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[花火は「気が向いたら行く」とだけ伝えて、そのまま喫茶店に残った。ソーダの上で無残な姿になっているバニラアイスを掬って食べた]
……だけど、大丈夫なのかな。
[花火組の背中を見つめ、誰にともなく呟く]
[溶けたアイスと抜けた炭酸のせいで、この上なく甘くなったソーダを全部飲み干す頃には、随分人が少なくなっていた。気落ちしているマスターを慰めるにも、どう言っていいのか分からず]
……ごちそうさま。お金、置いときますね。
[それだけ言い残して自宅へ戻る。しかし、ナオはまだ気づいていなかった。自由帳から2人の名前が*消えてることに――*]
[アンがいなくなってから、喫茶店に行ってあの自由帳の謎を考えるのが習慣になってしまっていた。マスターに対しても、話しかけることは少なくなっていた]
……また、誰か消えてるのかな。
[ルリの話は、簡単に信じられるものではなかった。少なくとも、ナオにはそこにいる≠ニいう人間の姿は見えない。だけど、ルリの必死な様子にどうにかして安心できる言葉を作ろうとする]
戻るよ。
ほら、幽体離脱って知ってる?
生きたまま魂が体から抜け出すって。
きっと、みんな魂だけここに来てるんじゃないかな。
だから……全部終わったら、戻ってくるよ。
[言ったようになれば、と思いを込めて]
[呟くモミジの姿は、何故か寂しげに感じられた。そんな彼女の姿を見て、昨日のことを思い出す。ポルテと何やら話していた姿]
そういえば、モミジさん。
昨日はポルテさんと何話してたんですか?
[大丈夫だよね、と確認するように尋ねるルリには]
うん、今は体だけどこか別の場所に行ってるはずだから。
だから、大丈夫。
見えてないだけだから。
だね。
[サヨの言葉には、たった2文字で返事をして、事件が起きてからずっと感じていた違和感について尋ねる]
……サヨってどうしてそんなに落ち着いてるの?
そうだったんですか。
昨日は、ポルテさんから手紙の話を聞いてなかったからどうしたんだろうって思ってたんですけど……。
何か進展、ありました?
[よく考えれば、進展があるなら全員に話すだろうに。そこまでは考えが及ばなかった]
そう、ですか。
[それ以上は語らないモミジには、短く返す]
やっぱり昔からの友達ならではの相談だったりとか?
[相変わらず落ち着き払ったサヨには、務めて感情を出さないように話そうとするが、ところどころには抑えきれない物が滲む]
どう見ても、単なるイタズラには見えないよ。
騒いだところで何も変わらないけど……
だけど、サヨは「どうでもいい」って風に見えるよ。
[心配をしているようなルリの姿を見ては]
……ごめんね、ケンカするつもりじゃ、なかったんだけど。
仲良くしないと、ダメだよね。
[しかし、それでもサヨへの謝罪は口には出ず]
[ショック、とサヨが言えば、ようやくばつが悪そうに謝罪を口にする]
……ごめん。
[確かにそこはサヨの言うとおりなのだ。だけど、感情を露にしても変化のない彼女を心の底から信じることもできず]
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