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極寒の極夜。
石造りの小屋が点在する村の中に、一陣の風が吹く。
小屋群から離れた、面々が集まるテントの周りにも。
やがて長老は、皆へ口上を伝えた使者アルマウェルを
労うように僅か顎を引いてみせると…重い口を開く。
『 狼をあやつる者は、ふたり。
必ず滅ぼさねばならぬ。
そして未熟ながら――
汝らの中には、まじないをする者らが居る。
その者らは、村へわざわい為す狼使いどもを
探し出すのに大きな…おおきな力となろう。 』
長老は続けて言う。
彼らをまじないで看破する者が、ふたり。
看破するには、
ひとりは生ける者を、ひとりは死せる者をみる。
さらには、狼使いどもの暴虐を
僅かに阻む者がひとり居るのだと。
『 汝らの誰にも、可能性は在る。
だがドロテアには――
我が孫娘には、それらの徴が全くない。 』
ドロテアの身代わりについて言及した求道家を、
長老は静かに見遣る。その裾は孫娘に握られて。
『 無力がゆえに、…代わりは居らぬのだ。 』
供犠たる孫娘の手を握り返せぬ儘、声を絞った。
アルマウェルを通じて、或いはテントの中で
聞かされていた言葉はもう一度繰り返される。
『 時間稼ぎも、僅かだ。探せ。汝らの中に居る。 』
敵も、味方も。
今ひとり潜む、揺れる者の存在は本人のほかには
未だ誰も、長老でさえも知らぬままに時が*刻まれ*
[手のひらで壊れ物を扱うような少女の面持ちと否定に]
莫迦ね。この世に不必要なものなんて無いのよ。
きっとあの世にもね。
だから貰っておきなさい。覚えておきなさい。
あなた自身のためにね。
[慰めの感情は出来るだけ入らないように。
そっと肩を叩いた。]
[肩を叩く際、ほんの少しだけ身を寄せた隙、
少女の耳に囁いた言葉は、長老の声の後か。]
ドロテアは無力じゃないから。
それを証明するために、私も――…
あなたを無駄にはしないから。
[それは誓いに似た、*言霊*]
そこまで分かっていながら……
[長老の言葉を聴き終え、言いかけて、やめる。
代わりに、視線はかの贄の娘へと注がれた。しかし、その唇が言葉を発することは無い]
我々の中に、ふたり――
[何か遠いものを見るような眼差しで、集った人間を改めて見つめるのだった**]
[車椅子の青年の、やわらかな声を肯定する態で
双眸を細めたとき――村の中をその風は吹いた。
その頃には、いまひとり疑いをかけられた者…
イェンニも長老のテントへと姿を見せていたろう。
長老が自ら告げる言葉を、暫し傾聴するひととき。]
大きな、力。それが。
未熟なまじない、か…
[ヘイノの視線から大蛇を庇った手が、すこし浮く]
――居るさ。
――お前が在るようにだ。
[外に集う狼の遠吠えは、呼ぶ者と
応える者の声を隠すように、紛れさせるように――]
…………
[無力がゆえに…―――長老の言葉と共に向けられる視線を受け、眼鏡の奥で僅かに見開いた瞳が揺れた。物言いたげに開いた口が幽かに震えて、結局は何も紡がずに引き結ぶ。
車椅子に座す求道者はただ、供犠の娘を見た。彼女は―――幽かな弧を描いたように見えた口元、面持ちは写し取れず歪んでいくから項垂れるように俯いた]
だから…
こんなに大勢いたんですね。
だから…―――
[荒げる事のない言葉は続かず途切れて、膝掛けを握り締める。ラウリの言葉に俯き垂れた前髪が揺れ、ゆるりと顔をあげ自身もまた改めて、集う者たちを見た]
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