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あそこでちゅうに行かないのが、まゆねこさんの芸風です(遠)
「額に唇を落とした」って文章まで書いて書き直したからね…。
へたれめ。
…そう、ですわね。
どうせもう、他に食べやすい女の肉はないのですから、
じゃまなところを…
ユノラフ様の力は…面倒ですわ。
ヴァルテリ様がみつかるまえに、
処分しておいたほうが良いかと。
[夜のうち
仲間たる男の声には頷いて―――
側から、おずおずとウルスラの肉を喰らう]
…わたくしたちも、生きたいだけですのに。
人間を食らうがために――
相容れないのですわね。
だから、レイヨさんも。
ひとでありながら、殺されてしまった。
ああ……ユノラフは、ほんとうに見極める者だったようだしな……
[厄介なのはニルスかもしれないとは思うが。
どちらが先でもかわりはしない]
人は、人を食らう存在を排除したがるからの……
目覚めなければ、我らもまた人と変わりはせぬ。
[生きるため。
お互い、それだけで動いているのだから。
きちんとした食事に、身の裡に力がもどる。
栄養をとったことが如実に反映されるのもまた、狼へと変ずる不思議の一つだろう]
ねぇ、ヴァルテリ様。
ニルス様は、親しいから信じる、と。
そう、おっしゃっていました。
わたくしは親しいと思っておりましたユノラフ様も――あの、視線でございました。
[目覚めたばかりの若い狼の声は、
寂しげにも、響く]
…―――レイヨさんは、人だと言われて。
それでも、殺されてしまった。
…えぇ。
目覚めなければ変わりはしないのに。
[ウルスラの肉を食みながら
桔梗色の狼はほろりと 涙を零す]
…すみません。
少し、まだ、人の気持ちにより過ぎているようです。
― 翌朝 ―
[幽霊になって寝る、とはいうのは可笑しいが。
気がつけば意識が途切れていて、居間にいた]
……
ドロ、テア?
[死の気配を感じ、声をかける。
だが――返事はない]
アイノ? レイ、ヨ?
[誰だろう、と思いながら、階段をあがる。]
[ふと見かけるのは、親友の後ろ姿。
幽霊となった今、臭いを知覚するのは難しい。
それでも――嗚呼、いってはならない、と血の苦手な親友を止めようとしても手がすけてしまうのだ]
[それに、親友がいつも。彼女がいれば、彼女のことを目で追っているのには気付いていた。
彼女に好意を抱いていることも。
だから彼女を見かけたときはいつもそれとなく二人っきりになるように計らったりもしたが――だいたい体が大きいわりに鈍いので失敗した――まさか、こんな]
うる、すら……
[嗚咽を噛み切られて絶命している姿を、見下ろした]
ただ、わたくしは。
人狼として目覚めた事を、
悲しいとは思いません。
誇りに思います。
[目覚めた事を後悔はしていない]
親しいから、信じるのではないよ。
危害を加えないと思っているから、信じていると言う表現になるのだ。
[人とはそう云うものだ、と割り切った老狼は呟く]
泣くのを、こらえることはない。
レイヨもまた彼らにとって害だと判断されたのだ。
[謝る若い狼にゆるりと頭を振った。
その桔梗色の毛並みを、一舐めして慰める]
一度目覚めたからといって、抑えられないわけでもない。
逃げ切れたら、練習すればよい……
でも!
レイヨさんは、人間、なのに。
…人狼は、人狼を殺したり、しないのに…!
[灰色の狼のひと舐めに顔をあげ。
毛並みを震わせて掠れた声で叫んだ]
…何と言えば助けられたのかは。
今だに…わかりません。
イェンニは、やさしいの……
あの場で、助けるのなら。
ニルスを食らうしか手はなかろうて。
説得を、聞く状態ではなかったからの……
[叫ぶ子を宥めるように、静かに返す]
だが、まあ……レイヨの死を悼むのなら。
壊してやれば、良い。
ニルスも、ユノラフも、クレストも。
[狂った人の子の、声を思い返しながら。
きっとそれが手向けになると思った]
壊す…
レイヨさんの、望むように。
…彼が、していたように、
[ウルスラの無残な姿を見下ろして呟く
思い出すのは彼が、彼女に言っていた事]
…わたくしは、彼のように賢くないので
うまく出来るか分かりませんが…
せめて、やってみたいと思いますわ。
わたくしたちを、護ると。
そう、言って下さったレイヨさんに。
[生まれてから、いや、母がいなくなってから、彼は一人だった。
父は母に似た彼の扱いを悩んでいるようであったし、
叔母はそんな父から生まれた彼を、あまりよく思っていないようだった。
近しい人が心配してくれていても、彼はそれを受け入れられなかった。
父が描いている絵のせいだ、と。
だから自分はここになじめないのだと。
自分から作った壁を壊すことはしなかった。
叔母に言われていたのだ。あのような父親の子のお前と、仲良くすれば、その人にも迷惑がかかると。
自分は何故生まれたのか、
――父の世話をする為か、それならばそれでも良いのだと、割り切っていた。
そうやって毎日を過ごしていた。死ぬわけもなく、誰かに関わりたいと思うわけもなく、ただ毎日を生きていた]
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