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[声をかけても、止めても――
クルミは別車両へと足を進める。
その光景が現実のものとは思えず。
何人かがクルミのあとを追っているが、それを、クルミは一人じゃないんだな…って思ったりして。
焦点の合わない視界を、テレビの中の出来事のようにぼんやりと見つめていたが]
……クルミ。
[急激に焦点が合うと、ハッとして駆け出す。
途中、入れ違いで戻ってくる誰かとすれ違った気がするが、目に入っていない―]
――――――!!!
[血塗れで真っ赤に染まるクルミが床に投げ出されているのが目に入る。
―――糸の切れたマリオネットのように―――]
あ…
あ…
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーー
マモルマモリタイマモレナイマモルマモリタイマモレナイマモルマモリタイマモレナイマモルマモリタイマモレナイマモルマモリタイマモレナイマモルマモリタイマモレナイマモルマモリタイマモレナイマモルマモリタイマモレナイマモルマモリタイマモレナイ―――――
[クルミの元へ歩を進めると、視界が揺れている。
―自身が震えていることには気づいていなかった]
……クルミ…寒いのか…?震えてんぞ?
こんなとこで寝てんからだよ
しょうがねーなー
ジャケット貸してやんよ
[ジャケットを脱ぐとクルミにかけ、体を持ち上げて床から座席へと移す。]
ここで寝てろや
[クルミへ笑顔を向ける。
認識したくないものは目に入っていない。
クルミがただ寝てるようにしか見えていないようだ。
血塗れのクルミの頬に唇を落とすと戻っていく。
自身も血だらけになっていることなど気付いていない――]
[元いた車両に戻ると、その足で三枝に近寄る]
三枝さん、ちょっと失礼。
[三枝の額に血塗れの掌をかざし、じっと手を見る。
――何も変化はなかった――]
ん。三枝さんも鬼じゃねーな。
車両移動希望とかしてごめんな。
[三枝の額にかざした手を下ろし、結果を伝えると、座席に身を沈めた**]
[車両の片隅で蹲り震えているが、弓槻と長澤が各々の役目を果たそうとする姿が目に映り、治まらない震えをそのままに立ち上がった]
あ、あのね……クルミちゃん、違ったの……。鬼さん、じゃなかったの。
[最終的に自分が下した決断故、語尾が小さくなる]
……ごめんね。
[ポツリと漏らすと壁に凭れ、崩れ落ちるようにまた座り込んだ**]
[働かない思考をどうにか動かそうと、弓槻が話しかけていた内容を思い出す]
それ言ったの、六花なのね。
でも、見たい人言うのと投票したい人言うのとも、あの時の状況とも全然違うのね。
コハルちゃんも過剰な思考隠しいらないっていってたのよ。
……シンヤくん、言い訳しかしてないのね。
[視線を合わせたくなくて、最後は俯いて言った]
[様々な結果を考えると焦りが生まれてくる。あれから他には欠けている人は居ない。考えなくては]
投票、占い師さんも含めて考えなきゃいけない…のかなぁ。
皆にも考えてほしいのね。
[ふと、ずっと手に持っている近藤のスケッチブックに気づき、三枝に近寄ると差し出した]
六花、自分の持ってるのね。
これ、コハルちゃん持っててほしいのね。
……。
[鷹野が別の車輌へと移るだけのはず。
けれど、鷹野の後を追い、ここの車輌から離れる人の表情をちらりと見て、ぞくりと背筋が凍る悪寒を感じた。**]
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