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いいいいい厭というよりな、
ま、周りの目がだな…
か、かか、勘違いさせるとだな…
[人間の時の感覚が戻ってきそうで焦り、
しどろもどろになっている。
顔は真っ赤になっていた]
周りの目・・・――――?
[きょろきょろ、周りを見回したけれど
気にするような視線は、感じなかった]
亡者は、そんな事気にしないし
人には、私達、見えないし
勘違いするような人、いないけど
へ?…は、はは…そ、そうだな…
勘違いしていたのは…こちらだったか…
[苦笑いになり、フイッと目を逸らした]
反応がなくて…悪かったな。
[目を伏せた]
なぁに、仁
すねちゃった?
[目を逸らす様子に、首をかしげた
本当に、人間みたいな子だ]
機嫌なおしてよ、ね?
[顔をつついたり、してみるけれど
感触は、やはりなかった]
照れる・・・――――?
[幽霊なのに、照れるのかな
いや、彼は人間に近いんだったか]
なんだ、恥ずかしかったんだ?
[白状した様子に、くすりと笑う]
いいじゃない、恥ずかしがらなくても
長い時間をかけて、出会ったのだから
そっか、まだ無理、か
[ふむり、考えてみたけれど
どうしたらよいのかも、わからずに]
人間同士だと、こういうの、恥ずかしいの?
でも、私の記憶だと
こういう事する、人間もいたよ
た、たしかにこういう事する人間はいたがっ
[真っ赤になって騒ぐ]
俺はこういうことはしたことないんだよっ
[ヤケになっているようだ]
そうなの・・・――――?
初めてだと、恥ずかしいものなんだ?
[自分が人だった頃の記憶を、手繰ってみた
けれど、記憶など永劫の闇の彼方
取り出す事は、出来なかった]
でも、したこと無くて死んじゃったら
寂しいね、きっと
[ヤケになって白状したらなんだか気が楽になった]
それとも…してくれるのか?
[冗談めかしてニヤリと笑い、戯れのように言ってみた]
して欲しいなら、してあげるよ?
[肉体は無いから、本当に減るものでもない
冗談めいた口調に対し、真顔で言ってみた]
霊体にとって、言葉は契約
願いは呪力、思いは糧
言葉に出して願えば、それを叶え
それによって生まれた思いを、糧とする
そういうものだもの
それに、別に厭じゃないしね
そういうものだったか…
言葉は…契約…
[霊になって20年足らずではまだまだ赤子のようなもので、知らないことも多い]
では…「して」、ほしい。
[願いを口に、した。]
ん・・・―――
いいよ、してあげる
[両の手を、仁の頬に添えてみたけれど
やはり、感触はない]
んー・・・――――
感触が、欲しいな
[くるり、指先を回してみる
物理的に干渉するには、結構な力を使うけれど
願いだもの、仕方ないよね]
これで、少しの間、触れるよ
一人は、寒いもの
永劫の夜空に、束の間の黄昏を
[ゆっくりと、体を寄せて
温もりの宿らぬ、この身であるけれど
何かを与える事が、出来るのならば]
少しの間、体が触れ合える、束の間の時
その間は、好きにしていいんだよ?
どうして、欲しい?
うん、いいよ?
好きにして、いいからね
[背中に腕がまわる感覚
久しぶり・・・とすら言えぬ程の昔
そんな時の向こう側で、感じた事のある感覚]
あたたかい、ね
[ゆっくりと、抱き返して
仁に、体を預けた]
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