でぁー!!
[勢いよく物置の扉を開く。
後々考えると電話のような音より、
本人の声の方が恐ろしいものだっただろうが、
今は気にしていられない]
[ガターンッ!]
[ピタッ]
[物置の扉を開けると同時に、電話の音が止んだ]
え、 あ、あれ?
[パラ、と壁から埃が落ちる音が積もり、しん、とした静けさが広がる。
とたんに、ぶるり、寒気がして自分の両腕を抱える]
……これ…
[物置の中、机の上。ぽつりと置かれていたのは]
てれれれれってってってー
[口ずさんで、はたと止まる]
いかん。これ、レベルアップの曲だった。
[机の上の物に改めて手を伸ばす]
……子供心に他人の家にあるものを
勝手に持っていっていいものか、なんて思ったもんだな。
[今の自分はどうだろう。
ある意味あの勇者のようなものかもしれない]
今度から仕事聞かれたら「勇者です」って答えてみようか。
[*そして、改めて机の上にあるものへ*]