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[狭い路地裏の木間から見える高い隙間、ふと顔を上げれば赤黒く曇る空に、遠い羽ばたきを見つけ。]
人間、じゃネェやつか。
……まア、さして珍しくもネェか。
[ふん、と息を吐いて。
ひび割れたコンクリートを踏みしめ、ゆっくりとした歩みを止める事は無く**]
冬と、夏……
……片手いじょ は
[喘ぐように。
零れ落ちる血は、泡雑じり。ひゅうぅ、と喉が長く鳴る。
間近の煤煙は周囲の大気を更に穢してゆく。]
[路地の裏。
身を寄せられる場所を見つけ、腰を下ろす。
帽子を引っ張り、無理やり瞳を閉じる。
もちろん、耳元は塞いだまま]
……死霊どもめ。
[低い呻きを残して、訪れるは浅き眠りか**]
[赤黒き空の中。
幾度か瞬きを繰り返し、視力が飛行に問題ない程度まで回復したことを確認する。
左手の弓は一旦背の固定具に納めていた]
さって、哀れなイケニエちゃんはそろそろ始末されちゃう頃かな?
ニンゲンたちの愚かな所業を見物してやるのも悪くないわね。
[元々は異形の一種であったはずの有翼人だが、伝承に準え天使と呼ぶ者も少なくない。
命を散らす供儀の前に降りてやったら、面白いものが見られるかもしれなかった]
ま、面白くなかったら楽しいお掃除ね。
[言うが早いか、翼を傾け供儀の娘が居た辺りへ体を向ける。
軽い落下と共に気流に乗り、羽ばたきは最小限に目的地へ飛んだ]
[苦い面持ちは、泡立つ傷に。
熱い身にはつめたく感じる濡れた肉の裡、
触れる気管を指先へ引っ掛け――玩ぶ。]
律儀に返事してんなよ
…阿呆が
[額を―赤い徴を―ぶつける態で寄せて。]
[ぷち、ぷち、と何かの神経を逆撫でて。
筋繊維を、頚の骨から浅く扱き離して。
胸板から滑り滴る血溜まりが足元を潤して]
あああ もう
[旧友の頚がぐらつきだしても、まだ――]
[不意に、軽業師の腕が真横へ打ち振られる。
振り捨てる態で地へマティウスの身体を放り]
なにしたら死ぬの お前
くっそ…
[苛立たしげに横を向き、道化た帽子の中へ
片手を突っ込んで煤けた色の髪を*掻き毟った*]
[右手に酒瓶、左手にひとふりの片手剣を携えている。
酒瓶など邪魔になるのだから、ねぐらにでも置いてくれば良いのだが。]
[大きな影が頭上を過ぎる。
ふと見上げると大きな鳥……ではなく、翼をつけた人間(のようなもの)が、男からは到底手の届きそうもない空を渡っていった。]
異形か、天上人か。
……どちらでも私には関係の無い事だ。
[恵まれて罪など無いと噂される世界も、空の上の出来事も。
空から地上へ視線を戻す途中で、人影を見止める]
[恵まれて罪など無いと噂される世界も、空の上の出来事も。
空から地上へ視線を戻す途中で、人影を見止める]
[男は、供儀と呼ばれる少女にも興味を示さない。
これから死にゆくものなど男の興味を引くものではないのだ。
救済や終末というものも既に過ぎ去ってしまった。
生贄の儀式から目線を外し、廃墟の中を歩いて行く。]
[つむじ風の吹く辻――
壁を崩した瓦礫の傍に、ふたつの人影がある。
ひとつは瓦礫に凭れ居て、ひとつは立ち尽し。
立ち尽すのは軽業師…銜は顎までずらされて。
風に流されきらぬどす黒い煤煙と刺激臭が漂う]
供儀の代わりにでも
なるつもりだったか? …
[旧友へ苦く言い置いて、踵を返そうとした。]
[思い出したように持ち上がる指が、手探って
顎までずらしていた馬銜(はみ)を元へと戻す。
決まり悪そうに噛込むと煙の黒さは和らいで]
……
[サンテリの視線を受けると僅か置かれる間。
片目を眇める道化た笑みで、男は戯言を紡ぐ。]
( ― おっと、剣呑 ― )
( ― 鼻から煙でも出てた? ― )
( ― まいったね ― )
[目を細めわらう、遣り切れない色だけが本音。
滴るほどたっぷりの鮮血に塗れた手は、手話を
紡ぐごとにぬめぬめと動く、別の生き物に似る。]
…
( ― 商売にしてる と思ったら ― )
( ― あんた、とっくに抜いてる ― )
そうだな。
[何に対しての肯定か]
[レーメフトから目を離さず、地面に酒瓶を置く。その手で懐から小さくパックされた薬剤を取り出す]
[それから少し目を伏せた]
お前の馬銜は何のためにある?
[顧客たる相手の視線は逸れず――縫われ。
軽業の男も、軸足を踏み替えさえしない。
酒瓶の底は、ざりと砂塵噛む音を聴かせる]
…… ふ
[常から丸腰と吹聴する引揚げ屋の両手は、
意を紡ぐゆえに容易く相手から見える位置。
煤煙と共に漏れた音に笑みらしきは含まず]
( ― ヤなこと訊くね ― )
( ― もう 知らないあいだに ― )
( ― 殺しちまわないために だよ ― )
[応えを渡した手指は、そのまま握りこむ。
肩肘を引いて――――静かに息を*詰めた*]
[頚に触れるのは暖かく、熱い指先。自らの指先は震えていうというのに。
後ろの瓦礫に椎骨が当たり、頚の裡の気管や神経や筋繊維が弄ばれ続けた。糸の切れた操り人形のように、意識せぬダンスを身体の末端は踊ってしまう。]
―――(ごぽごぽ)―――
[やがて放り投げだされた時には、頚の穴は無残に広がり、顔が半ば瓦礫や塵芥に埋まる侭にずるずると倒れて行く。]
[軽業師が話しかける言葉は、全て届いてはいた。返す事が出来なかっただけで。煤煙に包まれるまま、額同士を一方的にぶつけ合わせられた時も届いていた。]
ちがう
[最後の音>>10へ。血の泡が弾けるような呟きは軽業師の耳に届いただろうか?]
声が出せぬ訳では無いようだな。
ほう……
[薬剤を、包装ごと口に押し込んで飲み下す]
……。
そうだ。
一つ誤解のないように言っておくが。
私は別にお前の事が心憎くて刃を抜こうとしている訳ではないのだよ。
……だが、お前が知らぬうちに殺した者の中に、私の愛するものが居たかどうか、それを判ずる手段を私は……持たない。
君は……ふふ。少しは気安く思ってくれていたようなので、あえて、こう言うが。愚かだと笑ってくれても構わないよ。
[何度か息をつきながら語り]
[上げた目は、薬効で真っ赤に染まっている]
[笑うように、何度か喉を鳴らす]
くく。そうだ、まだ報酬を払って居なかったね。
私の命で贖うかい?
[*口元に笑みの形すら浮かべて。*]
・・・失礼します。
今宵、神の供物となるドロテアの姉でございます・・・。
最後に、別れの挨拶をしたくて・・・
妹は、今何処に?
[儀式を取り纏める面々である白装束に尋ねる。
彼は場所を伝えた後、彼女は大いなる犠牲になるだの、魂は浄化され云々等長々と宗教について話すのだった]
――・・・あぁ、もういいヨ。
お宅らの宗教感、興味無いネ。
[白装束の会話を遮るようにそう告げる。
予想外の反応に戸惑いと苛立ちを浮かべる白装束の口を掌で覆うと]
――信じられるのは己の『剛力』のみ。
それがこの街で唯一つ、私達が信じれる戒律ヨ。
[そう言い捨てると同時に、小太刀が男の首筋に紅い線を描き
白装束を朱く染めていく]
早く終わらせて、バカンスの計画でも立てるネ。
[刃についた血液を拭いながら、女は目的地へと向かった**]
― 路地 ―
[一度店へと戻れば、仕事用の道具を詰めた荷を抱え、再び外へ。
頼まれ事は、明確な依頼で無くとも一応は調べておくかと、話題の場所へと足を向ける。]
……あン?
[通り抜ける路地の影に、見知らぬ黒い帽子>>3。
眠っているようではあるが、無造作にもほどがある。
死体にも見えないと、殺気を向けるではなく単に睨みつけるも、眠っているのならば気付かれないか、あるいは。]
旅人カ……命知らずカ、自信家カ。
この辺りハ物騒モ多い、気をつけることダナ。
[目深な帽子が上がる事はあっただろうか。
今は仕事を優先するも、何か返る声があれば話くらいはしただろう。]
― イケニエの祭壇近く ―
[祈る弱者に、単なる野次馬に、あるいは宗教じみた白装束に。
その周囲には、普段とは比べ物にならないほどの多くがざわめいているか。とはいえ、人気さえ疎らな常よりも、というだけで然程多いとも言えない人数。
その中に情報屋は紛れ、周囲から聞こえる声を拾う。]
……バカバカし過ぎテ反吐が出るゼ。
[ぽつりと落とすのは、あまりに滑稽なイケニエと宗教論について。
一度その近辺から離れると、まだ高さをある程度保つビルの階段を登る。
天井がすっかり消えた最上階、真上は羽ばたきが在れば直ぐに見つけられる、赤く濁る空。
粗末ながらも多少の効果を期待できる集音器と双眼鏡を構え、祭壇を伺って]
……ハハッ、あのネーさんは派手だねエ。
[飛び散る飛沫に染まった白に、苦笑した。]
―砂塵の街―
[塵に塗れて倒れ居る旧友をちらと見遣る。
街の乾きを潤す如き有体が、然し『否』と
――贄の肩代わりでないと聴いたその意が
耳の奥へ残る。ゆっくりと、視線を戻す。]
…
[薬包含むサンテリの様子には面持ち曇るも、
薬効の廻りゆくと思しき間も声は遮らない。]
ん。… ん
[渡すのはひとつ、ふたつとごく浅い頷き。
声でなくとも言を継げるはずの手は握って]
[つられ、感じる息苦しさに目を細め――
軽業師は、ふと
真っ赤な相手の目から
唐突に僅かだけ上へ視線をずらすと
サンテリが剣携える逆方の脇へと疾駆した。]
[ごぼっ]
[ごぷっ] [ぷっ]
――――…ひゅ……はぁ―――……
[一際大きな血の塊が頚から吐き出された。ドクリ、と軽業師の指で千切られた筈の血管の表面が傷を繋いでゆく。]
……げほっ…ぅ………うぅ……
[気管から這入り込んだ血液を唾液で薄めたものが、口元から垂れて、砂塵と混ざり合う。]
う……うぅぅ……――
[両手の指先に力が篭り、手と額を支点にして身体が僅かに持ち上がった。]
[―――その研究施設では非人道的な研究が行われていた。其れが、コワレカケタ世界に置ける救済の術であるのか、抗する為の技術を探し出す為であるのか、技術力の高い有翼人と対等に在ろうとする為なのか、真実は研究施設を設けようと考えた者の頭の中にしかない事だろう。]
[研究施設での人体実験は多岐を極めた。試験管>>0:24で人工的に生み出された生命体の結果は、より完成度の高い存在を生み出す為にフィードバックされ、実験体自体は永劫『檻』の中に鎖される侭だった筈だ。]
うぅ……――――
[べたりと瓦礫に血の手形が付く。『縄』の痕は其のままに、頚の傷痕から血の滴りは殆ど止まっている。
其れでも、脳も心臓もなくなれば、死ぬ。]
――――……―――
[そして、餓えても。]
(牽制か、あるいは何かの予備動作か?)
[抜刀するには間に合わない。軽業師の突進を、鞘の横腹で受ける。後じさりながら抜刀。振り抜いた先に軽業師の姿は既に無い。
自由自在に空間を動き回る、曲芸めいたレーメフトの動きはどんよりと赤い軌跡を引いて、油の中の情景のように引き伸ばされて映る。己の剣先が引く軌跡も同様に。妙にゆったりとして見える。
己の剣戟には花や娯楽は無い。ただ純粋に、殺害のためだけに、あるいはその隙を作るために、軽業師を捕らえようと奔る。
神経、感覚が高揚。露光しつづける写真のような情景。軌跡ばかりが増えていく。斬撃。戦闘への高揚ではない。受けた傷の事は意識の外に。出元も不明の薬だが、効果は十分だ。化け物めいた連中と渡り合うには。一時的な覚醒作用のためだ。
軽業師の一種、優雅な挙動が時折認識を遅くする。致命的な一撃の瞬間を待つ。]
[殆ど真っ赤に染まった世界の中、新たな物音を聞く。
男の認識の中では、死体、が、奇妙に蠢く。――死んではいないのか?]
[レーメフトとマティアスの関係性は分からない。マティアスが己の敵か味方かも。]
[一度レーメフトとマティアスを見比べ]
ち。
[剣をおさめる。]
[鞘で金貨を何枚か、軽業師に向けて弾き]
代金だ。君の命とあわせて取っておくといい。
お、ろ、か?
[口元から垂れる血混じりの唾液を指で掬い取ると舌で舐め取る。]
……アルコール?知らない匂い。
何だ、それ。
[2012年というラベルこそ見えないものの、砂塵の地面に置かれた酒瓶へ不思議そうな意識を向ける。合成物ではない、純粋な酒。]
[言うなれば、意識に持ち上がったのは好奇心。
チリ…耳飾りが乾いた音を鳴らす。]
…―――…それは、何?
[問いかけは短く。風の中に消える。
拳が緩み、指の隙間から砂が零れ落ちる。地面に落ちる前に、つむじ風に攫われて何処へともなく消えてゆく。]
……―――
[軽業師に手を向けた時>>0:98のように、
執行人へ向けて手が差し伸ばされる。]
―――…教えて、くれる、かなぁ
[その時と違うのは一点。
男の下向きにした掌に、周囲の砂塵と硝子片と金属片が緩い渦を巻きながら浮かび上がり、集まってゆく。*]
[鈍い音と同時に、白装束が糸の切れたマリオネットのように力無く崩れ落ちる。
手早く衣類を剥がすと、それを羽織った後遺体をゴミ捨て場へと押し込み]
返り血浴びると目立つネ。
ボロ羽織るの気が引けるマスけど、一時の辛抱ヨ。
[くだらない神を崇める連中は想像以上に多いようで、時間短縮と悪目立ちをせぬよう信者に化けることを選んだのだった]
[その後は信者を化かしながら、行く手を阻むなら首をへし折りつつ
着実にターゲットの待つ場所へと向かっていくのだった]
・・・人が多過ぎてなかなか疲れるネ。
コレ終えたら、ビーチでゆくりバカンスするヨ。
[一部始終を得意先の情報屋が垣間見ていることなど知りもせず。
頭に浮かぶのは、バカンスとイケニエの殺害方法のみ]
[尋常ならざる剣速に幾度も断ち割られそうになった。
踏込む折は剣の遠心力が乗切らない柄元、その直下へ
軸足を置くよう薄氷上の立回りをしていた軽業師は、
場が預けられるらしきへ、ひそり黒い呼気を漏らす。]
[声に気を逸らすと、先ごろまで塵に突っ伏した儘
絶えゆく様相だった旧友がもう身を起こしていて。
…カリ、と軽業師は苦く馬銜を噛む。
あてどなき復讐の執行人と、定まらず彷徨う旧友と。
どちらの視線をも此方へ向けさせることは躊躇われ、
双方に警告を示さないまま――屋根上へ身を翻した*。]
[軽業師の道化た衣装はところどころ裂けていた。
常はふたつ揺れる帽子の尾も、左は先端がなく。
垣間見える傷口の黒い滲みは、流れ出すほどもない――
が、馬銜の片側はグルメットが壊れ鎖が垂れている。
剣の柄尻で横面を強かに殴られたのが最大の痛手。]
…うー
[盛大に切れた、口の中。
いってえ、と言わんばかり漏らす声は面白がる態。
コールタールと血反吐の混ざった唾を*吐き捨てる*]
― 祭壇近くのビル最上階 ―
[望遠鏡に覗く鮮やかな手際に、小さく小さく口笛を鳴らす。]
ネーさん流石、伊達に女だてらアンナ商売してネェナ。
ヤルゥ。
[人の多い箇所を通る時には見失いそうになるも、触れ合い離れ、崩れ落ちなかった方だと分かれば視線が追いつくのは容易だった。]
このまま、マジで白装束全滅させンじゃネェ?
[一人の賞金稼ぎが大量に殺しまわるのを、こちらは蚊帳の外から、愉しげに見物するのみ。]
[重力に逆らい浮遊した寄せ集め達が動きを止める。血臭の匂いが強く漂って来たからだった。そして、呟いた、のは、]
お腹が…空いた、なあ。
[個々の物体が互いに隙間を埋めるように咬み合い、何らかの形を作ろうとしていた物は、其処で、ぼとり、ぼと、と地面に落ちる。]
熱気と騒ぎ
[既に軽業師の熱も気配も遠ざかっている。一度認識した熱は、その熱の高さもあって、どちらの方向へ向かったのかは分かっている。]
[夢の中。にいさまは僕の銀色の毛並みを撫でてくれる。
綺麗でしなやかで凶暴な僕の宝物…。
そう言うと、にいさまはうっとりとした表情で毛並みを撫で続ける。掌を触り、肉球が可愛い、と言いながら、掌をぷにゅぷにゅと触る。
僕の一番幸せな時…。]
んあ、寝てた…。ここどこ?
[一度、忘却の彼方に消え去っていた容と記憶は、レーメフトという旧友との出逢いに拠って、忘れ掛けていた自意識を呼び起こしていた。]
俺が、炉、を起動した……―――。
[呟きは僅かに意識を感じさせる音。
生き延びる為、他者を喰った>>0:6弊害は、記憶の混乱とどれが自分の意識で在るのか不明瞭になる事。]
[さっきまでいた街だった場所とは違い、さらに埃っぽい。砂塵が赤い光に照らされ、不安な風景だ。]
ここどこ?
[埃っぽい風に血の臭いが運ばれてくる。]
ごはん、あるかな?
[ずるずる外套を引きずって、血の臭いがする方向へ歩いて行く。]
にいさま、会いたい…。
でも、夢の中の僕は銀色のまっすぐな毛並みなのに…。
[髪の毛をくしゃくしゃいじって、髪を抜く。それは真っ黒い癖毛。
しばし、髪の毛を見つめて…。]
ごはん、ごはん、血の香り、飲み物…。
[いつも通りの虚ろな瞳で、歩き出す。]
― 祭壇近くのビル ―
[乾いた風に髪を躍らせながら、音もなく地上を見下ろす情報屋の後ろから、覗きこむように顔を寄せる]
本当に、ね。
サーディは使える良い子。
[白装束を次々に屠る姿を眸を細めて見やり、くすりと何処か歪に微笑んで見せる]
でもこんな所で覗き見なんて趣味が悪いわ。
サーディに知られたら、くないが飛んでくるかも。
……良い子?
[突如間近に響いた女の声に、肩が驚き跳ねになるのを堪える。
硬い声で一つの単語だけを繰り返し、出来るだけゆっくりと振り返ろうとする。
その顔を確認する事ができれば、相手が顔を見知る人物ある事を知れるだろう。
最も、相手がこちらを覚えているかどうかは分からない程度の関係性ではあるが。]
クナイか。そりゃおっかネェが……
覗き見が俺ノ仕事なんでネ。
ネーさんだって、覗き見にここニ居るんジャないのカイ?
[風がもう一度吹けば、女の身体から、甘い香がふわり漂ってくるのだろう。
嗅ぎ慣れない蠱惑的な甘さが。]
[赤黒く濁る禍々しい空の色も、其れを背景に、白の翼を広げる有翼人の姿も、見えない。
唯、幾十もの熱の塊が群れ、集う気配を感じる。]
「天使」 「おお生贄を」 「……!」
「救済」 「有り難い」 「浄化だ!助か」
[飛び込んで来るのは様々な音。
有翼人に気付いた者から伝播したのだろう。讃える音が大きく、狂騒の態すら為していただろうか。
胸元に血糊がこびり付いたまま、蹌踉めくように歩んでいたが、]
………?
[足が止まる。また、匂い。]
[風に踊る髪を手で押さえながら]
私は良いの。
これも私の仕事だから。
女は色々と大変なのよ。
[身体にしみついた甘い香りは、男を誘う毒花の香り。
地上から目を離し、改めて情報屋を見る]
ね……貴方なら知っているかしら。
最近この街に見ないれない顔が増えている理由。
うあ、なにあれ、人がいっぱい。
ごちそうの匂いがする。
[白装束の人達が、救済を求めている様子など理解できない。理解できた事は、この時代に人=食糧がたくさん集まっている、という歓迎すべき状況のみ。]
んあ、どうしたんだろ?
[目隠しした男が、胸を血で汚しているのに気づく。]
おにいさん、どうしたのー。
目隠しして、何かの遊び?
胸から血の臭いがする。
それじゃ、食べてくださいって言っているようなものだよ。怪我したの?
[こちらを向いている男に話しかける。]
へエ……仕事、ネエ?
[相手は娼婦ではなかったか、それは一面かと。
探りいぶかしむ感情を隠すこと無く、三白眼は女を見やる。
問いかけには、一つ鼻を鳴らすような頷きを。]
見慣れない顔カ、確かに最近多いナ。
理由ハ……しらネェガ。
そこの『儀式』以外に理由ガあるとすれば……
得体の知れない何かガ起こっているのカモな?
[からかうような声音は、そこに興味が無いからだ。
自分に降りかかる火の粉なら、自らの手で振り払えばいいだけだと、思っているから。]
― 挿話・秘された研究所の… ―
[――其処は、床も壁も緑一色に彩られた部屋。
安心させようとする意図の見え透いた、配色。]
…痛い?
『いたくない』
…痛い?
『いたくない』
…痛い?
『…いたくないよ』
[部屋の中央には、
二つの人影が向き合って椅子に腰かけている。]
匂い?僕は臭くないよ!
[目の前のお兄さんに近づいて、鼻をヒクヒクさせてみる。
血の臭い、のはずだが少し違うような…。でも嗅いだ事ある匂い、あまり好きじゃない匂い、何処で嗅いだんだろう?]
お兄さん、僕の事知っているの?
―イケニエの祭壇傍―
[儀式が行われる祭壇の上空。
ビルの屋上より高い位置を悠々と横切り、手近な建物の屋上に着地する。
既に信者らの一部は有翼人の登場に気付いている様子だが、まだ「降臨」の時ではない。
生贄がその尊き命を犠牲にした時、天使はそれを哀れみ救いの手を差し伸べるのだ]
――おや?
[舞台袖から登場の時を待つ心持ちであったが、ふと舞台の端から中央に向けて、異変があることに気が付いた。
白装束の信者らが、不自然に倒れ、或いは押し退けられていく]
まあ随分と派手なシナリオじゃないの。
今宵の主役は誰かしら?
[くくっと喉の奥でくぐもった笑い声を立てると、今はショウの成り行きを見守る心算で祭壇を見下ろした]
[短い問を向け続けるのは、道化たなりの青年。
回らぬ舌で返答するのは、白い貫頭衣の青年。]
…ん、なに
[ふと、道化の青年が扉の方へ視線を向ける。
――扉は細く開いている。
其処から室内を覗く陰、艶やかな銀の毛並み。]
ベルンハード
ひとり?
… そんな はずないか
[コツリ、床を踏む足音。遅れ来た態の人影。
癖と思しき手つきで、先に居た銀毛を撫ぜる。]
もう終わるよ
[視線を戻しながらの声に
頷いたのは…誰だったか。]
[白い貫頭衣の青年が、狭い卓に載せている腕は]
[…捲った生皮を大小の鈎針で捲った切創、
尺骨に沿って切り開かれた筋繊維の狭間に、
剥き出しの神経を、毒虫にかじらせるさまを晒す]
[過日の記憶。]
― 挿話・秘された研究所の… 終了 ―
[訝る顔にくすくすと笑う。
まるで楽しくて仕方がないと言う様に]
女はいくつもの顔を持つ生き物よ。
それになぞが多いほど良い女だって、良く言うでしょ。
[茶目っ気たっぷりにウィンクを一つ贈る。
問いかけへの答えには、少しだけつまらなそうに、髪を弄りながら]
……情報屋でも判らないのね。
困ったわ。あまりよそ者に大きな顔されるのは、好きじゃないのに。
[よそ者に暴れられて大事な客をすりつぶされては大変と、肩を竦めた]
知るカ。良い女に興味はネェナ。
[女の嘲笑が鼻に付き、素っ気無い言葉を返す。
ウィンクを向けられ顰めた眉は、帽子の下に隠れるか。
『情報屋でも』の言い方に内心イラつきもあったが、ほぼ休業中のわが身を思えば、それも拙く隠して。]
じゃあネーさんも、アッチのネーさんみたく、余所者を捻って行ってみるカイ?
[ゆるく視線を向ける地上、サーディの通った後には幾つもの動かぬモノが残される。]
冗談。
肉体労働は苦手なの。
[眼下に死屍累々の山を築くサーディの姿をちらと見た後、ひらひらと手を振って見せる。
血なまぐさい事とは無縁というように、その指先は白く柔らかなもの]
そういうのは、そう言うのが得意な人にお任せするわ。
……………………。
[自分より背の低いものが、近づいてくる。
遠慮ない様子で此方の様子を探っているようだ。]
お前、が、
[膝を付き、逆に相手を見上げるような姿勢で]
――――――――――――…完成品?
ふぅン……?
苦手なくせニ、気配を消すノは上手いノナ?
[女らしさばかりの指先を眺め、先ほどの彼女の登場を思い出して問う。]
ジャ、そう言うネーさんは、一体何ガ得意なんダイ?
―祭壇近い双子ビル・中階層の梁上―
[マティウスの感知から逃れ得ぬだろう熱源は、
今は祭壇見下ろせる双子ビルの中階層に在る。
かつては看板が設えられていただろう
梁上へと、傷癒えぬ軽業師が屈み居た。
ひとり口を開けば、鎖の片方千切れた銜は垂れ]
…さすが、
商売人は どちらさまも物見高いらしいか
[騒ぎ起こる地上でなく、周辺のビルを見上げ
屋上の縁へ見え隠れする見物人等を眺める態。]
ふふふ。
上手にできていたなら、良かったわ。
[にこり、と。
紅を引いた唇が弧を描く]
娼婦が得意なものって言ったら、一つしかないでしょう?
[胸元を強調するように両腕を寄せる。
他に何があるの?と問う様に]
完成品?なにそれ、僕知らない。
僕はベルンハード。完成品かどうかは知らないけど、お兄さんは誰?
お兄さんからする匂い、あまり好きじゃないんだけど…。
[じーっと見て、胸の血糊をペロッと舐める。]
うーん、思い出せないな。
[立膝へ片頬杖をついて見渡すと、
見知る姿も幾つか見受けられる。
先刻の立ち回りで気怠い身の休養も兼ね、
そちらへは向かわずに肩を竦め静観する*]
俺は…… 実験体
0331号 マティ、ウス。
[ふつり、と沸き起こるものがあった。何であるのか、分からないものが。―――感情が。]
何故、こんな所に居る。
お前等はっ―――…
[音にして、それが激昂めいている事に初めて気付き、語気が自然にやわらいだ。]
楽園に居るのだと、聞かされた。
[そこに負の感情は含まれていないようだ。]
[身を隠しつつ儀式を眺めていたが、ふとビルの狭間から流れる煤煙を見付け、顔を顰める]
この煙――さっきの軽業男のものかしら。
やだやだ、環境破壊だわ。
[その煙が溶けるまでもなく空は赤黒い。
一定の高さで拡散する煤煙を逆に辿れば、梁上に予想通りの姿があった]
「儀式」を見てる――訳じゃないわね。
[今はショウの成り行きを見るが先決で、こちらから手を出す気はない。
それでも左手は弓に回し、いつでも抜けるようにしていた]
そうね。
坊やが私の客になってくれるなら、教えてあげても良いわよ。
[相手も自分もその気がない事は判っていて、はぐらかすように笑う。
ちりちりと肌に突き刺さるような気配を感じ、ちらりと見降ろした先。此方を伺うような視線に、はぁいと手を振って見せながら]
私はもう少し此処にいるわ。
仕事があるの。ここで。
[荷物をまとめる情報屋へと、お別れの挨拶代わりに手をひらり]
実験体…、実験体。ああ、「きょうだいしまい」か。はじめまして、おにいさん、かな?
[皮肉めいた笑みを浮かべる。]
ああ、お兄さんのいう楽園にいたよ、あの日まで。そう…、にいさまが僕の事を…
[にいさまが僕をなじる、僕の長い手、体毛一つない身体、赤い目を見て。あの日、僕の事を…しっぱいさ…]
うるさいうるさいうるさい!
お兄さん、ぼくと一緒に楽園を探さない?僕、迷子になっちゃったんだ。
[不敵な笑みを浮かべる。]
お腹も空いたし…
―祭壇付近―
[ドロテアの姿を捉えつつも、彼女の周りは今までに比べれば厳重に囲まれているようで
彼らを屠るのは容易いものの、それこそ悪目立ちし過ぎてターゲット始末後の帰り道が危うい]
……注意、引くしかないネェ…。
[ボソリと呟き、向かうのは宗教の開祖を模した下卑た像の足元。
そこに着くと、爆薬を適当に仕込んで再びドロテア付近へ。
像の崩壊が、殺しの合図]
……坊や、ネェ?
[冗談には肩を竦めるだけ。
手を振る先に見える姿を、横目に確認しながら、この女も気配を探る事は出来ていると、先からのやり取りも含め内心警戒すべき人間に格上げて。]
こんなボロビルの上で仕事タァ、お気の毒ニ。
[別れの挨拶は同じように翻す、こちらは合皮の指ぬきグローブをはめた手。
視線を上げれば、白い羽ばたきが見えて。
それはまるで、もしかしたら正しくも、祭壇での儀式を待つ天の使いのようでもあった。
赤黒い曇天に映える、白。
ここからならば、声を張り上げれば届く程度の距離か、けれどそんな事をする理由も無く。
一つの荷物を抱え、半分瓦礫に埋まる階段を降りていく。]
[祭壇では祈祷師が長ったらしい祈りを奉げているところか。
それに続く信者の声は腐った街中に響く程大きく
信仰心の欠片も無い女が知らぬ間に、
このくだらない宗教は広がっていたようだ]
少しくらい遊んでみるのもイイネ。
[ニヤリと嗤う。
祈祷師の祈りが終わると同時に、爆破しようと。
そして混乱に乗じて、生贄を狩る算段か]
――――……、うん。
[風が、男の前髪の下に隠された徴の一部を露にして、去っていった後、―――男は申し出に頷いた。]
こんな所が良いんですって。
物好きな人もいるものよね。
[大袈裟に肩を竦めて、背を向けた相手の姿が――否、気配が階段を下りるまで、蛇のように冷たい目で見送った。
空を舞う白。
ひらりと舞い降りる羽根を掴むと、片手でそれをぐしゃりと潰して]
……嫌だわ。
馬鹿な人間だけじゃなく、蠅まであの子の命をタカリに来てる。
[呟く声に滲むは、不穏の色。
ぐしゃりとへしゃげた羽根を汚らわしそうに捨てて。
今まさに儀式が始まらんとする祭壇の方へと、蛇はその眸を定めた]
[一陣の風が吹く。お兄さんの額に徴が見える。自分の髪の毛もふわりと浮くが、徴があるか、本人は知らない。]
決まりだね、あちらからいい匂いがするんだ。まずは、お腹をいっぱいにしたいんだけど…。
[祭壇のある方向を指差す。お兄さんの目が見えない事は知らない。なかなか動かなければ、手をとって促すだろう。]
[祈祷士が訳の分からぬ奇声を発した瞬間]
――・・・パーティーの始まり、ネ。
[ボソリと呟き、釦を力強く押す。
凄まじい破裂音と同時に、脚が爆破されたため崩れ落ちる像]
[宴の幕開けを知らせる音に混乱する群衆をよそに
女は小太刀を鞘から抜き、一直線に向かっていく]
良いよ。
喰べる?狩る?
[布で両眼が隠されているのだから、最初からベルンハードの顔は見えない。匂いと熱と音と気配と、感覚の総てで知覚するだけ。
ふらっと立ち上がるが、直ぐに両眼の事は察せられるだろう。促されながら、ベルンハードに続く。]
[爆破の音に、素早く視線をそちらに戻す。
開祖を模したらしい趣味の悪い像が崩れ落ち]
わー、派手にやるわねぇ!
[地上が混乱しているのをいいことに手を打ち鳴らす。
その混乱の中、一直線に生贄に向かう姿を見れば、殊更興奮した表情で]
さあさ、早くやっちゃって!
[今にも飛び出しそうに片足を屋上の縁へ掛ける]
うーん、両方だよ。
折角なら、どっちがたくさん食べられるか勝負しない?
ん、お兄さん目が見えない?大丈夫なの。
足引っ張らないでね。
[そう言うと外套を引きずって歩き出した。**]
[ドロテアまであと数メートル。
辺りは崩れ落ちる像に潰されまいと逃げ惑い、
粉塵と泥が舞い視界が乱れただろう。
身体が潰れる音、飛び散る血液
とてもじゃないが儀式どころでは無い様子]
[生贄を囲む邪魔者が此方に気付く。
声をあげる前に、一人は額に苦内を突き刺され
もう一人は頭が首に向かって別れを告げた]
……おうオゥ、こリャまた、ド派手な演出デ。
[爆発音が聞こえるのは、ビルから出る頃合か。
ざわめく群集の端、弾かれない程度の隙間に入り、悲鳴向く方へと視界を絞る視線を向ける。
暴動だ、だの、神がお怒りに、だの、どうでもいい叫びが使徒たちの合間に、波のように伝染していくのを眺め。]
巻き込まれナイ程度に見物したら帰るカ。
[布袋を肩に背負い、一つ息を吐く。]
[眼前の少女が此方をじっと見つめている。
女は身に纏った白装束で返り血を拭いながら
ゆっくりと近付いていった]
…アンタ、もう生贄なること、無いヨ。
[小太刀を一振りして血を落とす。
女の言葉を聞いたドロテアの眼からは涙が。
崇める神の贄になれぬことへの哀しみか
それとも助けられると勘違いして、目の前の
殺し屋がメシアにでも思えたのか。
鈍感な女は窺い知ることも出来ないし、
それを知りたいとも思わない。
憐みこそすれど、下手な良心が湧くわけもなく
あくまでドロテアは、標的でしかないのだから]
ああ、
[口元には、初めてベルンハードの匂いを嗅いだ時と同じ笑みが、小さく浮かんでいた。]
うん。大丈夫。
[舌先が、犬歯をなぞる。]
アナタ、ワタシの飯の種になるヨ。
阿呆なカルトの生贄より、よぽど建設的ネ。
[ニコリと微笑み、そう言葉を続ける。
ドロテアの表情の変化を見るまでもなく
小太刀を持ち直すと、華奢な首筋を一閃]
――…一瞬だたシ、痛くなかたネ?
ワタシ優しいから
可愛い娘さん苦しませる、好き違うヨ?
[鼻唄混じりにそう呟く。
女を捕えようと武装した白装束が向かってくるも
衣を朱に染めて崩れ落ちていくのみ]
[ドロテアを一閃する銀の煌めき。
崩れ落ちる少女の姿は、まるでスローモーションのようにゆっくりと見えた。
自分が依頼した事とはいえ、妹のように可愛がっていた少女が旅立った事に、僅かなれど胸に過る痛み]
……苦しまずに逝けたわよね。
[呟く声は、風にかき消されて誰にも届かないまま。
女は長い睫毛を震わせて、喪った命へと黙祷を]
[転がった少女に近付くと、髪を引っ掴み
常連の娼婦への悪趣味な土産と袋に詰める]
――…あぁ、アンタが親玉カ?
[怯えて腰を抜かす、一際派手な衣を着た汚らしい豚。
汚物を眺める眼でそれを見下すと、刀を振り脅かしてみる]
…アンタも哀れネ。散々持ち上げられてたのに
この状況じゃ誰もアンタ守ろうしないヨ。
[ケラケラと笑いながらそう詰り。
地位か名誉か、それとも金が欲しいかと
下卑た豚が必死に命乞いをすれば、更に嗤う]
…あぁ、イイこと思いついたネ。
これしてあげたら、アンタいつでも祈る集中出来るヨ!
[そう囁くと同時に、刃先が男の眼を真横に割る。
言葉にならない鳴き声を上げる豚を嗤いながら
女は夜闇の中に消えていった**]
……っふ、あはははははっ!
[ドロテアの首から噴き出す鮮血を合図に、ビルの屋上を蹴り飛び出した。
まずは斜めに上空へ。
祭壇の真上に差し掛かれば、翼を掲げ空気を切るように垂直に舞い降りる。
両足を揃え、音も無く祭壇上へ降り立つ頃には、笑いも消え神妙な顔]
おお、哀れな……。
その儚き命を神に捧げる間もなく散らしてしまうとは。
[ドロテアの傍に跪く素振りだが、血溜まりが足元まで広がるのを見ればさり気なく後退してかわす]
貴女の尊き犠牲も神のお導き。
決して無駄にはならぬでしょう……。
[言っている間にも、下手人が少女を袋詰めにする。
無論、それを咎める気はなく]
――あら、そちらのお方も尊き犠牲となられるので?
[混乱の中、教祖らしい男が詰め寄られている。
「天使」たる自分と教祖の男と、果たしてより視線を集めているのはどちらだろうか]
[祭壇の近くにいくと、そこは血塗れの床、爆発した跡、まるで戦争か虐殺の舞台だった…、いや進行中である。]
わー、すごいね。食べ物、飲み物いっぱいあるよ。
[迷い子になってお腹も空いた。そばに居る、マティアスの事を忘れて、のそのそと祭壇近くに歩いて行く。
途中にいた恐怖で動けない人をじーっと見つめ、合掌する。]
いた…だき…ます。
[人間に覆いかぶさり、外套から出した肉切り包丁を急所にぶすり。身体中にかかった鮮血を気にせず、身体をバラバラにしていく。]
アーメン!ハレルヤ!南無阿弥陀仏〜!
キリストでもブッダにでも、好きなだけ祈るとイイヨ!
弱者は偶像崇めてりゃイイネ!
[首袋をぷらぷらと愉しそうに振って
逃げまどう白装束に、野次馬や物好きにむけて
そう言葉を吐くのだった**]
[バラバラにした身体を、一つ掴んでは咀嚼する。バリバリという音はあたり一面に響くだろう。]
んあ、鳥?あの時の鳥?
[祭壇には鳥がいて、人がいる。人は目を切られて血を流している。女の人が、何かを袋詰めにして、どこかへきえた。]
鳥、鳥、おいしいの?
[もう一つパーツを拾って、食べながら様子を見ている。]
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