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誰の写真だったかなぁ。
コラージュでね。大きさは全紙……これくらいの。
[新聞紙一面分位の大きさを両手で形作る。
向こうの世界は鏡の中のように不思議な距離があるようで、声は決して届かないのだけど、それでも訥々と]
一つ一つが、そう、こんぺいとう位の大きさで。
色んな国の、色んな年の人の顔なの。
動物も、植物も、景色もあった。
それが乱雑に貼ってあって、でも、遠くから見ると全体が一つの顔のように見える。
その手法自体は珍しくないんだけどね。
[その画を思い出そうと、視線は空へ]
その作品のタイトルは「god」。
[空き地を訪れたペケレに、一礼をする。アンの事を聞くと]
金田さんが?
そうか。先刻、誰かがまた隠されたような気がしていた。
[目立った感情は見せず。
少しだけ遠くを見るような仕草をした。笑う声に]
神とは、眠っているものなのかね。
だとしたら、全ては……夢のようなものなのかも知れん。
神隠しという事象自体が……
月の泡沫の如きものに過ぎんのかも、わからんな。
[詩のような、謎かけのような言葉を返し、微かに*笑った*]
声が聞こえたって?
[イマリとペケレの言葉を繰り返す]
確かに、そんな話を聞いても、笑い飛ばしてただろうなぁ。
……向こうの世界にいた時は。
[今となっては、どんな不思議な話でもすんなり信じられる]
だって。
俺自身が、ありえない状況だもん。
あちらは随分大変そうだ。
[目の前で起こっている、けれども、とても遠い世界の出来事を眺めながら暢気な感想をもらす]
正直、俺にはどっちでも良かったんだよね。
ニュータウンも神様も鬼も狐も蛍も……、いてもいなくても、やってもやらなくても。
ほっといたって、時間は流れていくし、何もかも変わっていくには違いないんだからさ。
ただ。
毎日起きて飯食って仕事行って……って、その繰り返しがさ、ずっと続くのかなって思ってたのに。
こう、急に、無かったことにされちゃうとねぇ。
いくらつまんない毎日だったとしてもさ……。
[どこか、
どこでもない場所で目を開いた]
……ん。
[眼を擦って、億劫そうに身を起こす。欠伸が出て、目元から口許に手を移した。
闇に包まれた周囲。何もないのか、何も見えないだけなのか、どちらが天でどちらが地か、上下の感覚すら失くしそうだった]
休みすぎた?
[呟くと、つま先を上げ、下ろした。とんと、地面を叩くように。
闇が晴れて、村の景色が広がる。
しっかりと上下を確認して立ち、地を蹴り跳んだ。その一歩は人の一歩とは違って、長い距離を一瞬で縮めてしまう。様々な場所を巡る。
藍色の眼は移り変わっていく村の光景を、そこにいる人々の行動を静かに映していった。
何も言わないし、何もすることはない。伸ばした手も届かない。
最後には神社に辿り着いて、鳥居の上から人々を見下ろす]
[ヨシアキを悲しく見つめながら]
あの兄ちゃんが鬼だって?そんな風には見えなかったけどな。
忘れられたくない……か?
可愛らしいこと言うなぁ。
俺が消えたところで、御伽噺にもならねぇな。
子どもも居ないし、何にも残らない。
だから気楽だって言えば、そうなのかもしれないけど。
[ちょっと寂しいよなぁ……と、口の中で呟いて]
鬼が消えれば、俺たちホントに戻れるの?
どう思う?神様。
[どこかに居るであろうバクに尋ねるけれど、答えは期待している風でもなく]
そういや恵美子さんが、「10万円くらいお賽銭あげたら、消えた人返してくんないかな?」って言ってたっけ。
恵美子さん、めちゃくちゃ良い人だな。
……どう?神様。
10万で手を打つってのは。
夢から覚めたら戻れるよ。
[きっとね、と付け加えた言葉は曖昧。
不意に高く空から振る声。
距離など関係ないかのように]
おれはあなたたちの思う「神様」かはわからない。
おれはただ、ここにずっといるだけだから。
それに、そうだとしたって、人のお金に興味はないから、手は打てないな。
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