牧野下クルミです。よろしく、郡上八幡さん。
[長い苗字に舌を噛みそうになる。ハンチングを整え]
くるくる…そうよね、やはりそうよね。
郡上八幡さん、いいえ、若葉さん。あなた、わたしと気が合うわね。
[くってりしている若葉の手をそっと取った。]
[軽快の眼差しを向ける結城に、くるりと振り返り]
知りませんか? 今女子高生の間で流行っているんですよ? 鼻眼鏡。
それと…
[こほん、と咳払いをし]
結城センセーもニッポンの嗜みとして、一度「あーれ〜」を体験してみませんか?
名前…頑張って覚えましょうよ、センセー。でもそう言えば、確かに森山さんのお兄さんの名前が無いですね。
[電光掲示板を見て一つ頷く。帯を引っ張る話には小さく溜息を吐き]
センセーが引っ張ったら普通で面白くないです。
[再びアンへと視線を向けた。]
変な仮装って。これも立派な変装グッツの一つなのに…。
[芳秋に指摘され、しぶしぶ鼻眼鏡を外す。]
妙な物って…あれの事かしら?
[軽く指差した先には発泡で出来たモアイ像。]
お兄ちゃん…。
[菊子と結城のやり取りに、事務局からの帰りに見た血染めの部屋を思い出す。]
まさか…ね。あれも演出よね、きっと。
[小さく呟き、涙する菊子に柚子金時芋を差し出した。]
泣くのはおやめ、シンデレラ。さぁ、ぼくをお食べよ。
[何処かの童話とアニメの台詞が混ざったような事を言い、慰めた。]
連絡寄越せって、センセーが率先して見回りするんじゃないんですかー?
[アンの視線を追って掲示板を見る。確かにそこには【見回りファイト】の文字。]
森と牧と畑は全く違いますよー。センセー、しっかりしてください。
[影の薄いモアイ像を引っ張り出してきて、結城の肩をぽむっと叩いた。]
ん? 斎賀は何がきになるの?
[引っ張り出してきたモアイ像を弄びながら訊ねる。]
もしかして髷カツラ?
[バカ殿仕様の髷カツラをひょいと被った。]
[クルミはブラインドの隙間から外を見下ろす結城を見つめた。大人ってずるい。]
結城センセーが髷カツラを被って乳母車にモアイを載せて校内を見回るのでしたら、わたしももう少し変装の手立てを考えましょう。
[至極真面目な顔で取引を申し出る。菊子の質問を聞き、肝心な事を忘れていた事に気づくが]
確かに地図も連絡手段も無いわね。センセーはテレパシー使えますか?
[やはり話は脱線。クルミ、挙手をして訊ねる。]
[斎賀の指差す方を視線で追う。]
………随分セクシーな達磨ね。天皇星人かしら?
でも斎賀に指摘されるまで気付かなかったとは…。不覚。
[がっくり項垂れ床に座り込んだ。]
[矢が導き出した結果に噴出す。]
ここはやっぱり本部長自らがまずは見回りに…。
[と言いかけて若葉の視線が達磨に釘付けになっている事に気づく。]
やっぱり見るものを魅了するのね、達磨…。何で気付かなかったんだろう…。
[悔しそうに唇を噛む。]
そりゃ、斎賀に指摘されるまで気付かなかったんだもん。落ち込むわよ。
[少し唇を尖らせて呟く。]
まぁ、基本達磨は胴体がメインだからね。でもこのすらりと伸びた手足も良いんじゃないかしら?
[すべすべする達磨を撫でた。]
[芳秋の言葉一つ一つに頷き、]
[若葉がブラインド部長に昇進し、菊子と結城が見回り部隊として出て行くことを確認する。]
センセー、見回りに行ったらお土産にロコモコ買って来て下さい。
[若葉の想像する本部長像を思い描きながら、ガラス達磨をせっせと*磨き始めた*]
若葉さんロコモコたくさん買って来てくださいね。結城センセー、代金は事務局にツケでお願いします。
[ガラス製の達磨をせっせと磨きながら、クルミは見回り部隊を見送った。]
結城センセー、髷カツラよく似合っていたわね。さすがだわ。
[仮装に近い変装をした後姿にボソリ。]
えーと、ブラインド隊長が若葉さん…。
[電光掲示板を確認。]
設備はどうなんでしょうね。普通かしら? 宇宙食は学食で食べられるけど、そんなわくわくする物じゃないと思うけども。
[若葉の期待に芳秋と同じような答え。]
って、大丈夫ですか? 若葉さん。
[はしゃぎ過ぎてソファに横たわった姿に心配そうな色を浮かべ、顔を覗きこんだ。]