作家 フユキは、窓の外、自分を作りし物を見る。冬さくらの樹を。

作家 フユキは、鈴の音を聞き、ナオを逃がそうと身体は反射的に扉の前へと動く

作家 フユキは、髪結い ホズミに頬をなでられ、吸い寄せられるように瞳を見つめている。

作家 フユキは、髪結い ホズミに主を問われた直後、襲って来た酷い頭痛に苦しんでいる

作家 フユキは、髪結い ホズミのキスに目を瞬いた後、しばしの快感に身を任せる。

作家 フユキは、髪結い ホズミの手を取り、その甲に口を近づける

作家 フユキは、髪結い ホズミが奥の部屋へと引っ込むのを見送る。静かだ。

作家 フユキは、立ち上がり、管理棟を出て湖畔へと足を向ける

作家 フユキは、湖畔に残されたスケッチブックを見つけると、おもむろに開いた

作家 フユキは、目の前に広がるヌイの世界にしばし引き込まれている

作家 フユキは、頬に暖かいものが流れていくのを感じた

作家 フユキは、駐在さんの言葉を思い出す。化け桜はヒトを喰らう、と

作家 フユキは、ホズミさんは言った。狼が死ねば桜は枯れる、と

作家 フユキは、管理人室で横たわっていた犠牲者たちを思い出す

作家 フユキは、桜が枯れれば、もうあのような犠牲は出ないのだろうと思い

作家 フユキは、決別の言葉をつぶやくと、管理棟へと帰っていく

作家 フユキは、髪結い ホズミの待つ部屋へと*入っていった*