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あ。…さっきは、
[どう声を掛けようかと迷ううち、結局声を掛けそびれた。
ユノラフの挨拶>>0:126に、また迷うように口を閉ざす。
結局は、眠そうな彼に礼を言いそびれてしまった。
内心、小さく息を落とす]
…そうね。神は見てくださっている。
きっと、あなたも。
[こう付け加えてしまったのは、彼女が不安げに見えたから。
柔らかな笑み>>0:128に微笑んで、けれど続く言葉には]
供儀───…、まさか、そんな。
[ドロテアの姿、イェンニの言葉に首を振る。
指の先が、ひやりと冷たく冷える気がした]
[ドクリ]
[不意に跳ねた心臓の音がやけに大きく響いた]
[何故なのか未だ、解らない]
[それは目覚め始める獣の血]
[供儀とされた愛しい妹の喉元が
酷く酷く柔らかそうに見えて
そんな自分の意識に驚いて頭を振る]
[咥内で赤い舌が上顎を舐めた]
[未だ、気付かない 気付けない]
[胸元は心臓の辺りを抑えるようにして
ふる、と、桔梗色の髪を揺らして頭を振る]
星詠みの結果―――だ、そうですわ。
でも、…そう。
ニルス様もおっしゃってましてけれど
今までも満月なんて何度もありましたし…
[だから、と。
去る妹の背を見る睫毛は細かく震えた]
当たり前に、聞きはする。けど。
僕はそうじゃなかった……だけ、です。
環境が、そうだったから。
[テンポはゆっくりと。
言葉を続けて、アイノの表情が緩むのにつられ、彼もほっと小さく息を落とした]
うん、……こんなこと、なければいい。
何も無ければ、きっと、解放される。
僕も、聞いて、びっくりした。
[そうであればいいと希望の混じる声。
何人の人がここにいただろうか。戻った人もいただろうか、いたならば頭は小さく下げたけれど]
――部屋、使おうかと、思う。
荷物、おきたいから。
アイノは、どうする? 上、行きますか?
[遠慮がちに尋ねる言葉。行くというのなら、一緒にどうだろうと、誘いをかけようと**]
星詠みの…、いいえ。いいえ。
きっと何か、良い方法があるはずだわ。
だから、ね?
どうにかそれを探しましょう。
まだ…時はあるのだから……。
[半ば自らに言い聞かせるように口にする。
彼女がどれ程ドロテアを可愛がっているかを、知っている。
だから彼女を力付けるように希望を口にした。
けれど間もなく、外から扉を打ち付ける音が響く。
不吉な響きに、女の肩も不安に*震えた*]
[人の子は気付かない。
供儀となった彼女の味などに興味は無いから、それがうまそうだとか、そんな感情は持たない。
このまま何もなく終わればいい。
それは本当に思っていることだったのにと、心の奥で少し笑う。
距離を感じる父、村の人々。
この平穏な日々の脱却を、望んでいた。秘めた、厳重に隠し続けた本当の願い。
ほしいと思ったものは、平穏な毎日ではなく――**]
環境……そうなんだ。
[名前すら先程聞いたばかりの彼の置かれた環境など、勿論知る由もない。
首を傾けるものの、深入りする様子はなく頷いた]
うん、……何事もなく帰れるよね。
[アイノもまたレイヨと似たような言葉を紡ぐが、そこに切実さはなく、どこか淡々としていた]
……。
[それでも当の“供儀”が現れ、何事か呟いて去るのを見た時には、一度口をつぐんだ]
[満月が 近づいてくる]
[身体がひどく熱く寝苦しい。
隣で規則正しい寝息を立てる妹の
シロイ肌が、白い、白くて、]
[ぐるぐると目が回る]
[目を閉じても眩暈が脳を揺らす]
…嗚呼、
[制御しきれぬ血の目覚めに
声にならぬ吐息が漏れた**]
……行く。
[元よりそのつもりだったから、二階への同行の誘いは断る理由もなく頷いた。
それからまた少し間を空けて]
えっと……、その、普通でいいよ。
多分、そんなに、変わらないと思うから……歳。
[言葉遣いの不安定さは気付いていながら指摘しそびれていたらしい。
今更ながらの話は、やはり少し言葉足らずだった**]
[窓から差し込む陽の光に瞼を刺激され、彼は慌てて飛び起きた。庭にある小さな菜園への水遣りをしなければ――]
[……と、辺りを見回し、ここが自宅ではない事に気づく]
………。
[ふう、と長い深いため息をつく。その時は気づかないふりをしていたが、イェンニの放った『容疑者』という言葉(>>0:71)が頭から離れない]
[彼は、自分が星詠みに選ばれた意味を考えていた。使いの者が来た時から、ずっと]
[……恐らく、そういうことなのだろう、と自分の中で答えを出した彼の目には、ある決意と覚悟が浮かんでいた]
[夜。
厚い本を半ばまで読み進めて、ニルスは寝台に身を横たえた。顎に本の端を乗せるようにしながら、天井をぼんやりと見遣る。
伝承の通りであれば、次に目が覚めるときには人狼が目覚めている。>>8>>9 扉に釘を打ち付け、屋敷に封をする音をやや遠くに聞いた。]
やれやれ……まずは、当座の食糧の確保からか。
[閉じ込めるからには、恐らく地下にでも食料を用意してあるのだろう。まさか、全員を人狼もろとも、などとまでは長老も思うまい。
長老は星詠みに従い、この屋敷に人を集めた。しかし、全員が人狼として目覚めるというわけでもないだろう。であれば、人狼ではなく星詠みに表れたものには、……。]
……何らかの役割、ということか?
[まあ何であれ、ニルスは自分の知識欲を満たそうとするのみだ。徒然に思考を巡らせながら、ニルスは眼鏡をサイドボードに置き、目を閉じた。]
[朝。
身支度を整え、ニルスがまず向かったのは地下だった。有事の時に備え、食料を備蓄するのは地下室だと相場が決まっている。
その読みは正しく、だだっ広い地下室にはある程度の期間ならば過ごせるであろう食料が蓄えられていた。
ニルスはその内から果物を数種集めて、1階へと戻る。
潮風の強いこの地では、果物は獲れない。
貿易によってのみ手に入るそれは、購入すれば少しばかり高価なものだった。
キッチンに入り、それらを切り分けて皿に乗せ、居間へと運ぶ。]
不安や恐怖は、いたずらに人を消耗させる。
そうさせる事態に直面する時こそよく眠り、美味しいものを食べ、心を落ち着けるべきだ。
というわけで誰か、美味い紅茶でも淹れてくれる者はいないか?
[果物の載った皿をテーブルに乗せ、ニルスはぐるりと辺りを見回した。]
[普通で良い、と言われて。何か少しわからなかったよう。
だけれど、すぐに得心して、彼は笑う]
ありがとう、アイノ。
うん…
同じ年くらいの、女の子と話すの、久しぶりで。
ごめん。
[聞き取りにくかっただろうかと、不安になったのか、謝罪の言葉も織り込んだ。
話を振る、ということもうまくできず、彼はアイノと二階にあがる]
早く帰れると、良いね。
でも、しばらくはよろしく。
おやすみなさい。
[部屋の前で別れる時には、そんな挨拶をしたのだった**]
[身支度を整えた彼は、部屋の空気を入れ替えようと窓辺に近づき……釘で打ち付けられている事に気づく。夜中、まどろみの中で釘を打つ音が聞こえた(>>8>>9)のは気のせいではなかったらしい]
[声を発するにはどうすればいいのか、
そう考えたけれど、思いついても今はやめた。
ただ、人のものではないと感じる。
だからその声を、静かに聞くだけにした。
幻聴ならばそれでもかまわないと、彼は思ってもいたから。
盗み聞きをしているつもりは、レイヨにはなかった。
人狼の感覚がどういうものなのか、彼は知る由もないし、潜んでいるつもりもなかったから。
いつもとは違う、そして自分が聞く声が特別なように思えたから。
心が確かに弾むのを、こらえることは出来なかった**]
[部屋を出て、居間へ向かう。確か、ニルスの持ち寄った古びた紙(>>0:58)がテーブルに置かれたままのはずだからと――]
[何かが起こる前に、人狼の事を、知っておきたかった]
[会話による情報収集が不得手な彼は、資料館に足を運ぶのが習慣になっている。
元々、文字を読む事が苦痛ではないという事もあるが、そこにはマティアスもいたし、文章を読むのが早いニルス(>>0:107)とは比較的意志の伝達がしやすかったから]
[居間のソファーでどれだけ寝ていただろう。
繊細な部分は殆ど無いおかげで、何処でも寝れるのは自慢の一つかも知れない。
熟睡してた分、夕べ玄関の扉が閉鎖される音など聞こえる事は無かった。
ふと目が覚め瞼をあければ、視界にはニルスが居る。
夢心地で時計を探し時間を見れば、普段なら既に仕事に出ている時間で。]
いっけね!遅刻じゃねえか!
[慌てて飛び起きたが、おそらく周りの人物に諭され今の状況を思い出せば、恥ずかしそうにソファーにもう一度座りなおす。]
ははは…なーんだ。
おはようさん。
[人差し指で頬を掻きながら改めて挨拶をした。
[座りなおす際に、足元に落ちていた毛布を拾い「自分で使ったっけ?」と不思議そうに見れば簡単に折りたたみ、横に置く。
テーブルにはニルスの置いた果物があり、目を輝かした。]
おお!いい物があるじゃん!
ちょっとばっかしいただいてもいいか?
[聞きながらも既に手は伸び、切り分けられた一つを手に取れば口に運ぶ。久しぶりに味わう瑞々しい甘さに笑顔が零れ、紅茶を淹れてくれる者を探すニルスを見れば>>15]
すまん。
多分お前さんが気に入る茶を淹れるのは俺多分無理。
[少し困った笑顔で、申し訳なさそうに顔の前で手を合わせて謝った。]
………っ。
[マティアスの様子を思い返し、覚悟が揺らぐ]
[有事の際に、果たして、告げることが出来るだろうか]
[自分は死ぬために来たのだ、と]
………。
[彼は、かぶりを振ってため息をついた。
まだ、村に災いが降りかかると決まった訳ではない。何も起こらなければ、それに越したことはない]
…いけません。
私は…――なんて、ことを
[裡で想う言葉が他に伝播しているとはまだ気付かない。
眠る妹へと伸ばしかけた手を、
逆の手で ぎゅ、と握る。
そのまま、自身の身を抱き締めて小さく震えた]
[喉が 乾いてていく]
[満月が――どこかの何かを狂わせる]
[寝台の上で俯いた顔を上げると
いつも眩しげに細められた眸は真っ赤に染まっていた]
[夜、眠りは浅く。
そして朝、窓の外を見る。
祭りの前の浮ついた空気は遠いもののようだ。
そっと息を吐いて、机の上に出したものをバッグにしまいこんだ。
盗まれるようなものなんてない、だいたいここには、昨夜見た人しかいないはずだ。
釘の打ち付ける音を思い出して、わずか顔を歪めると、階下、居間へ。
そこに居る人たちを見ると、軽く頭を下げた]
おはようございます。
……果物?
[机の上の物を不思議そうに見る。何せあまり買うこともないものだから、仕方ない]
[まだ眠るらしき妹を部屋に置いたまま廊下へ出る
顔には薄い隈が眠れなかったことを示していた
階段を下りていくと居間の方からざわめき聞こえ
顔を覗かせ果物が並ぶ様子に表情を和らげた]
ニルス様、ユノラフ様お早うございます。
お茶でしたら、
わたくしがお淹れ致しましょうか?
満足頂けるかは判りませんが。
[クレストの姿とレイヨの姿も見えれば
同じように、挨拶を向ける]
― ゆめ ―
あ いるまにさそわれて
かあ いりえにいった
いかあ どう あ して
いか あの か こがいないのか
ち い けら い れた
ぎ ひどいや どうして
れ あ さむい あ いるまは
た た どこ か へ?
た さむ い たくさんいる
か き
い し え いたい
あの手は る いるま?
何もかも――……
[あちこちから差し込む陽の光で明るくなった廊下を進む]
[胸の内で考えている事などおくびにも出さず、居間へ足を踏み入れた]**
― 昨夜の事 ―
[ぞわり]
[全身の毛が逆立つのが判る
それは月の重力に惹かれているかのように
赤い眸の下、赤い舌で一度くちびるを湿らせて
見下ろした手の爪は伸び、鋭く光る]
[どうすれば今魔物となれるのか
血が 教えてくれる――…]
嗚呼、ドロテア、………
[小さく落とす呟きは震え掠れ 怯えるよう]
― 調査記録 ―
イルマとマティアスが連れだって、入江にいった。
(目撃情報あり)
イルマはすぐに帰ると両親に告げて出かけていった。
マティアスは同居する祖父には特に何も言っていない。
マティアスは入江から村への道で発見される。
顔面、後頭部、背中、脇腹、腰、ふくろはぎより出血。
傷はぐちゃぐちゃで何によってつけられたものなのかもはっきりしない。
マティアスは事件なのか事故なのか、ある程度意識混濁から回復した後もイルマの行方についても口を開かず、当事者以外は何があったのか把握できていない
――ことにした。
― 真夜中 居間 ―
[夢から覚めた。深夜だ。いつの夜だ。わからない]
[誰かが、戸を閉めている。
釘を打ち付けている音。
それを頼りに、這うように床に転がり、玄関へと
何度か壁にぶつかって、頭や腕に青あざができた]
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