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[「ツチノコを探しに」というのは口からでまかせだから、向こうが干からびた何かをツチノコと呼称しても、さして興味を抱かずに進んでいく]
…………。
[ふと――
思いを馳せるのは“きょうかい”の向こう側]
……キャー!
おまわりさーん、大変です、あの人捕まえてくださーい!
[ネクタイごとバッドをぶんぶんふりまわすと、物騒度三割り増し。
大きな水音に気づいて動きを止めると、『ゴッ』という音とともに後頭部にぶつかった。自分の]
痛い……
[頭をさすりながら四つんばいで川に近づく]
ずいぶんと、大きいね。
[白んできた空。
赤い水の川を逆流する、大きな何かが浮かび上がる]
お食べ?
[差し出した、ツチノコかもしれないしそうではないかもしれない何かを、そのいきものはアンの腕ごと口に含んだ**]
あたしはおいしくないよ。
あっちのおねえさんの方が、きっとおいしい。
[渡った先に在るのは、
死者の住まう世界なのか。
人ならざる者の住まう世界なのか。
平行世界の類、という説もあるにはある。
いずれにせよ、一度渡ってしまえば戻ってこられないであろうことは、ふたりの間の固い共通認識だった]
……って、あの子何叫んでるのよ。
[焦燥滲む声と共に、進む速度三割り増し]
[やがて女を追ってきたのは、しかしおまわりさんではなかった]
な……
なによ、あれ。
[恐ろしいものに直面した時の真っ当な反応として、女は凍りついた。
だが、近付いてくる大きな何かが、口から金属片らしきものを吐き出すのを見ると、]
――っ!
[危険に直面した時の真っ当な反応として、即座に逃げた]
[走ってもいっこうに距離が離れない。むしろどんどん縮まっていく]
まさか、この村で真に恐れるべきは、あの生き物――?
[諦念浮かぶ視線の先、教誨所が見えた。
最後の力を振り絞って、走る**]
[かち、かち、――
“境界”の出現する時間、
日の出のちょうど2分前は過ぎ去った。
結果的に、屍人は役目を果たしたと言える。
境界を暴く者達は、時間になっても所定の場所に辿り着けなかったのだから]
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