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…わかった。
[囁くように落として、一人階段へと向かった。
気付けばポールを支えのように使って、ついている。
一段一段降りていったが、ついに途中の踊り場にへたり込んだ。
恨めしく階数表示を見れば、2階と3階の中間であるようだった。]
[コハルちゃんの話に自分の名前が二つ。
少し不思議な気分になりながら、私は、コハルちゃんの世界の私を思ってみる。
でも、私の外見を思い浮かべただけで、それはどうしても私になる。]
嫌い?なら、コハルちゃんは、自分の世界がなくなってもいいと、思ってる?
[嫌い、というそれは、世界を守る為の戦いの中で、やけに浮いて見えた。]
咎められても……やらないよりマシだ、って、私は思う。
でも、……コハルちゃんは、優しいんだろうなぁ。
[気持ちを思えるのは、きっと優しい証拠。
ソラさんの名前を聞いて、私は泣く代わりに、ちょっとだけ笑った。]
[営業の始まったフードコートは、死に包まれた屋上の朝とは場違いな喧噪と活気に満ちていた。
デンゴの目が、商品のイラストを眺め回して
キラリと光る。
丸くてうまいもの。
――そう、自分はそれを求めにやってきた]
ふはは! セイジのにーちゃんが予言した、
食べられないとゆー未来を、覆してやる のだ!!
[実際は嘘>>3:190だったのだが、本人は完全に真に受けていた。
程なくして、「たこやき」の看板と、丸くてほかほかでうまそうなイラストを見つけて、意気揚々とそちらに近づく]
よっしゃあああああ!!! おっちゃん、くれ!!
[1パック受け取り、席につく。
そして湯気の出ているそれを1個、口に放り込み…――]
っ、 あ、 つ、あつ はふっ!!?
[舌を火傷した。思い切り]
『9thは、たこやきで火傷する』
[開いていた絵日記が、楽しげにページを更新した。
デンゴはジト目で絵日記を見下ろす]
…………おまえも食えっ! 道連れじゃー!!
[表紙のカボチャの口にたこやきを1個押し付けた。
もしゃもしゃ。
……食べた。
・・・・・・・・・・・・・・!!!!
カボチャは涙目になっている。
デンゴはガッツポーズをした]
───…は。
[壁に背をつけて、座り込む。
首から後頭部をぶつけたあとは、打撲だろう。
鈍い痛みは頭痛のように変わりつつある。
脇腹は、じんじんと心臓と同じリズムで痛みを伝えてくる。
落ち着いて見てみれば、
シャツごと腹を裂くように鑿の刃が滑ったらしかった。
内臓に突き入れられなかっただけ良しとはいえ、痛む。
耳朶に、未来を告げる日記が響いた。
見上げてみれば、あとを追ってきたらしき姿がある。]
[>>104 口ごもる様子には、少し珍しい気がする。
続いたなんだか、曖昧な言葉に少し視線を落として首をふる]
……僕に、戦う理由がないわけじゃない。
早く、終わらせたい。壊れる世界は少ない方がいい……、だから、どう戦えばいいか、……少しわからない。
[つい4thの袖を引こうとして、
もう相手が洋装なので手はからぶってしまった]
……僕は殺せる。他の誰かでも、自分でも。それが誰でも、心を楽にする肯定は……したくないけど。でも、お前のそういう色々は少し引き受けても、いい……。
[殺す、というのは嫌な行為だ、
だから去り際、見上げる視線には案じるような色が、少し乗っていた。]
うん。
クルミが笑顔になれない世界だったら
私はいらない。例え自分が死んだとしても。
[ためらいのない答え。
自分にとって意味のないものなら
それが世界そのものでも価値はない]
それで悲しむ人がいるなら、私はやらない。
分かってもらおうとも思ってない。
それに私は……優しくなんてないよ。
人殺しだしね。
[今でも、忘れられない。
親友にさえ言えなかった告白]
セイジ。
[自ら頼んだくせに軽く目を見開いて名を呼んで、
それから、嬉しいのか情けないのか分からないような顔で、]
ごめん。…ありがとう。
[礼を口にした。]
でも、コハルちゃんの世界を壊す、ってことは、もしかしたら、まだ生きてるかも知れない「クルミ」を、コハルちゃんが殺しちゃうのと、同じことだよ?
[はっきりと返る言葉に、強い意志は読み取れる。
それで良いのかどうかなんて、私には判断出来ないから、私はただ、浮かぶ問いを口にするだけ。]
……人殺し?
[ここに来て、コハルちゃんが誰かを殺した、なんて文章は見ていない。
だから私は、首を傾げる。]
[たこやきを食べながら、
デンゴが読み返しているのは絵日記だ。
11thの最期の様子。
12thの最期の様子。
昨日までに死んだ0thや7thや10thと違い、
11thも12thも、言葉を交わしたことのある相手だ。
…その想いのカケラを、知っているから]
………、
だうー、駄目だ。
ちっと流されちまってる。 っ、ちくしょ。
[ぱちんと両手で自分の頬を叩いた。
気合を入れるように]
それは、分かってる。
まだ生きてるかもしれないって。
だけど、あのまま私の世界が残っても
きっと同じ思いをさせる。
だから最初は神になろうと思ってた。
それで、ここに来て
……自分の世界って本当に酷いんだって。
ここに来た人が、みんないい人だったから。
みんなが自分の世界に価値があると思って
戦うなら、私は多分……いてはいけない。
私ね。
父親を――殺したの。小さい頃に。
……、別に。
きっと、寝覚めが悪い って奴だろうし……
[謝罪と感謝を告げる言葉には、
一度顔を見やってそれからまた傷口に視線を落とす。]
なんでそんな顔してるの……
[裡にわだかまりはまだ、きっとある。
けれどそれは彼自身にでは、なかったから、
やっぱり同じことの繰り返しに、なりそうだ]
[私は、コハルちゃんの話にじっと耳を傾ける。
少しでも多く、背負う為に。
―― 本当に守る為には手が少ない、って言った、ゼンジさんの言葉が頭を過ぎる。
そう、手が少ない。だから、……全てを、守れない。]
……お父さんを?どうして?
[親を殺す、なんて、私の世界では滅多に起こらない。
目を見開いたのが、自分でもよく分かった。]
……酷いことをしたな。と、思って。
[なんでと言われれば、また眉が下がる。
傷口を看てくれるのには抗わず、目の前に揺れる髪を見ていた。]
俺はお前の気持ちに…酷いことをしたと、思ってさ。
だから、きちんと話がしたいと思って。
……何ていうか、守りたかったんだ。
お母さんを。
父親って言うのが、クズの見本市みたいな奴で。
何もしてないのに、殴ってばっかりいて。
私もいつも殴られてた。
だから――殺したの。
でも、お母さんは
「もう絶対にこんなことしちゃだめ」って
泣いてた。
それから、他の人を悲しませるようなことは
したくないって、思うようになったの。
[クルミを見ていられなくて、視線が逸れる]
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