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――そして最後の問題。
このヘリがボスの脱出用ならば、ボスを探しに軍が動くだろう。
私は飛び立ったヘリが、軍施設からニューヨークの摩天楼で視界が切れたタイミングを見計らい、調達したパラシュートを開いてヘリから脱出した。
残された重傷の2人がどう逃げきるのかは知らない、私の中では事件はもう終わったのだ。
あばよお二人さん、上手くやれよ――
0031エンディング
――数ヶ月後。
追っ手はあの2人をまだ追いかけているだろうか。
陽動となった彼らの安否を気遣いながら、私は地元に戻り、何食わぬ顔で探偵業を再開した。
危険なヤマを踏まなくなったので収入が減り、事務所も縮小を余儀なくされたが、それ自体は大きな意味はなかった。
貧しかろうと、決して忘れてはならないもの。
それは探偵精神、ハードボイルドだ。
――私は、1日の疲れを癒すため、銭湯へと向かった。
風呂はいい。
垢を落とし、身体を温める目的以上のものを与えてくれる。
――探偵は、いついかなる時でも探偵精神を忘れてはならない。
ハードボイルドは、いつ何時でも己のスタイルを崩してはならないのだ。
無論、銭湯に向かうときも同様であり、これからも変わることはないだろう。
愛用のダークグレーのソフトキャップとトレンチコートにサングラス。
手には替えの下着とアヒルちゃんが入った洗面器。
足元は、磁力パワーの健康サンダル。
そして肩からは、信用金庫のネーム入りタオル。
完璧だ――。(完)
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