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― アン・シティ/大通り ―
[夕日に追われるように歩く。
向かう先はターミナル駅]
ハロー
どう? 『大福』は撒けた?
[スマホの呼び出しに応えると、一声目にそう訪ねる]
あら、撒く前に?
そう? ……ザ・オーナーかスリーピングキャットが動いたかしらね。手間が省けて良かったけど。
[口元に隠しきれない笑みが浮かぶ]
大丈夫よ。
しばらくは時間稼げるでしょう。後処理お願いね。
[ちゅ、と。スマホに向かって投げキッスすると、通話をオフ]
― 夜行列車 ―
[トゥ・シティへ向かう夜行列車。
個室の窓から外を覗く]
永遠に追い続けるのかしらね……こうやって。
[視線の先には遠く、ミル・シティがある。
それは鳩の帰巣本能のように、ぴたりと、わかるのだ]
あなたが、そうしたように。
[求めて、求めて、追えなくなっても、まだ求めて。
その欲か、願いは、他者たる自分を巻き込んで、まだ続いている]
さてに、
この世の中には様々な猫がいる。
猫は時に人の形をし、
猫は時に宝石になり、
猫は時に形のない時間になった。
[駅のホームのベンチにかける]
[鼻歌、スマホの着信音と同じ、有名なアリア。
女の腕には、その細さに似合わない男物の時計。常から綺麗な物が好きと豪語する女の趣味とも違う、無骨な傷だらけのそれ。
無意識に指で文字盤のガラスを撫でながら、女は歌う、上機嫌に]
[黒い猫は、
その中でもなにより。
唯一であり、すべてである。]
すべて順風満帆な悪人など、
いてはならないと思うのだよ。
君はどうかね?
[ドゥ・シティの駅のベンチで、ぽそりと]
─車の中─
さて。
何かを仕掛けるとしたら、どれが一番面白いのかのう。
[居場所が分かれば仕掛ける事も可能だが、駅の防犯装置に忍びこむのはたやすい話だが、監視カメラの映像をチェックするのには同じくらいの時間が掛かる。
そんな下らない作業には食指が動かない。
おまけのように自動化したアプリを仕掛けたが、引っかかるような間抜けな変装もしないだろう]
どら美は何がええかの?
[ターミナルの中にある液晶掲示板──デジタルサイネージが一斉に映す内容を変えた。
Un coccodrillo vero
un vero alIigatore
ti ho detto che l'avevo
e l'avrei dato a te.
Ma i patti erano chiari
il coccodrillo a te
e tu dovevi dare un gatto nero a me
Volevo un gatto nero nero nero
mi hai dato un gatto bianco
ed io non ci sto piu
Volevo un gatto nero nero nero
siccome sei un bugiardo con te non gioco piu ── 白地に黒い文字がシンプルに舞い踊る]
[軽快な黒猫のタンゴのメロディに乗って踊る文字は、道行く人は新手のプロモーションだと思っただろうか。
それは3回繰り返すと唐突に切れて、元の宣伝を流し始める。
アン・シティで作戦を練るときに、有事の際の経過駅での合流箇所の打ち合わせをしていた。
いくつか指定してい有る中の、3つ目の場所を思い出す人はいるだろうか]
では、行くかのう。
[運転手にチップをはずむと、三毛猫を肩に乗せたまま車を降りた]
[明け方]
……『悪党のために警察があるなんて思い上がり』
[窓のそとに飛ぶ影をみて、呟く。
それは、旅する鳥だったか、餌を求めて彷徨う鳥だったか、白かったか、黒かったか、解らなかった。
行く先を見れば、ドゥ・シティが見えてきた*]
─古いホテルの一室─
[その街で3番目に古いホテルの一室にとある会社の名義で部屋を押さえていた。
三毛猫を肩に乗せた老人を止める事なくそこに案内し、ソファでくつろぐことにする]
さて、のう。
[仲間には伝わるかもしれないが、警察はもちろん『ブラック・キャット』を知る他の機関の人間の目に付く行動。
普通であればバカなこととしか思えない行動を取っておきながら、なお、楽しそうにソファでくつろいでいる**]
それとも。
[列車移動を好む自分をお呼びだろうか。
だとすればそれは十分に警戒に値する]
プロフェッサーがやっているってことも、ありえるけどね。
[どちらにしても、暗号は流れた。
わかるものには解るだろうし、知りたい者は知ろうとするだろう]
何かが足りんのう。
[しばらくして、何かを思い出したかのように忌々しい顔になると、すわり心地のよいソファから立ち上がり、フロントに電話を掛ける]
日本茶と和菓子を持ってきてくれたまえ。
[やがて届いたソレを見て目を細める]
大福……か。
呼ばれているなら、行かなくちゃね。
[仲間であれば向かうのは当然のことだ。
観光客然とした大きな鞄はお気に入りのブランド品。スマホを取り出すとアドレスを開きながら、改札をくぐる]
[コールが3回、相手が出る]
どう、ホワイトラビットは大人しくしてる?
手を焼くようなら大福を上げて頂戴。
[捕らわれた彼は、警察が彼のことを「ホワイトラビット」と呼ぶことに、驚いたかどうか]
暗号が流れた。
ここのシステムもザルね。
[からかうように言えば、少し不満そうな声が返った]
いいじゃない。
相手は1世紀前のバケモノだもの。
[下手をすれば1世紀以上かもしれない]
じゃあね。
あとのこと、おねがい。
[僅かに声を小さくして、告げると、通信を終わる]
― 古いホテルの一室 ―
[ホテルスタッフの格好をして、廊下を歩く。
持参するのは大福だ。駅の観光案内所で大福の有名なお店をきいて、寄ってきた。
すでに、みんな揃っているのか。
それとも誰もいないのか。
それを調べる時間はなかったが、あまり遅れる訳にもいかない。ドアをノックする]
お客様、サービスです。
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