた。
扇状に広がる美しい髪が印象に残る。
嗚呼、そう言えば先に案内をした少女も。
美しい長い髪だったと知る。]
さぁて、次は…
[残された少女の顔を見て、目を細める。]
[チカノの言いなりになって、駆け出したナオを。
私は止めなかった。むしろ自分の状況がとりあえず無事になるだろうと思い、胸を撫で下ろした。
卑怯だな。
自嘲した。
その矢先に見えた、サヨの頭が転がっている光景も。
私はただ、見送った。]
[「3分間だけヒーローになれた」。
それはサヨに似つかわしくない言葉だから。
私は空耳だろうと思うことにした。
たった数分の間、アンが生首になり、更にサヨまで生首姿になった。そんな状況下で冷静で居られるはずもない。]
ねぇ、エレベーターが無事一階に着いたらさ、ナオが食べたがっていた「「あみん」のパンプキンパイ」、買いに――…
[室内にはもう、強制退去を命ずる声はなく。ただ警告を告げるようなブザー音だけなっている。
私は憔悴しきった顔で二人を見ようとしたが。]
――…あのさ、私が何をしたっていうのよ。
[まるで壊れた機械人形のように、額へと手刀を繰り返すチカノに。私は呆れながら文句を言った。]
知ってるよ。霊能とかっていう奴だろ?
夏にお誂え向きの話の延長かと思ってたが…気でも触れたか?
[そう、さっき確かにチカノは言っていた。
悪戯する者が判る、と。]
それと、誰かが犯人ってさ…
[私はヒールを軸にくるりと向きを変え、ワカバを見つめた。]
なぜこの中に犯人がいるって思えるのかな?
こんな狭い部屋に居るのに。首だけ先に置ける訳ないでしょうに。
マシロ? …誰、それ。
愉しいね。嬉しくて仕方がない。
追い出す理由? 理由なんて無意味だ、ワカバ。
だって、次の階で、君は「私」に追い出され――
チカノが首になるんだから。
[きっと、長い髪は美しく扇状に広がるのだろうと。
チカノへと伸ばす指先に力が入る。]
それはそうと。君を残した理由はな、
鬼ごっこをするには鬼と、追う者が必要だ。
ただ、*それだけだよ*
[ふと、私は誰かに呼び起されたような感覚に、両目を開けた。
目覚めた、という表現が正しいような気がしたのはなぜだろう。
不思議に思いながら辺りを見渡すと、私は「私」の内側から周りを見渡しているような違和感に襲われていた。]
チ…カノ? それにワカバ…。
あれ? サヨは? ナオは? それに――アンは?
[確かにさっきまで傍にいたはずの姿が見えず。
私は不安げに声を上げた。
しくしくと、パンプスの中で足先が痛む。]
困る…? 捕まえた? 鬼の…部類?
チカノ、何を言ってるだ?
[理由が見えず、戸惑い声を上げるもどうやらチカノ達には聞こえないらしい。]
やだ…、こわい… 怖いよ、チカノ…
[迫りくる無限の恐怖に私は震えながら、肩を掴むチカノに縋るような視線を、声を投げかける。]
アン、ナオ、サヨ…、
[名前を呼ぶ]
ワカバ…、チカノ…
助けて…!!
「私」を捕まえているなら、ここから助けて!!
[恐怖に震える私は、皆の名前を力の限り*叫んだ*]
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