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―― 長老のテント ――
なぜ、すぐに襲ってこないんだ?
[ぐず と洟を啜る音がして、その後に声。]
あの忌まわしく取り囲む狼どもは。
いや、襲ってきてほしくはないが。
[カウコがやってきて程なく――――
テントの中央で燃える焚き火の向こう、
毛皮の小山と見えたものがごそりと動いた。]
長老さまが、
あやつる者が在る所為だと仰せなのも頷ける…
[テント上部の煙出しへと、煤が昇りゆく。
被った毛皮をずらして顔を見せたのは蛇遣い。
数年前――夏の興行へ訪れたこの地が気に入り、
住み着いた者。今でも、冬の極寒には慣れない。
この季節、浅い冬眠に入っている相棒の大蛇を
冷やさぬよう、首元へ巻いて常に温めている。]
あんたはどう思うね? 白髪頭。
[装飾的な杖を抱き座るビャルネへ水を向ける]
[ぐず とまた鼻先に音を立てて身じろぐ。
淡褐色の毛皮の中で、両腕を組み直しながら
焚き火の焔越しにカウコを上目遣いに見遣った。]
あの小洒落た帽子の兄さんは
まだ外にいたかい、カウコ。
いい加減、戻らないと足から凍りそうだが。
[テントの外へ出たままのラウリを指す態で、
そう口にする。自分で呼び戻しに出る気も、
カウコやビャルネに頼む気もまたない様子。]
あたしはトナカイの氷り脛を割って、
骨髄を啜るのはだいすきだけどな。
人間の脛へしゃりしゃりに
霜柱が立つのは、考えるだにぞっとする――
[ずー。と鼻先の音がひときわ長く漏れる。
流石に面映かったのか、
蛇遣いは誰にともなく肩を竦める。
ちらと見た供犠の娘が、僅か笑んだ気が*した*]
狼の声は、ここからでも聞こえるが…
オーロラはまだ紅いか?
…他所から来て居着いたあたしには、
あの凶兆とやらも綺麗に見えてたのにな。
[躍るほのおの紅を見遣るままに眉根を寄せ]
今は…
水にさらした傷口が、あんなふうに
血の帯を吐いていたかもしれんと思うよ。
…足の話をしていた気がする。
[外気を連れて傍に来た青年を、目礼で迎える。
やはりオーロラのいろが儘にあかいと聞かされて、
蛇遣いは鼻白む態で胡座の片膝へと頬杖をつく。]
迷信が迷信ばかりでないから、
この地がすきになったのだがね。
こんなときは困るな。
…あの狼どもを、村の男衆と犬とで
幾らかでも追い散らしてしまえないのか?
…また、誰か来たかね。
[厚い雪を、地表まで掘り下げ建てられたテント。
入り口付近で凍った小石>>21が転がる音がした。
毛皮に埋もれる蛇遣いは入口の厚い幕へ目を遣る。
すぐに視線は火へ当たるラウリの身動ぎに戻って]
そう、足だ。温まるといい。
しかし、狼を村へけしかける者かもしれんのか。
狼使いならば凍えておけ。…こうだな。
[冬は、火の傍でのみ饒舌な蛇遣いが一人で頷く。]
この地でなくとも、
年寄りのいうことはきいておけとは言うものだが。
長老さまの言、盲信でなく
納得してしまえるのは幸いかもしれん。
…ああ、そうか…
旧きに学べということなら、文献にもだったな?
[ラウリの後を接ぐように口を開いたビャルネへと
うなずいてみせる。ぐず、と鼻先に音を立て溜息。]
追い払うのは、どうにも無理か。
カウコも同意見らしい。
痩躯を気に病む必要はないようだよ、ラウリ。
[場の男たちが意見を同じくするらしきへ、
先刻声に自嘲を混ぜたラウリへ薄情に言う。]
ではやはり、狼使いとやらを探して
やめさせるが最善というわけなのだね。
あの赤マントは、まだ戻らないか。
何人が集まって…何が始まるのだかな。
[眉を顰める。狼使いを探すという術を想う。]
容疑者を集めて、テントごと燃やす…
なんてことにならんらしいのだけは、
彼女のことひとつ取ってもわかるが――…
[複雑げに、長老の孫娘を肩ごしに*見遣った*]
――"49"か。
邪魔にはならん、座るといい。
[目元へ包帯を巻いた男が姿を見せると、蛇遣いは
"49"――彼を、マティアスをそう呼ばわった。
確かに、彼の両耳へ揺れるプレートにはその数字が
刻まれている。その由来は未だ語られないけれど。]
まだ、何もしてはいないのだ。
まだ、村のために、気の毒なドロテアのために
ここにいる誰も、何も出来てはいない。
なに、肝心なところとやらが
きっとまだ来ていないだけさ。
[ずっと洟を啜って、ラウリへ応じる。
例えばビャルネの言葉通り、村の男衆が銃も使わずに
トナカイを襲った狼を射殺すところを蛇遣いは以前に
実際目にし知っていた。頼りには、しているのだ。]
むしろあたしこそ、何も出来やしない。
…蛇を操れるのだから狼も操れるのだろうと
言われてしまうかもしれんと予想する程度だ。
…
報いるのも、「必要なこと」だ。
[薮睨みめく視線は、男の包帯の奥へは届かない。
届くとしたら、苦い砂を噛むような間だけだろう。
不謹慎めくラウリへ、苦言を呈することはしない。
ただ火の中へ、おもむろに白樺の小枝を差し込む。
端を摘んだまま炙ると、やがて…ぱちんと弾ける。]
[溶けた熱い樹脂が、角度違わず――ラウリの頬へ
跳んでいったのは果たして偶然だっただろうか?]
…
[素知らぬ態の蛇遣いは、
儀に、犠牲に――納得していないとこの場で言う
ビャルネの呟きへ同調する態で重々しく*頷いた*]
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