情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了
[仄かなハナミズキの香り。聞こえた声に目を開き、バクの姿を捉えて]
……終わった……?
[呟く。背を向けるバクのふらついた様子に、声をかけようとして、やめた。何を言うべきかと、思い付かなかったように。その背を見ながら、ただ立ち尽くし]
これで本当に終わったのなら……
儀式が成功したのなら。
「救済」が訪れたのならば……
[呟きながら、崩れるように膝を折り、その場に座り込む。まだ雪で染まっている地面を見下ろし、そこに薄く影を落とす傘の持ち手を握り締め]
……そうです。終わったんです。
彼らから逃れる術は、成立したんです。
だから…… お父さん、
僕は嘘吐きではありませんよね。
役立たずではありませんよね。
悪い子では、ありませんよね……?
[問いかけるように零す。空を、*仰ぎ*]
[しばらく陣の中央で座り込んでいたが、そのうちに思い出したよう、立ち上がり]
……様子を。
見に行かないといけませんね。
[呟いて村を歩いていく。皆がどこにいるのかはわからなかったが、とりあえずと管理棟に向かった。その近くまで来て]
……?
[何やら賑やかな気配に、首を傾げ。傘を閉じつつ、慎重にその扉を開き]
……。
[中を行き交う死んだはずの人物らの姿に、瞬いた。息を呑み、玄関先で立ち尽くす。やがて誰かに声をかけられて、何故だか生き返った、などと説明されれば]
……、何があるか、わからないものですね。
この世界は……
[少時、黙った後。呟くように言って、無意識のうち、微かに笑った。少年にとっては久方ぶりの笑顔だった]
[それから。やがて色々の処理が済み、村を出る時になった。外から此処に来た人物の中で、一番初めに。朝早く、少年は村を後にして]
……この世界に、平穏があらん事を。
[山から村を見下ろしながら、小さな祈りを口に出す。
近く、目的地のない旅に出ようと。真の平和を求めていこうと、少年は考えていた。そうして、少し、過去の呪縛から開放されたような気がしていた。
黒い傘を揺らして、*歩いていく*]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了