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[長い感傷]
[男にとってはいつの間にか、軽業師が消えたあとの虚空に向けて言う。]
総てが狂ってしまった年。
狂い始めた都市に、私の愛するものが奪われた日。
私はその日の感傷に囚われ、あてのない復讐を執行し続けている。
それだけの事さ。
君もあるいは、私の復讐の対象かも知れない。
しかし、礼代わり
今はそれを問わずに置こう、ね。
[酒瓶を拾いあげ、そっと片腕で抱く]
代金はいずれ。
― 砂塵の街 ―
[赤い空が、執行人が感傷馳せた
其れよりもいろを深く沈めた頃合。
摺足めいた足跡を連れた人影に立ち尽くす儘、
軽業師は相手の仕草にじわり表情を歪ませる。]
[実験体の彼を目にして――浮かぶ感情は苦い。
奥歯が馬銜を噛み込んで、かりと音を立てた。]
…
[『押し潰す圧……』届く声に躊躇う間を置いて、
遣り切れぬ態で緩く頭を振り…彼へ歩を寄せる。]
[トン、トン …トン
ひとつずつ、文字をわからせる緩慢さで
相手のてのひらへ手話綴るを指を触れさせた。]
( ― "それ"は、だれだった? ― )
[あたたかく][おしつぶす…]
[変わらない評に苦り切った面持ちを浮かべて。]
( ― マティウス ― )
[「檻」の底に見知る相手が呼び返すのは、
「番号」かそうでないものか――――
反応と同時、軽業師は鋭く長身を屈めながら、
労いさえ籠めて触れ合わせた旧友の手を弾く*]
[先の銃声で幾らか、崩落の危険が瓦礫と化していたか。
その中を、さした感傷無く再び歩いていく。
先を歩いていた小太りの影は別の道を行けば見えなくなり。]
……アッチのほうガ、俺は好感が持てるナ。
[その道すがら、『恵みを』と、地を這いずる骨と皮だけの物体の声に、耳を貸す事など当然のように無かった。
食料無くして已む無くだろう、探して迷い込んだ、力を持たないモノの言葉など、何の意味があろうか。
必要な分以上を捕食していそうな体格を思い出す。
鈍そうだと思いながらも、人を喰らい生き延びているのであれば、決して弱くは無いのだろうと予想しながら、口端をあげた。]
おうち、とり、眠い。
お家まで鳥が運んでくれたら、すぐ眠れるのに。
[色々な希望欲望が合算した結果、都合のよい妄想が完成した。そんな都合のいい事は起こり得ないので、まだ歩き続けている。]
んあ、建物が崩れたのかな。
[遠くない場所で、瓦礫が崩れ落ちる音がした。混濁していた思考に刺激が与えらる。]
いってみようかな?
ー建物の中ー
うわー、すごいね。
[建物の中は瓦礫の山が出来ていた。土埃がもうもうとしていて、状況が分からない。
人がいるのかいないのかも、少しわかりにくい。]
誰か、死んでませんかー、死んでいたら返事してみてー。
[根本的におかしい呼びかけをしてみる。]
―建物の中(ビル・1F?)―
[土煙の中から姿を現し]
死んでは居ないが……。
観光。という訳は無いか。
こんなところで何をしている。
[右手で頭巾を直しながら、左腕で酒瓶を抱いたまま。]
[世間知らずで間の抜けた問いに応えた。]
―ビル街―
[崩れかけたビルの上を、鳥のように苦も無く渡り歩く。
時折ブーツの下で砕けた混凝土がぱらぱらと音を立てた]
ぼろっちい建物ばっかり。
寝床になりそうな場所なんてありゃしないわね。
[長居をする気こそないが、浄化の任務を済ませてからでなくては、『天』へ帰る面子が立たない。
その任務こそ体のいい厄介払いだったのか――真実がどうであれ、既に堕とされた者が知る術はない]
――あ、あの音。
あーあ、折角の建物壊しちゃって。
鈍重な地上人はこれだから……。
[誰かうっかり下敷きになっていたりはしないだろうか?
その間抜けさを笑ってやろうと、音のした方向へ飛ぶ]
わっ、生きていた!
死んでいたらって返事してって言ったのに…、でも無事で良かったですね。
[びっくりしたが、気を取り直して…]
僕はベルンハード、お家に帰る途中なんだけど、場所が分からなくて…。
おじさんは、ここで何しているの?
何、持っているの?
[左手にある瓶に興味を示したようだ。]
[掌に一文字ずつ書かれてゆく文字。]
( ― "それ"は、
[全ては綯い交ぜで判然としない。]
だれだった? ― )
( ― マティウス ― )
…っ
[ビクリ、と手が想定外のものに触れたように跳ね上がった。或いは、灼け融けた鉄に触れたように。]
これか。
純粋な酒だ。
合成されておらず、麻薬の類でもない。
過去の遺物。
[あいている手で襟元を払う]
家は、遠くなのか?
あ……あぁ、
ぁ
[長い間呼吸する事を忘れていたように、ひゅっと喉が鳴る。綯い交ぜになったものが、曖昧模糊として容を取らずに居たものが、恐るべき構築力を持って、整然とした情報として組みあがり]
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
[両腕で頭を抱え込み、絶叫した。]
家が近いか遠いか、どっちなんだろう?
白くて大きくて綺麗な家なんだ、こことは大違いだよ。
[瓶について説明され…]
酒?それ、僕知らない。
麻薬は食べないけど、あれは良くないって、にいさまが言っていた。
[食べ物、飲み物ではないと思い、興味は失われたようだ。]
うーん。過去の遺物?
おじさんは、過去が大事なの?
[ぼーとした表情で問いかける。]
過去か。そうだな。
大切だ。何よりも。
私にとっては、この酒のように美味なもの。
[襟元を直す。]
兄が居るのか。
……一つ問う。
少年。お前は人を殺した事があるか?
ふーん、そうなんだ。
過去が美味しいって初めて知ったよ。
僕にも美味しい過去があるのかな?
[思い出すのは、血塗れになった自分の毛並を愛おしそうに撫でる、にいさまの顔]
人殺し?あるよ。
あるけど、不必要には殺さない。だって、お腹が空いた時しか殺さないもの。
[あっさりと、しかも不必要に殺さない自分って偉いでしょう、という雰囲気も漂わせて答える。]
[欲に爛れた情事を終えれば、あられもない姿の女を
そのままに、ひとり部屋を出た]
[数か所ある隠れ家の一つへと潜ると
苦内など適当な暗器を取りそろえ、
ドロテアの首を狩りに街を彷徨い歩く]
ただの小娘に3本は破格ネ。
ちゃちゃ終わらせてバカンス行くヨ。
[小太刀で肩を叩きつつ、上機嫌にボソリ。
途中誰かに出くわすかもしれない]
ふふ。
違うな。舌で味わうものではないのだよ。
[何処からか絶叫が響く。その中を打って、鳥とも思えぬほど大きな羽ばたきの音。
そんな情景を日常のように会話をする。
男は、身を屈めて足元に酒瓶を置く。]
さて。
この問いは何度目か。
少年。
君は私の大切な人を殺した者か。
いや、答えは構わない。
君も、殺した人間のことなど逐一覚えてはいないだろうからね。
[空中を飛ぶ間、髪の毛が舞い上がり、布で一部隠れていたが、額に赤い徴――研究施設で使われていた――が顕となった。
頭上からコンクリート片が零れ落ち、瓦礫に背を預けた男の頭にぱらぱらと乗る。]
ちが……違う、俺は、マティウス、なんか、じゃな………い
「こんな街」……は、知ら……ない。
俺……俺は……、
[筋肉の痙攣だろうか、無意識に肩が跳ねた。]
……。
こう落ちてくるものが多いと、おちおち寝られんな。
[帽子が動き、その下から顔が覗いた。
精悍な男とはとても呼べぬ、童子のようだ――己をからかった同僚がどうしているかは、最早あずかり知らぬ所ではない。
ばらばらと降る瓦礫の滓を不快そうにねめつけ、重い腰を起こした]
まったく、世も末だ。
いや、既に末ですらなく、終わっているのか……。
[呟いた声は空虚に溶けて]
ッ――
[懐から、小振りのナイフを2本、抜き払う。
短く鋭く息を吐き、身を低くして、世間知らずな少年の胴目掛けてナイフを投擲する]
うーん、覚えていないよ。
でも、無意味に殺したりはしない。他の人は知らないけど。
おじさんの大切な人は、殺されたの?
殺した人が見つかったら、おじさんはどうするの?
[外が騒がしいが、今は目の前の人間に興味を示している。]
おじさん、強そうに見えないけど。
そういえば、先ほどのアレは何だったのだ?
まあ、こんなご時世――叫ぶモノもあらんや、か。
[叫び声について考えを巡らせていた。
生く宛も、行く宛も定めぬままに流れている。
自然と叫び声の方へと足を向けたが]
――はてさて、他には何が在ることやら。
[口元が、歪んだ]
え、なに?
[強そうに見えないおじさんが、身を低くしたかと思うと、ナイフを投げてきた。
この人、お腹空いてなさそうなのに…]
いたっ!
[ナイフは、身体を反らせて避けようとしたが、外套がじゃまして、尻餅をついて倒れてしまう。
ナイフは、乾いた音を立てて壁にぶつかった。]
何するんだよう、人殺し?
[崩落したビルから少し離れた場所。
彫像の残骸のようなものを、軽く足先で踏み付ける。
如何なる芸術家の作品か、それに興味を示す者は既にない]
……ん、
[しばらくはそこから崩落した建物の方向を見ていたが、ふと視線を感じて振り返る]
『おお……天使様……』
[それはむせび泣くかのような、恍惚とした声だった]
『天使様……我らをお救いください……』
[しかしそいつ――男だ――は跪き、祈るようなことはしなかった。
もう少しで手の届く位置にいる翼人を、引き摺り下ろさんと手を伸ばしていた。
男の眼に欲望の色を見て、ひいっと悲鳴を漏らし飛び上がる]
穢らわしい、なんと穢らわしいんでしょう!
そのような穢れた手で――
[背から左手で引き抜いたのは短弓。
同時に右の手指に三本の矢を挟み、一本目を番えた]
触れることは許しません!
[放たれた矢は、男の伸ばしていた右腕を、付け根からふっ飛ばした。
何処かで響いた絶叫に、男の声が続くか]
―砂塵の街―
[舞い上がる砂埃に、廃墟の壁土の色が混ざる。
ざ、と尖った靴先を踏み出す軽業師は、石塊の
落ちる音の合間にマティウスの呟きを拾って…]
…違うのか?
[常より乱暴な手つきで、銜の片側を引き下げる]
…そうかもな?
"檻"を黒く沈めたのは…俺だもんな?
[僅かに犬歯が覗く。見えずともざらついた笑み]
お前は――
俺の「炉」を 起こしただけ
[肩ごと身をひくつかせる態のマティウスへと
顔を近づけて屈み――囁きながら覗き込む。]
…あのあと、何人死んだ?
なあ、
( ― マ・ティ・ウ・ス ― )
[痩せた頬へやさしく打ちつける文字のかたち]
[背に手を回し、やや大振りのサバイバルナイフを抜く。
「殺した人が見つかったら、おじさんはどうするの?」
そんな気の抜けた問いに答える代わりに、少年へ向けて駆け出し、]
そうだ。
私は人殺しさ。
[見上げる少年の瞳へ向けて突き出す]
[何かが風を切る音と、男の悲鳴。
先ほどの叫び声よりは近く、そしてはっきりとしている。
自然、興味はそちらへと向いた。
ゆったりとした足取りで、翼人の女と腕をなくした男の前に現れ]
……。
神罰の代行者、とでも言ったところか。
おい、こいつは何の罪を犯したのだね?
[男を助けるでもなく、皮肉げに声をかけた]
『檻』……
[地面に置いた右手を、
砂を握るようにゆるく握り締める。
自分に軽業師の影が落ちているのを感じる。
クレオソートの臭いが濃くなる。]
[聞き慣れた声を耳にすれば、歩みを止める。
この稼業は情報が命であり、
カウコからも数度か情報を買ったものだ。]
イイ仕事入たからネ。
報酬に向けて、頑張るマスデスヨ。
…それはそうと、公の場で殺し屋言う、良くないネ。
[口元に指を伸ばして、彼を注意した]
そういえば、一件知りたいことあるヨ。
ドロテアという娘のこと、何でもイイから知てるカ?
[ぶっきら棒に尋ねる。
私怨とはいえ、たかが小娘独りに大枚を叩く
ウルスラへの警戒は、未だ解けずにいた。
何かネタがあるなら、事前に掴んでおければと]
僕、知らないって言ったのに…。
おじさん、悪い人。
[サバイバルナイフをこちらに向けられ…]
僕、お腹空いてないけど、おじさん悪い人なら殺してもいいよね。
[そう呟き、普段の虚ろな声とは違う咆哮をあげると、身体がミシミシという音とともに変化する。
手が伸び、胸筋が発達し、顔が変化する。口は裂け牙が覗き、目は赤く、体毛がなくなった代わりに皮膚が黒ずんでいる。]
死ねよ、人殺し!
[1mはゆうに超えるだろう右腕を尻餅ついたまま、男に振りかざす。]
[犬歯の白さが幻視出来るようだった。
弾力のない肌にえがかれる「名前」
文字が綴られる度に、気付かぬ程微かに頭部が揺れる。]
レ……、レーメ、フ、ト。
[軽業師の耳元に囁き返すように、音が漏れ出る。]
[万が一にも返り血の届かぬ距離まで離れると、即死はせずとも出血で長くはない男を眺め]
ざーんねん。
天使様は下卑た野郎に救いの手など差し伸べないのでした。
あ、でも、こんな所で生きなくて良くなったんだしある意味救われたかな?
[キャハハと笑う声を聞く意識は、男にまだあっただろうか。
と、そこにゆっくり近づく足音>>134があり、死に掛けの男はそのままに振り向いた]
神罰ぅ? あたしらって神様の代理なのぉ?
[大袈裟に語尾を上げ、口を横に広げて歯を見せ嗤う]
こいつはねぇ……汚いから。
汚い手で触られそうになったら、その手を払うのは当然でしょ?
触りたくもないから撃ったけど。
天使といえば神の遣いだ。少なくとも私はそう習った。
……君は天使ではないのか?翼人ではあるようだが。
[嗤う娘に、小さく眉を潜めつつも淡々と返した]
確かに汚いな。淑女に触れるならば、もう少し身なりを考えるべきだった。
だが、君も物好きだな?翼があるのに、わざわざこんな地上に降りてくる意味があるのか?
今の地上は汚いぞ。こんな身なりの男ばかりがうろついている。
[懐から一丁の拳銃を取り出し、男に銃口を向ける。
感慨もなく、彼の頭に向かって引き金を引いた。高い銃声。
男が避けられたかどうかまでは、気にしていない]
――ゴミ溜めと相違あるまいよ。ここは。
[その後を追うように黒い腕が唸る。
異形の腕が叩きつけられた衝撃で、残っていた床材が粉砕されて舞い上がる。
遅れて。轟音と衝撃に建物全体がびりびりと震える。]
[男はいつ確保したものか、左腕に酒瓶を抱え]
[今、これ以上の武器を携行して居ない事を思い出す。]
ち。
[腕だけは低くナイフを構えたまま]
復讐などというものは君には分からないのだろう。
―砂塵の街―
…ああ、
[喩えた『檻』にか呼ばれた名にか、
旧友の頬へ触れたままに浅く応える。
彼へ俯く軽業師は、
尖らせた舌先を僅か覗かせて…どろり。
黒く灼けた、コールタールのひと雫を
マティウスの頬へ向けて垂らす―――*]
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