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[子守唄で胎児を抱き揺らす
かの娼婦の元へは行かない。
――――しとり
しと、
しとり…
錆びたクレーンの先端にぶらさがる何か。
其処此処から滴る血。
吊るされているのは白目を剥いた運転手。
軽業師は仰向き、暖かい滴りを身に受ける。]
( ― …痛い? ― )
[奪ったナイフはちゃちなもの。
小さな刃を際どく寝かせて滑らせる。
既に生皮を剥がれた太腿を、薄うくに削ぐ。]
[暴れて助けを求める犠牲者は、然し己が
切れた腱の断面をひくつかせているだけな
ことを理解できない。己の姿を見られない。
――喉へ突っ込まれた鉄パイプが、
声帯を震わせることのないように
そう配慮されたものとはわかるのだけれど。]
[割れ曇ったロードミラーの首が皿代わり。
向こうが透けて見えそうな薄肉が、ひたり
また一枚薄造りめいて並び、運転手の膝は
削り取られた軟骨の故にかたかたと震える。
脂を浮かせるナイフを丁寧に拭き、男は笑む。
――――熱源に寄生するいきものの両腕は、
旧友たるマティウスの血に肘まで濡れた後、
ひとときもその色艶の乾くいとまがない。]
[尋ねたいことを聴くのは一度だけ。
それから先は――声も出させぬ地獄。
ぴく、ぴくと蠢く運転手の首が、揺れる。]
……
……
[逆さ吊りにされた格好で身動きも出来ず、
喉から鉄パイプを生やした瀕死の運転手は
鉄パイプの先から垂れる胃液で、
何度目かの「ころして」を書いた後――
軽業師が撒き直した砂の上に何かを書く。]
…
( ― ありがと ― )
[知覚されるか解らぬ手話を運転手の腹へ
軽く綴って。脾臓へ触れるだけの状態で
刺しておいたクレーン車のエンジンキーを
――――押し込んで、捻った。――――]
[ずしゃり、
銃痕刻まれた壁に片手をついて、身を支える。
男の片足は、引き摺るほどの長さもない。
息は上がるが、熱を極力逃すまいと馬銜を噛む。
炉の火が落ちたはさいわいで、
傷口のコールタールは固まりだし…
大規模な追跡を受けずに済んでいる。
――相手取るのは、]
( ― 『カレワラ』… ― )
[静かな場にこそ伏せられた、罠と其の*仕手*。]
[嗚呼、アア―――、
幾十幾百もの金属で編まれた樹は、成長を続けん。
緩き螺旋は堕天を祝すが如く。
夜闇にちらと舞う、千切れた炎で、艶やかに濡れる。
堕天の乙女歩む毎に、歩み邪魔せず裡を開け、
『実』を護る肋骨/螺旋の華が咲/裂く。]
[樹の枝々は、病弱な主の腕を支える執事の様に、堕天の乙女の脇を護れば、生命を讃えよとばかりに、葉擦れ音。葉/凶器の落ちる先は、零落の獣達。]
[足を離す間際、縋るように絡み付く血管の熱を感じた。
生命の中心を喪ったものの、残された細胞の群れは未だ朽ちることはなく。
むしろ、己の生命の行き先を探るかのように、細胞の寿命の続く限り果実を食した者を追っていた]
あなたたちも――さみしい?
温もりが、恋しいの?
[言葉に対し返事はないが、細胞の蠢きを肌の上に感じたなら拒みはせず。
"彼ら"の生命在る限り、共に熱を分け合うだろう]
レーメフト。
奴ハ一体、何ヲ考えているのヤラ。
[その一件以外にも、いくつかの目撃は届き。
『引き揚げ屋』の行動を、あるいは彼の詳細を、調べる暇は無かったけれど。
それだけの能力を持つ『異形』が、今まで街の中でひっそりと暮らしていたのかと、それが少しだけ可笑しかった。]
[ドン、と、何かが爆発する振動は間近に。
夜に滲むコールタールの香りが。
罪に濡れ堕ちた翼の羽ばたきが。
神経中枢へと到るのは、そう遠い事ではないらしい。]
俺は、極普通の人間だが。
――簡単には死んでやれないぜ?
[鋭い銀を鞘に収め、腰を上げる。]
強いものが生き残るのさ。
何をしてでも、願い叶える為に生き残ってやる。
そのしぶとさこそが――
―― ヒト の 強さだ。
[カウコは、そこで、父親を真似た言葉を捨てる。
この場所を握るのは、誰でもない『自分だ』と言う代わりに。]
――『カレワラ』を守る。
[幼い双子は、一糸乱れぬ頷きを、その言葉に返した。
片方は己の等身ほどもあるアサルトライフルを抱え。
もう片方は、長柄の斧を抱え。]
[もう走れないクレーン車のキャビンから
引き抜かれ持ち去られたシガーライター。
吊るされた肉塊の身元は推測でしかない。
雨水貯蔵タンクの脚部を引き倒した直後に、
行方知れずとなった運転手と思われること。]
[待ち伏せした者の腕を折って火炎瓶を奪う。
火種を抜き取り、粗悪灯油を飲み干して――
火布の端から垂れるしずくまで惜しそうに
舌へ受けた男が、火種ごと其れを喰ったこと。
14人の同行者を失った報告者の肩には、
連結弾帯でなく仲間の腸が斜にかかる。]
[黒い翼で慈悲かける翼人の報告は
果たして『カレワラ』のもとへ届くか。
其の人が両手に掬い上げた蠢く「何か」、
持ち主が斯く成り果てた顛末の全ては。
街で散見された蛇が戻っていった先、
宿に部屋を取っていた筈の娼婦の行方は。
様々に紛れ、カウコへと齎される報は
――――少しずつ数を減らしていく*。]
[コン、コン――
単純かつ常識的なノックが二度。
隠れ得ぬ匂い、クレオソートの刺激臭。
身に染み付いた其れは、真の毒を隠す*。]
[ぴん、と空気が張り詰めるのは、まるで、尖らせた神経の先のよう。
幾度かの争い混じる音もあったか、それが次第に近づき、
それは仕舞に、規則的で単純で、あまりに『普通』のノックの音となる。]
――どうぞ。
[同じく『普通』が、それに返される。
『知覚』を多く失った中枢に、毒を招く。
人ならざる香りが、たった一人を予期させる香りが建物を包み漂っていた。]
[冷たい壁がむき出しとなる部屋。
瓦礫の山や、情報屋の持ち込んだ機材、その他武器など納められる箱も積まれてはいるが、人同士が戦いを繰り広げるには十分な広さと高さがある。]
……こんばんは?
[ドアが開けば、口を開く。
先に分かれてそれほどの時は経っていない気がしたが、久しぶりに会うような、不思議な感覚での、挨拶。
白い帽子を緩く傾ける。
その両脇に、同じ顔が武器を構え、同じ貌が来訪者を睨みつける。]
ふう ゥ…
ああ、
[深く、呼吸。喉鳴りはしない。]
[―――直後、ひるがえす長身は]
[カツン]
こんばん はァ ?
[双子の好む無着味のポップコーンの如く、
一度床を弾き――カウコの目前まで疾走した。]
[風圧は軽業師に遅れてやってくる。]
脇を抜かれた双子の面持ちは如何か――
振りかぶる片腕、五指は掴むかたち*。]
[紅く粘つく指を男の身の内から抜き取る。
体内の温もりを存分に堪能したその手は、手首まで染まっていた]
ああ、あたし、こんなにも愛されてる。
[指に柔らかく絡み付く臓物の感触を思い出し、うっとりと目を細める。
そうしている間にも、鉛玉が頬を掠めていき]
あらあら、どうしたの?
危ないからそんなものは置いておきましょう?
[弓を構え放たれた一撃は、慈悲深くも相手の利き手の手首から先を喪わせるだけだった]
――もしかして、
[腹を貫くべく下段に構えられた大振りのナイフを、弓で上方に弾き防ぎながら]
「かんげい」してくれているの?
[天青石色の髪を揺らし、小首を傾げる]
それなら、挨拶に行かないとね。
この街の「頭」に――
[肯定の返事はなかった。
愛すべき同胞となった地上の住民に微笑みかけると、地上の流儀でこちらも挨拶を返す。
残念ながら、その声を中枢まで届ける者はごく少数だったが]
[炎に踊る乾いた実の様に弾く跳躍は、瞬く間に距離を詰め。
『情報』以外を口にしない双子は手にする獲物をそれへと向けた。
砂塵の街を渡る子供から生まれる、刃の風切る音と、火薬の破裂音。
風圧が中枢の主へと届く頃、
白い帽子は僅かに身を屈め、振りかぶられる片腕に掴ませようと鞘に納められたままの大降りのナイフを突き出す。
人の人でしかない反射がそれに間に合うか。]
[>>2すぅ、と開いたのは――――……、]
[いろのない眸。硝子珠でもない、無窮の眸。
布の合間、暗渠の谷に在りて、軽業師がその眸に気付く事はなかったか。嗚呼何時かの記憶>>4:41、あの自縊を試みた日にも覗いた眸は。]
[熱さと痛さ、生と死の境を渡り、『とびこえて』――――。]
[歌を歌わぬ世界の果てで、
狂夢すら死に絶えさせん意思が芽生える。
命と熱と粗全ての細胞が奪われ、
生命のくびきから開放される。]
[男の身体は骨のみとなっていた。
耳朶に付けられていた耳飾りは肉がなくなった事で地面に落ちていたが、其れがひとりでに浮かび上がり、打ち鳴らされた。]
[レーメフルトに渡された番号>>4:39は、
わざわざ用意したものではない。
『番号』は在ったが、名前を削らざるを得なかったのだ。]
[身体を持てぬが故に。]
[鼻先をつき合わせる紙一重、永遠が過る。]
… 痛かった、 よ ?
[瞬くひと駆けの終わり、僅かな対空時間――]
[掴みかかる手より、真上への腕がより疾い。]
[体ごとの旋風めいて襲い来る斧の刃を横殴る。
ゴ、と弾かれる斧身が傾いて降り注ぐ銃弾を弾く。
――跳弾の幾つかは、部屋中に火花を散らす――
掴まされる「鞘」へ、ずぶり 沈む五指は
其処から伸びる柄につながる刃をも掴んで。
軽業師の男は、抜いてもいいよとばかりに
刹那、薄うい笑みを広げた*]
―街の「中枢」―
[黒と紅、穢れた双翼で空を飛ぶことはあたわず。
周囲からの「歓迎」を受けながら、街を彷徨う事になった。
――その場所に辿り着いたのは、如何なるタイミングであったか]
あのぉ…… こんばんは?
[ドアを細く開け、隙間から覗き込むようにして控え目に声を掛ける。
その身体は既に白と呼べる場所がほとんどなく、中でも片翼の黒がより異彩を放っていた]
ご挨拶に伺ったんですけどぉ……。
[控え目に口元へ手をやる視線の先に、疾駆する見知った男の姿があった]
――そうかい。
[呟くように、問うように、
ふいごの先に落とされる言の葉に、三白眼は冷えて返す。
弾かれ傾く幼い子供たちのように、
情報屋は刹那の笑みを目前に、その刀身から手を離す。
『炉』より離れられるのは、人の身体におそらく数歩。
手馴れるままに、ポーチより抜いた3本の投げナイフが部屋の中を煌き舞い踊る。]
――あんたも。
[来たのか。と。
黒い翼を視界の端に、にたりと哂う中枢。
『目』や『耳』から、上がる情報は少なくなってきていたが。
この二体が、街の中、大きく暴れていたと報告の上がる二つが『ココ』にいるなら]
俺は今、俺の願いを叶えるしかないよな。
[ゆっくりと、情報屋の指先は、己のベルトに備え付けられる一つの装置へと伸びる。]
[
今までの街中の紛争の境に落ちるどれよりも
派手な爆発音が。
むき出しのコンクリートを揺らす。
]
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