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[生贄の少女は神に召される前に殺され、そして新たな血のショーが始まるのを、ビルの上から冷やかに見降ろしている。
飢えた少年も、翼の生えた亜人も。
首袋を振りまわす女も、全てが滑稽な舞台のよう]
…………ねえ、ドロテア。
あんたは私を怨むかしら。
あんたの決意を無駄にさせたのは、渡しだから。
[でもね、と言葉を区切ると醜い豚のような男へと蛇の眸を移して]
あんな男のために、あんたの命をひとかけらだってあげたくなかったの。
これは私の我がまま。
……ごめんね。
[最後の別れを告げて、ビルの屋上を後にする。
もう此処には用はないと言う様に**]
[祭壇での狂乱の宴など知りもしない、そんな涼しげな顔をして。
仕事中なのか、何時もと同じように交配した街中を駆け回る軽業師の男へと声を掛ける]
ねえ、そこの色男。
遊んで行かない?
[するりと伸びる白い脚。
煽情するようにそれを見せつけて、細い指でさらに煽る様に撫でて]
今ならサービスしてあげても良いわよ。
[蛇の舌のように赤い唇が、にぃ…と弧を描いた]
[胸元から覗くのは、白い封筒。
いつぞやに、彼が己の元へと運んだ手紙。それの端をちらりと見せて]
コレのお礼もしなくちゃいけないし。
ね、いいでしょう……?
[シナを作り、媚びるように男へと絡ませる腕。
ぴたりと豊満な胸を押し付けて、その膨らみの柔らかさを伝えるか]
…… ……。
[自分よりも背の高い男の耳元へ、背伸びをし顔を近づけて。
ふぅ…と息を吹きかけた]
[吹きかけると見せかけて囁く言葉。
胸元から覗かせる封筒を寛げて見せれば、その中にはたった一言。
『遺されし禁断の果実の実、
その全てを滅せ――』
と書かれていた。
蝮の娘は蛇を思わせる眸で男を見上げて]
この手紙。
……誰から受け取ったの?
まさか……あの施設の?
[もう忘れたふりをしていた、記憶の底の地獄絵図がまざまざと蘇る]
[命を奪うよりも、恐ろしい実験が何度も繰り返されていたあの施設。
まだ少女だった己も、あの施設の片隅でスタッフとして参加していた事を、この男は覚えているだろうか]
…………
[思い出すだけで震える身体をしっかりと両腕で抱いて、眸を伏せる。
長い睫毛が震えるのは、止められなかったけれど]
……ね。いいでしょう?
[男の腕から身を離し、胸を強調するように己の身体を抱きながら]
あそびましょう……?
[紅い唇が紡ぐ声は、微かに震えて。
まるで少女のような響きを滲ませていた**]
[男の大きな手が肌の上を這えば、艶めく唇から漏れる、甘い吐息。
何かを確かめる様にごつごつとした手が這う度、ふるりと震える身体。
恍惚とした顔でその手を受け入れる]
…… ……んっ。
[柔らかな尻をきつく掴み上げられても、悲鳴を上げる事はせず。
それどころか、男を見上げる顔は何処かうっとりしたもの]
骨以外のモノも、お望みならば……。
[室内へ降り立つ男の足元に跪き、銜を外した男の顔を見上げながら。
その手は柔らかく男の脚を撫で、その中心へとゆっくりと登っていく。
お嬢ちゃん、と。
名前ではなくそう呼ぶ男に、曖昧な笑みを浮かべて]
ああ、それとも。
骨抜きにするほど激しいものを、お好みかしら?
[顔に掛かる黒髪を指で描き上げながら、ふわりと微笑んだ*]
……嘘つき。
[銜を外した男の顔を見上げて、
詰る様にその唇に甘く噛みついた。
すぐに唇を離し、硝子球めいた眸を見詰めて]
――……あんたが書いたのだとしたら、今更すぎるわ。
あそこでの事。
お互い触れないようにしていたのに。
[どうして――…と、音もなく唇だけで紡いで]
[サーディの事を問われれば、苦く笑い]
随分と物知りなのね。
……ドロテアの事は、私の詰まらない意地よ。
あんなバカげた祭に、あの子の命を一欠片だってあげたくなかったの。
[肩に感じる温もり。
乾いた問いかけに、そう返して顔を反らす]
馬鹿な女だって、笑っても構わないわ。
[小さく息を吐き、蛇はその眸を伏せた]
他にもいるのね。
私みたいな、馬鹿……。
[男の言葉に、苦い顔のまま笑う。
髪に感じる熱。梳き流された後に残るのは、仮面を脱ぎ去った少女の顔]
[休めて、と。
言葉を紡ぐ男の真意は判らない]
―――……。
[だけどその言葉に従う様に。
ゆっくりとそのまま、眸を閉じた]
仕込んだ男はもういないわ。
[蝮の娘となった時に、身も心も喰らってしまったから。
男の中心から手指を離し、薄く笑うその舌から零れ落ちるどろりとした赤黒いシャワーをうっとりと見上げて]
男って、本当に――……。
[その言葉の続きは発せられないまま。
悲鳴を飲み込む音と、肉の焦げる嫌な匂いだけが小さな部屋を満たして**]
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