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……オトモダチ、って。
[間を置いて、零れたのは呆れたような、困惑したような、なんとも言い難い、声]
まあ……平和っちゃ、平和ですけど。
[言いながら、がじ、と頭を掻く。
表情に、フクザツなものが浮かんでいるのは、ありありと見て取れるか]
……ヂグ伯父さんの?
そういえば、時計のことならヂグさんに聞けば、って、思っていたんだった。
[色々なことがあって、忘れてしまった。
省吾の言い方からすると、ヂグさんに会って話を聞いたのだろう。]
夢を見ながら……
素敵な時計をお持ちなのね。
[それでも、詳しくは分からない様子。それはそうだろう。
ウサギの話と同じだ。漠然としていて捉えどころ無くて、けれど何処か心の片隅をノックするかのような、光。]
……?
[光の消えた辺りに目を向けていたから、腕を掴もうとしていた事には気付かなかった。視線戻して、両手を挙げている人を疑問符浮かべてじっと見詰める。>>42]
あ、えと――… そう。
[微妙な沈黙に、ぽむと手を打って。
光の消えた辺りと省吾の動作をまだ少し気にしながらも、問いの続きを発する。]
……『刻』って、この頃はどういう風でしたか。
この時代にもあったのかなぁ って。
その……父さんの作品を、何処かに見に行った記憶があるの。
もっと小さい展示場だったような気もするけど、わたしは「刻」しかこの街の画廊を知らないから。
関係は無いかも知れないけれど、
もしもあるのなら、探してみようと思ったんです。
……まあ、考えてても、仕方ないっぽいし。
『ワスレモノ』探し、続行しますか。
[とはいうものの、まずは、後で合流しよう、と話した面々を待つ事にする。
そう取り決めた内の一人──チカノが来ない事は、『わかっている』から。
さて、そこらはどうかわしたものか、と。
そんな思考を巡らせながら、ではあるけれど。**]
― →駅前公園―
[公園に着いたのは、それから間もなくして]
あれ、いつものじーさんじゃん。
……と、あの人は確か……
[いつも公園で見かける異国人や、ちょっとだけ接した母親も来ていたことを、ここで初めて知ることになった。
ともあれ、まずは合流を約束していた者のところへ]
……うん?
[首振られたので、素直に頷いておいた。疑問符はつけたままだったが。
時々不可思議な行動を取るところは、自分と似ているなと、思う。
尤も、自分と一緒にされては敵わないかもしれないが。]
お祖父さんのお店だったんだ。
じゃあ、もしかしたらもしかするかも知れない ね。
行く、行きます。
[寄り道はワスレモノを探す手掛かりになるだろうか。
父の作品を観たのは何処であったか。この記憶の隙間を埋める作業がワスレモノに繋がる確信があるわけではなく、純粋な興味半分なのだが。]
『刻』は――今のわたしの原点でもあるから。
[そこだけは確信篭めて、微笑んだ。]
[公園に集まろうという菊子の提案に同意はしたけれど、合流はもう少し後で構わないだろうか。後で行くか先に同行するか、少し逡巡する。]
………。
ところで、もう一つ聞いてもいい?
省吾さん。…荷物は?
[バッグを肩に掛け直して、ふと気付いた。
手ぶらのように見えるのが、違和感だったのだと。]
確か買出しに行くって、荷物持って行った……ような。
[気の所為かしらと、省吾と手元とを交互に見て。**]
それよりも、今、何が起こっているのかわかりませんか?
一緒にいた息子がいきなりいなくなって、あたりの風景が10年前に変わってしまって、変な生き物が、「ワスレモノ」を見つけて来いと・・・
[恐らく、彼らも自分と同じようなことになっているのだろう。検討を付けて、なにか情報はないかと聞いてみる。
因みに、初老の男性の時計から光が放たれた丁度その瞬間、過去と対面してしまったため、その光景は頭に全く残っていない。]
・・・あら?
[確か、「こちら」に来る前、公園でちらりと言葉を交わした少年がやってくる。]
あなたも「こっち」に来ていたのね。
[名前は・・・聞いていなかったけどまあいっか。
初対面の人に名を名乗り、「ああ。あの」と同情のまなざしを向けられたことが、過去に数度。それからは、ほとんど自分から名を名乗らないようになった。
そして、自分から名乗らないため人に名を訪ねることもほどんどしない。]
─ 風音荘→駅前公園 ─
どうだろ。
でもほら、行けばわかるし。
[和馬>>44の手を離しながら、彼に答えた。
貢のハンカチをもう一度目に当てて雫を拭い、しわの寄ったそれを丁寧にたたんで制服のポケットにしまい。]
よし、決まり。
いってみよ。
[和馬の顔を見ぬまま、先を歩く。
後ろで彼がぼやいた声は届きはしなかったが、当人も自分自身に戸惑っていた。
現状がどれだけ不安でも、泣くなんて普段の自分らしくない。
でも、懐かしいとも、思うのだ。
泣いた時特有の腫れぼったさを感じる瞼も、鼻の奥に感じるつんと痛みに似た感覚も。
だって、昔は良く。]
─そういえば、泣いてた、な。
[次兄によく、泣かされていた。
そんな自分を助けてくれたのは、長兄。
長兄と───
記憶にかかる靄が、少し薄れそうな気がして。
けれど、目に入った人影にその思考は霧散した。]
……祐樹さん、と…おじさん。
それと…えぇと、たしか美容院の…
[公園にいたのは、約束をした人と、たまに此処で会って挨拶をするおじさん。
それと、友人達の間で評判の良い美容院のお姉さん。
この人達も同じなんだろうな、と思いながら頭を下げた。]
[それから、少年が男性に話しかけるの(>>49)を黙って見ている。
この人は皆川さんっていうのか。などと思いながら。
ふと、聞き覚えのある名前が。]
雷電さん、「落ちた」って、あの、どういうことですか?
[二人に尋ねながら、ふと思い出すのは、兎の言葉(>>2:#0,>>2:#1)]
帰ってこられるというのなら、大丈夫だと思いたいけど・・・
それに、笹川さん「だけ」ということは、まだ他に誰かいるのですか?
[こちらに来てからほぼ一人で行動してきたため、兎から聞かされたものと、雷電に説明してもらったこと、見てきたことしか知らない。人と比べた圧倒的な情報量の少なさに、一人で動いてきたことを少し後悔した**]
あら?
こんにちは。あなたも何かワスレモノ?
ええと、鬼流院、さん?
[美容院の顧客を思い出し、あてはまった一人の名前を口に出す。
高校生のお客さんは多いが、間違えていない自信がある。
腫れた目に、やはりいきなり飛ばされたら不安なのだろう。と勝手に結論付けて、すこしでも和らげようと笑顔で軽い冗談を言ってみた。
まさか彼女の目の前で二人も人が消えてしまったなどと思っていない。
状況を聞いたら、思った以上の事の深刻さに頭を抱えたくなっただろう**]
……っ!
[姿が見えぬものか、と見回した先。
そこに見知った『姿』があったから、それ以外の事がすっぽ抜けた]
……あれは……伯父貴?
[どことなく憔悴した様子で、公園から続く通りを足早に歩いていくのは海岸神社の神主を務める伯父。
この所やや疎遠気味だが、その姿を見間違えるはずもなく。
そして、その向かう先に気づいた瞬間──]
……病院……はるのとこ、いくのか?
[小さな呟きが零れる。
自分の『ワスレモノ』を見つける手がかりとなりそうな者。
無意識、手が握られ、そして]
わり……俺、ちょっと行って来る!
[伯父の姿が他者に見えていない可能性に頭が回る余裕はない。
誰にともなくこう言うと、その場から駆け出していた。**]
―駅前公園―
あー……心配っすね。
向こうにいるんなら、ちゃんときっちり“元の時間”に戻してくれれば問題ないんすけど。
[子供を心配する声>>61に眉を寄せ、後ろ頭を掻きながら言う。
同じ日の同じ時間にきちんと戻れるというなら、そこまで心配することもないのだが]
……なんせあの無茶振りウサギだかんな……
急いだ方がよさそーなのは確かっすね。
[前科―空間の狭間の一件―もあるので、残念ながら信用度は低い。
女性の名前を聞いても妙な反応を見せることはなく、窺われていることにも気づいていなかった。
菊子>>63に対しては、ここに来る前の公園での一件を簡潔に説明もした]
……あ、えっと。
例の変なウサギが言ってたんすけど……
[穂積が同じものを見ているか分からなかったので、兎のうっかり発言について一応前置きして]
で、さっき雷電サンが喋ってる途中で急に消えちまったんで、“狭間に落ちた”んじゃねーかと。
[言いながら、ちらと菊子の方を伺いもした]
オレが会ったのはここにいる人と雷電サンと、あと女の人が2人だけっすね。
[2人が誰かについては、丁度菊子と祐樹が話していたので自分では言わず。
直後に駆け出した祐樹は、目を丸くしつつも見送るのみだった**]
荷物?
……駅前公園のベンチに置いたままだ。
[手ぶらを指摘されると、真顔に戻りぢっと手を見た]
こっちに来てから意識もしなかった。
この状態で仕事も何もないけど、先に戻るか。
[店に向かおうとしたのを180度方向転換した]
公園にはヂグさんもいるから。
どうやら、また向こうに落とされた人がいるらしい。
[また別の声が聞こえていた。
『仕事』は任せる、とか。チビ、とか。
誰かに向けて話したけれど、通じないらしい]
しかも一人じゃないみたいだな。ロッカ君はチカって名前に心当たり、あるかい?
[六花の親しい相手とは思わず、気楽に聞いてしまった]
─ →病院 ─
[街の病院は、この頃は整形外科とたまに内科に世話になるのがせいぜいで。
むしろ、苦手視していた場所、と言ってもいい。
それは病院全般に言える事で──そんな自分が「医者になる」と言い出した時、両親は音入りで固まっていた。
固まっていた理由の主なものは、美術関係に進むと言っていた所からの、唐突な方向転換のせいだろうけれど]
……あー……まだ、増築前、か。
当たり前だよ、なぁ……。
[知っているよりも少ない病棟数に、ぽつりと呟く。
そうやって、立ち止まっている間に、伯父は中へと入っていってしまった]
…………。
[何となく、踏み込み難い。
勢いに任せて駆け出してきたものの、いざとなると、迷いめいたものが生じた]
とは、いえ。
……どんだけ時間があるか、わかんねぇし、な。
[『ワスレモノ』と、ここにいるものに関わりがあるとは思えない──思いたくない。
けれど、考えられるものは、他にない、から。
意を決して、病院の中へと踏み込んだ]
………え。
[齎されたニュースには眉が下がった。
囚われびとが複数と知ればより表情は曇る。]
チカ……。
チカ、ではないけれど、チカノちゃんなら知ってます。
[省吾が挙げた名は友人の名に近い。
もし別人であっても狭間の住人が増えたことには変わりがないのだが、それでも、幼馴染が消えただなどと思いたくはなかった。]
友達、なの。一緒にこっちに連れて来られて、それから道で別れて。
…一度合流しようねって、待ち合わせしてる子、なんだけど…
[時計を戻せば大丈夫だと、そう聞いてはいても。
へた、と地に座り込みかけて]
…済みません、省吾さん。
ちょっと先に公園に向かいます。
確かめてくる。
チカノちゃんは大丈夫、って。
[膝を付きはしなかった。
ぺこ、と頭を一つ下げて、公園の方向に駆け出す。
走るのは得意ではないから、省吾もまた同じ方向に向かうのであれば、余り大きく距離は開かないかも知れないけれど。]
― →駅前公園 ―
[病院の中に、人の姿はない。
関わりある者以外の姿は見えぬのか──と。
そんな事を考える余裕もなく。
階段を上がり、病室のあるフロアに向かうが]
……何階だっけ。
[入院したいとこの見舞いには来なかった。
どうせ、すぐに退院すると思っていたから。
だから、ちゃんと、病室の場所も聞かなかった]
……後の事考えろよなー……。
[なんて、当時の自分に詮無い文句を言いながら、とにかく、各階を虱潰しに回る事に決めた]
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