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[手を取られぬくもりを渡されると
包帯の下で僅かに頬が緩む。
うん、と頷き壁に背を預けると、一度其れを啜り
ず、と音を立てた後、顔を上げ]
「贄」の代わりと言い出した者はいないか、
そう――…、言った…――のは。
…お前で…間違いない…か…?
[問いの最後迄飲み込む事をしなかった低い声は
普段から饒舌とは言いづらい男の喉を奮わせた]
――何か「量ろうとした」のか…?
それとも「それ」を…自分が言い出そうと、した、のか…
…―……、
[こくり 喉が一度鳴る]
………――言えん事は言うな。
言えるなら…――聞きたいと、
[思った。
背に壁の冷たさを感じながら、男は相手の周りの
見えぬ世界を、全身で感じ取ろうとしている]
……そう、か。
――、
[こくり
頷くと、耳のプレートが揺れた。
口の中で、ありがとう、と添えたのは
答えてくれた行為そのものに対してで]
…いや…それが「ひどい」なら、
――それを黙認する群れの人間すべて、
同じ…――だ。
[長老に対して大きく抗議をする者は無い]
[レイヨの問いに、こくりと頷く。
見えぬ視界のまま顔を彼へと向けるのは、
次なる言葉を待つ様子で]
…茶の礼くらいの答えが返せるといいが…――
[男は男なりの冗談と気の遣い方で
片手に握る温い飲み物のカップを口元へと運び
音を立てずにひとくち、飲み下す]
[茶で温まった体を覆う鳥肌は既に消えている。
レイヨの言葉に男はピクリと動き、
それから訪れるのは、――長い、沈黙。
レイヨが問いを投げる前の、ゆうに二倍。
耳で揺れるプレートは、引き千切ろうと思えば出来るもの。
だが男はずっと、最初から今までそれをせず、ただ耳元に目立つそれを揺らしている]
…――此れは、
[若しレイヨが言葉を発しようと息を吸ったならそれに重なるように。
低い声は冷たい空気の中、波立てず発せられた]
俺の――…「名」であり、
…俺の存在を赦すもの、だ…――
…「名」とは、只個体を識別するものだ…
――俺と分かれば、何でもいい。
[盲と呼ばれようがザトウと言われようが、自身は注意を向けるだろう、と、想う。
ただ存在を赦される、それに男は温もりを感じるから]
…――謝る必要は、無い…
[足された温もりを感じ、顔をそちらへと向け
彼の細めた眼差しは見えぬけれど、それは今鋭いものではないのだろう、と男は推測していた]
[それからいくつかまた言葉を交わし、茶を飲み干すと
男は杖を片手に扉へと向かおうと床を擦る。
そして、掛けられた声と手に]
――アルマウェルは、居た。
…――有難う、此れは、…
[暖かい。
語尾消す癖の侭、外へと出た。
暗い常なる夜の中、冷たい風が頬を叩く。
細かい雪がキラキラと紅いオーロラと共に光る中
男は左右に揺らし雪抉る杖の先と足跡を着け、
遠吠えの中、何かを探すように―― あるく*]
[ざりざりと音がなるのは、杖が左右に雪を掻くから。
その後を、ざくり、ざくりと足音を立てるのは、小動物等が自身を避けるを期待しての事。
視界無き男は、ふん、と鼻をひくつかせる。
歩いて来たは、森近く――]
…――、
[誰かの声が聞こえ、足を止めて顔を向ける。]
ラウリ、か…
…何か、していたら…
――…邪魔、したか…――?
[針葉樹の匂いが冷たい空気の中キンと鼻をつく。
声の主の、洒落た帽子も見る事は出来ない男は、さくり、雪に杖を刺して首を傾けた]
いや、俺は、別に…
[何も、と。
語尾を飲み込みつつ、相手の様子を窺うように顔を向けた]
…お前は、何か…
――考えて、いる、か…?
[策を、それとも。
また語尾を臓腑に落とし、問いをひとつ置いた]
そうだな。
…そう、だろうな。
でなければ、長老があんな事を、
[言うわけが、ない。
想いは生贄にされた少女へとつかのま 飛び]
…考えることを、かんがえる…
――信じるか疑うか。
ということ…じゃない、だろうか…?
[男に、相手の笑みは見えぬが
見えぬゆえにその空気を感じ取り、
僅かに口の端を歪めた]
…だが、俺には、その「弱い言葉」しか、
――信じるも信じてもらうも、
[言い掛けて、口を噤む。
ふたつほど息を飲み込んでから]
…――目を見れば判る、とでも…
言う…――か?
…そう、か。
お前は、「飾らない」な――…
[口元に手を当て、思案のかたちを取る。
さくり、雪のうえに立てた杖の音を聞き
首を傾ければ耳のプレートが音を重ねた]
…――こうして誰かと話す機会を持とうと思うのも…
――、妙な事だ…
[常に群れの内々へと入ろうとしなかった男は
ぽつり 呟いてラウリへと顔を向ける]
…何か、見えるのか…――?
[他に気を取られたらしき言葉に
顔を向けるが男に見えるものは、何もなく]
…何が、見える――?
[歩み去る背へと、低く問うた]
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