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……。
だったら、どうだって言うんだい?隠。
”ただ”も何もないだろ。
食餌は、…食餌だ。
まさか、味に評論しろというわけでもないんだろう?
…きみは、いつも食餌の時には笑うの?隠。
一度くらい、見てみたいけれど。
[そう、笑わない男を揶揄してわらった。]
─…ねえ、隠。
死んだ魂が、未練たらしく残っているなんて滑稽だと思わないかい?
…救われたいやつは、救われたらいい。
望みを叶えれば、消えることもあるんだろ。
……きっとさ。
あとは…、纏めて消えてしまえばいい。
過去も、思い出も…ぜーんぶ、さ。
[話し声に、温度のない笑い声が混じる。]
[男に聞き取れるのは、陽の声だけで、
くしゃりと握り潰された髪の音は聞こえない。]
……。そうですか。
[いまさら。と、一言で返された答えに、
それ以上は、問いを重ねず]
…まあ、 味ってよりゃァ。
あんたさんが、喰いモンに対して、
どう思ってるンかの方が…、…気にかかりますよ。
[男は、揶揄には乗らず、黙って顎を引く。]
……… 獣ってのは…、
…もともと、笑わねェもんです。
特に。
…おれは…、獣のうちでも…、
臆病モノですから。
[言いながら、
自分が笑ったところを思い出そうとしてみて、]
……
…それで、不都合も、ありませんでしたしね。
[結局。記憶の中に、自分が笑った顔は、思い当たらなかったようで、陰気な男は、ぱちりと瞬いた。]
……
[滑稽。といわれた、魂だけの手へ視線を落とし、
開いて、握ってみて、]
……
"自分を殺した奴らなんて。
不幸な目にあってしまえばいい。"…とまでは…
…… 仰らないんですね。
[男の声は、淡々と、どこか確認を取るようで]
[握って開いた手は──"見よう"と思えば
透けて、その向こうの床を映し出す。]
……
[コーネリアスや、ステラの姿も。]
…滑稽かはわかりませんがね。
おれは、墓守ですンで。
…あんまり、死者にそのへんをうろつかれると、
気持ちの良いもんには感じませんが……
おれは…、あんたとこうして──
もう一度話せているのが、
…狂ったおれひとりの妄想だか、
まぼろしじゃァ、なけりゃ良い、と……
思いますよ……。
…… あんたは、滑稽だ。と、
お思いになりますかね?
[尋ねて、続く言葉に、頷きの代わりだか、
前髪の影の下、瞼をそっと下ろした。]
──…隠。
きみは、まるで僕が…”食餌”を楽しんで、
いないような… 言い方をするね?
[問いに返す問い。
小さく息をついた。]
きみが、─…僕たちが…ただ、獣と言うのなら。
[一旦言葉を切る]
いっそ、言葉の通じない獣であれば
…… 良かったの、かも知れない。
[はは、と空虚な笑い声が響く。]
[笑わない影の代わりとでもいうように]
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