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うる、へー
[ウルフはひらひらと片手を振った。そこに、そっとミネラル・ウォータのボトルが置かれ]
お マスター気が利くね
さすがじゃん?
いー女じゃん、あれ
[うとうとまどろみつつも、薄目で他の客の様子を窺う。
店の客には、女が二人。
どちらもそこそこ、好みのタイプだ。
しかし一人はどう見ても堅気じゃないし、寂しい財布の中身を思うと迂闊に手も出せない。
他には男が二人と、かの変わり者。
いつもの顔だ。…… だ よな?]
おれはー。
魚より、肉 だな
[そういえば、生まれ育った場所は海の傍、だった 気がする。
子供の頃は、あの海の生臭さが大嫌いだった、ような。昔のことなんて、忘れてしまったけれど。]
なんか肉ねえの?
ジャーキーみたいのでいいわ。
…あ?
なんだ、何が
[ただならぬ空気にふらつきながら立ち上がり、奥の扉へと近づく。へたり込んだ女の後ろからひょいと覗き込んでみて]
う、ぇ
[状況を把握するのにたっぷり5秒を要した。
こういうものを見るのは初めてではなかったが、それでも咄嗟に口をついて出たのは、酷く間の抜けた一言だった。]
……なんだこれ。
こういう時どうすんだっけ。
電話…でんわか?固定あるよな?
なあ……
マスター?
[先刻までカウンタの中にいたはずのマスターは忽然と姿を消していた。]
あれ どこ行っ
[言い終わらないうちに、柄の悪い男が、眼鏡の男に掴みかかるのが見えて]
おい ちょ
待てよ、待ちなってお兄サン。
[落ち着けよ、と続けようとしたが、さて]
あーあーあ。
やっちまったよ血の気の多いやつ。
[放り投げられた眼鏡を眺めて眉を少し、上げ肩を竦めた。]
…で、なんなんだこの状況。
誰かこのねーちゃんの後、席立ったか?立ってないんじゃねえの?
[ちらりと帽子の女に視線をくれたが、それ以上何か言うこともなく。]
面倒ごとは御免だぜ。警察沙汰もな。
帰っていいだろ、俺は関係ねえ。
[仮名のウルフは、不機嫌そうに言う。
突然の出来事にすっかり酔いは醒めていた。折角の酔いを邪魔されたのも気に食わないし、さほどきれいでない身では、面倒なことに巻き込まれたくもない。]
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