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そうだよ。
…───俺が、鬼役だ。
[けれど結局は顔を上げて口にし、
緊張にこわばる顔で、じっとクルミの目を見返した。]
………そ、っか。
[それは、予想してた返事だった。
私は、少しだけ目を伏せて、またすぐにカノウくんに、戻す。]
おじさんは、鬼を探そうとしてたから、……殺された、の?
デンゴ、疲れてないか?
[階段を降りて、うろうろと売り場を歩く。
適当に降りた場所はスポーツ用品売り場で
木や金属の棒がちらほら置かれているのに、
あぁ、クルミが言っていた場所はここかと思う]
[驚きのないクルミの様子に、これもやはりと思う。
ほんの僅か、苦笑じみて眉が下がった。
けれど笑みにはならず、続く問いに首を横に振る。]
いいや、それは違う。
俺にも完全には分かっていないけれど…違う。
あの人たちは多分…、すれ違った、んだろうと思う。
…クルミはさ。もう、分かっているんだろ?
だから俺に聞いてきたんじゃないのか。
[何を。と言わぬまま、曖昧な問いを向けた。]
じゃあ少し寝よう。
実は俺が限界だ。
…俺の事が判るのはお前の日記だから、
悪いが、こうさせてもらおうと思って
連れてきたんだ。
[良さそうだと潜り込んだのは、
展示用のキャンプテント。
デンゴも引っ張り込むと捕まえておくつもりで
その細い手首を握ったまま横になったが
眠りに入ってすぐにそれは解けてしまい。
あまり意味を成さなかった*]
[カノウくんの言葉に、私は緩く首を横に振る。
私が分かってることなんて、少ししかない。まだ全然、分からないことばっかり、だから。]
おじさんを殺したのが、4番さんだ、っていうのは、知ってる。
4番さんも、鬼さん役、だよね。
でも、それだけしか知らない。
…………大事なことは何にも分かってない。
ああ、ゼンジさんも鬼役だ。
[あっさりと肯定を返す。
彼女に知れている可能性は、既に知っていた。
クルミがゆるく首を横に振る。それへ首を傾げた。]
大事なこと…?
じゃあ、クルミは何を知りたいんだ?
鬼さん達は、勝って、神様になって、何をしたいのか。
それと、…………
[私が口にしようとしてるのは、多分、すごく自分勝手なことだ。
それが分かっているから、目を伏せる。
泣きたくもないのに、目頭がじわりと熱くなるのが分かる。]
…………カノウくんは、私達のこと………仲間だって、思ってくれてる?
神様、か…。
[困惑に眉を下げる。以前も聞かれたことだ。
そして未だに分からないことだ。]
それ、クルミはもう決まっているのか?
生き残るためには、それがないといけないと思ってる?
[だから逆に聞いた。問い詰める強さはない。
迷うように、視線がコップの上を彷徨う。]
……思ってるよ。どうして?
[クルミが顔を伏せる。
柔らかそうな髪が額に掛かって、彼女の表情を隠す。
でも声が僅かに震えている。
手はもう握れなかった。テーブルの距離が遠い。]
[私の心は、決まっている。
けど、首を横に振った。
生き残る為にそれがなきゃ、なんて、言えない。]
……だ、って……私たちだけが、カノウくんのこと……仲間だって、思ってるなんて、………そんな寂しいの、嫌だもん。
鬼だとか、鬼じゃないとか、……そんなので別れ別れになっちゃうの、やだ……。
[泣かないように、泣かないように。
そう思ってるのに、勝手に声が震えて、顔がぐしゃりと歪むのが自分でも分かった。
嗚咽を堪えて、鼻を啜る音も抑えて、顔だけは上げない。
私が泣いても、どうにもならない。困らせたいわけじゃない、から。]
[テーブルの距離に甘えたのは、怖かったからでも、ある。
神の日記をチート日記と呼んだ彼女。
その反応が、どうしても怖かったから。…けど、]
……、あのさ、
[かたりと椅子を鳴らして立ち上がる。
2歩ほど歩いて傍らに行き、少し迷って彼女の頭に手を置いた。
抵抗がないのなら、少しだけ胸元に抱き寄せるようにして]
それ、…俺の台詞だろ?
鬼役だってバラしたら、クルミも…ソラも、
どこかに行ってしまうんじゃないかと思っていた。
けど俺の気持ちは、前と変わってはいない。
俺はさ…、鬼とか鬼じゃないとか関係なしに、
大切に思える人と生き延びたい。
自分の手の中に拾えるものだけ、拾っていたい。
[それは8thに語ったと同じく]
[ずるいのは、日記の機能で、使う人じゃない。
使う人は、みんな私と同じ。突然連れてこられて、突然こんなゲームに参加させられただけ。
その証拠に、カノウくんの手は温かい。
抵抗なんて出来る間もなく、抱き寄せられた。]
……ソラさんは、カノウくんが鬼でも守る、って言ってた。
私も、……同じ、気持ちだから。
……カノウくんにだけ、嫌なこと、させたりしないから。
私達も、仲間、だから。
[しゃくりあげて、震えた声は我ながらみっともない。
けど、伝えなきゃいけないことだけは、ちゃんと口にしたくて。
私はそっと、カノウくんの背中に手を回す。
抱き寄せるには拙い、触れるだけの動作。]
…っ、────…、
[クルミの言葉に、手が震えた。
彼女が俯いてくれていて良かった。
不意に目頭が熱くなって、言葉が途切れる。
ただ少しだけ、抱き寄せるだけでなく、
彼女の髪に頬を寄せるように顔を伏せた。
背に触れてくれる手の感触を感じながら、そうしていた。]
… ありがとう。
…、決めた。
俺は必ず、クルミとソラを守る。
仲間が何と言ったとしても、絶対に守るよ。
その為に、その他の人を排除することも──…
……俺はもう、躊躇わない。
[>>94 告げられる感謝の言葉。それだけで十分だと思ったのに、>>95 そこに重なるカノウくんの声に、私は首を横に振る。]
……守られるだけなんて、やだ。
私も、自分の手でちゃんと、仲間を守りたいよ。ううん、……守る。
[おじさんの姿が頭をよぎる。
私の決意は、守りたいものを守る為に戦ったおじさんの死を、無駄にするかもしれない。
それでも。
カノウくんの背中を数度撫でて、手を離す。
まだ、涙は止まってないけど、いつまでも甘えているわけにもいかないから、そっとカノウくんから身も離して。]
――――……頑張ろうね。
[私は、精一杯、笑う。]
…クルミらしいな。
[最初から彼女は、そうだった。
そこに惹かれた。知ってからは更に一層。]
ん…──分かった。
クルミは強いからなあ…頼む。
[ただ物理的なものだけじゃなく、彼女は強い。
腕の中の温もりを離して目が合えば、
泣き笑いのクルミの顔が眩しくて、どきりとした。
急に目のやり場に困って、思わず視線が泳ぎかけるが、]
──…ああ。
頑張って、一緒に生き残ろうぜ。
[笑顔に踏みとどまり、照れたような顔で大切な”仲間”へ、
スポーツの前にするように、打ち合わせる手を差し出した。]
[差し出された手に、私は勢いよく、自分の手のひらをぶつける。
ぱちん、と響く音は、開店前の静まった店内によく響いた。]
……間違ってデッドボール当てたら、ごめんね。
[濡れた頬をブレザーの袖で拭って、鼻を啜って、冗談言って。
此処で生き残ることの意味を、少しでも軽くしようとするみたいに、笑う。
いつしか温くなっていたコップの水に口をつけて一気に飲み干して、私は席を立つ。]
―――――……まずは、2番の子、だね。
[私ももう、迷わない。はっきりと口にして、カノウくんを見た。]
痛そうだから、全力で逃げるよ。
言ったろ?足にはちょっと、自信あるんだ。
[冗談に冗談を返して、同じく笑う。
人を殺すことが良いはずがないと、言ったのは本当。
10thの叩きつけるような声も、今も耳に残っている。
けれど、もう迷わない。迷わないと───決めた。
小気味良くなった手の向こう、クルミの笑顔に、うん。と、頷く。]
ああ。2ndか12thだと思っている。
ただ、どちらにしても俺かクルミの動きは筒抜けになるから──…
ソラにも話しておかないと、いけないな。
彼女の気持ちは嬉しいけど、俺がきちんと話をしないと。
[やるべきことを数え上げる。
移動しようとして、一度、大きな欠伸をしてしまった。]
― 屋上 ―
[さて、そこには誰か残っていただろうか。
ともかく、男はそのままグリタの死体や空と共にあった。
そして、表情は変わらぬまま、腕を組んで佇んでいる。
やがて、ヨシアキやクルミ、マシロが消えれば、ゆっくりグリタに寄った。]
――……グリタさん、
貴方の世界だけを、貴方は愛していましたか?
[そう尋ねて、首を振る。]
[奥からやってきた2ndとそれから――、
少し遅れて連れ立ってきた1stと3rd、11th。
9thの記録で知っていはいたし、10thの言っていた「手を組んだ」というのは確かな話らしい。距離感の近い空気]
………、
[薄闇の先を黙って見ていた]
……じゃあ、私からはソラさんに余計なこと、言わないでおくね。
[確かにそれは、自分で言わなきゃいけないことだと思うから。
思い浮かべる選択肢は、カノウくんと同じ。
頷いて、私は少しだけネギヤさんの顔を思い出す。
思わず、眉を寄せそうになったところに、カノウくんの欠伸を見て。]
うん。寝られる時に、寝ておかないと。
……風邪引かないようにね。
[10thと戦ったという11thが――彼女か、彼女たちなのかは知らないが。殺したのではないかと思ったのと、もう一つ。
疎外感、というにはもう少し言葉が足りない気がする。あの中に入りたいわけではないのだから、ただ1stはあちらの方が大事だろうな、と思った。それだけだ]
[ヨシアキがクルミに鬼で明かしていること、
聞かずとも、彼から報告がくる。
そして、男自身が鬼であることも告げたと。]
――……ほぼ、詰みましたね。
[男はそう、小さく小さく呟いて、またグリタを見た。]
貴方の守りたかったものは、
何ですか?
貴方の世界ですか?それとも?
[男は、さきほど、グリタに向かい、悪態をついて去った二番のことを思っていた。
あれは、グリタと近しかったから、だろうと読む。]
さてに……。
グリタさん、
私は、貴方を買っていました。
なので、ご相談してくださればよかったのに。
貴方が守りたいものについて。
[男はそれを知らず、そして、ヨシアキから聞いた。
男の思うグリタはそこで終わったのだ。
だが……。]
うん、頼む。
無理に隠したりはしなくてもいいけどな。
クルミが困ったら、困る。
[眠気を誤魔化すのに、水を一気飲みした。
大真面目に返し、案ずる言葉には、うんと頷く。]
そうするよ。ありがとう。
クルミは…、……大丈夫か?
[あまり一人にはしたくないと、
言葉ではなく表情で心配を告げて見遣った。]
[2ndが7thの日記を破壊した、という言葉には一度そちらを見やった。殺伐、という言葉がそこまで直接的なことだとは思っていなかったのだから、どこか気が緩んでいる。10thはそこまで考えていて、尚2ndの行動を肯定してたのか]
……、2度も言うのか。
[あっさりしてると思っていた2ndが、
何度も10thへ悪態をついている様子を少し怪訝に見た。それがただの悪態だとは、思わない。
10thを運ぶのには手を貸さなかった。
ただ、あとからついてくる9thにぽつりと告げる>>69]
あとで話がある。
[どうせ行動は駄々漏れだから、捕まえるのは簡単だろう]
二番……お名前はマシロさん、でしたでしょうか。
[扇子を広げて、考える。
マシロの動きはヨシアキが、そして、男の動きはクルミに筒抜けだが……。]
空が綺麗で、空気も澄んでいますね。
グリタさん…。
[そう告げて…。*]
[屋上には長居しない。
10thと話した言葉は覚えている。
娘がいるといっていた、
彼のその世界ごと娘も死んだのだろう。
一度だけちらと振り返る。
4thは悼むような顔をしていた]
……お前もそういう顔をするんだ。
[それだけ零して、5階へ戻る。
向かった先はカフェバーの奥、
先ほど2ndがいたと思わしき場所だ]
私は、困らないよ。大丈夫。
[頷きに返すのは、やっぱり笑顔。
泣くのは、もう止めた。
全部終わるまで、泣かない。
――― そう、決めた。]
んー……実は、ちょっと、眠い。
どっか、あるかなぁ。
[心配してくれる表情が嬉しくて、むず痒いような気がして、困ったような笑みになる。
何処か眠れる場所、と言っても思い浮かぶところがなくて。
空になった二人分のコップを纏めて、軽く伸びをする。体中が、ばきばきだった。]
[倒れた7thの傍らに、壊れた機械。
気を失っているだけのように綺麗な外傷のひとつもない亡骸だ。近寄ってしゃがみこむ。
髪にはあの綺麗な花の飾りを咲かせたままだ]
……この花の咲く世界も、
7thと一緒に壊れたの か。
[カフェバーの花瓶に刺さった花一輪を手にとって7thの胸の上に添えた。自分の世界にいた時のような嫌な気分がして、俯きため息を吐く]
― 階下・5Fカフェバーへ ―
[そして、グリタに再度黙祷したあと、下に下りる。
向かうのは、マシロが日記を壊したと思われる場所。
そこに先に訪れた者の姿を見た。]
――……セイジさん、こちらでしたか。
>>114
ああ、驚かせてしまいましたか。すみません。
[驚いた様子のセイジに、少し笑んでから、視線を七番に向ける。
そこに飾られた花も。]
綺麗な方ですね。花も……。
[そして、黙祷をする。それから顔をあげると、店を見回す。]
何か、飲みますか。
そういう場所のようです。
[遺体と傍に、ではあるが、
七番の遺体は、まるで生きている女性が眠ってしまったかのように自然だったから。]
ああ、そう、さっきの、ありがとうございました。
これでまた、音楽がきけます。
[そして、カウンターに入っていくと、袖からもらったイヤホンのパッケージを開けていく。]
[提案には一度ちらり、と、
7thの亡骸の方へと視線をやった。]
……喉は渇いている。
さっき、10thと2ndと一緒に食べたのが、舌火傷するほど熱かったし……。
冷たい飲み物ほしい……。
[理由と注文を小さく主張してから、スツールについた。可愛い白猫獣人のイヤホンが取り出されるのを見る]
なんかそういう可愛いのしかなかった……。
[少しいたたまれず、言い訳を添えたりして]
音楽、ふぅん……、なに きいてたの。
[クルミの笑顔に、自然と笑みが浮かぶ。
コップを片付けて振り返る。
彼女の真似をして軽く伸びをしてみれば、
じんわり眠気が痺れのように駆け巡った。]
じゃ、探しに行こうか。
少し眠れるところ。
[促して休める場所を求め、
クルミとソラを探した要領で日記を使う。
結局は3Fのキャンプテント、
ソラたちの近くに、知らず仮の宿を求めることに*なった*]
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