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と、自分の考え押し付けちゃぁいけませんねぇ。
[送る為に叩こうとした手に、
差し出された髪飾りに一瞬だけ手が、止まる。]
これは――?
……そうですか。
では、自分からはこれを。
良かったら…使ってください。
[一瞬だけ戸惑うも。
差し出された贈り物を丁寧に受け取り、
今度こそ差し出したのは真っ白い一枚のハンケチ。]
それと。
お礼を言うのは…私の方ですよ。
――ありがとう、ロッカさん。
貴女に出逢えて。幸せでした。
[別れの時間。もう少しだけ引き止めたい想いを、
肩を叩く仕草で消し去る。
仕事は仕事。そう、自らに言い聞かせて。]
さよなら。
これからも――*素敵な恋を*
[ヤスナリの腕を握りしめたまま。
祈るようにその顔を見上げたまま]
やだ――
[プラネタリウムの説明をするマシロが言葉をとぎれさせて。
ウサギの耳をつけたゼンジの体が傾いて。
見ては、だめだ、と。
気づいてしまうから、と。
目をつぶって追い出してしまいたい、のに。
目をつぶったら『だめなのだ』、と。
――目をつぶったら『私の夢から覚めてしまう』のだと]
[もとより、知っていた、のだ]
いやだ……
[ずっと、気づいていた、のだ]
しらない……
[この、目の前の人は]
そんなの――
[積み上げる否定の言葉。
それさえ無意味なものであることも、とうに思い知っていた、のだ]
ずるい。
[だったらせめて。
せめて泣かないと、約束したから。
一方的に言い放ったものだとしても]
ぽっぽ焼き、食べてくれるって言ったのに。
あーあー、がっかり。
[約束は、破らない]
お弁当だって、とびきりの、作ってあげるのになあ。
[せいいっぱい、ふくれ面をして。
それから、ふうわりと、*ほほえんだ*]
年頃になれば、恋なんて自然にするものだと思っていた。
幼年期を過ぎて、少年期、
そして思春期と呼び名が変わる期間を生きてきて気付いたこと。
周りを見て、自分を省みてわかったこと。
恋は望まなければ見つけることすらできないものなのだ。
「恋でもしてみたいなあ」
七夕祭りの日、一緒に周るとばかり思っていた仲の良かった親友から
恋人とその日を過ごすと伝えられた時、
私は恋を探そうともしていなかった事に愕然とした。
面食いとか、選り好みとかではなく、考えもしなかったのだ。
男子で仲の良い相手は部活動や、他の関係で何人もいたのに、
そんな意識を向ける感覚が自分になかった。
「恋、できるのかなあ」
部活動やクラスの出し物を決めていた日、
親友から伝えられたその日、
そう思いながら、歩いていて――――私は、呆気なく死んだ。
だから、迷惑をかけちゃった。
そして結局、何もできなかった。
[しなかった。目の前の男の子、女の子の恋するその眩しさに目を細めていただけだった]
最後まで、私らしかったなあ。
[苦笑い。身体が軽い。透けて、溶けていく感覚。実際そうなのかもわからない]
でも、良かった。
最後に、いいのが見られたから。憧れを、目の当たりにできたから。
[強がりでも開き直りでもない。心からそう思って、たった一人の不器用な少女は、意識を手放した**]
[酷い眠気にゆっくりと目を閉じると見えたのは、倒れた面々と天使の羽根をつけた団子屋さん]
あ・・・良かった、皆起きたんだ。
・・・ンガムラ先輩に、コスプレの趣味が
あったなんて知らなかった・・・な・・・。
でも落ち武者より、似合う・・・。
[実際は瞬きするほどの時間、でもマシロにはゆっくりと感じ]
ゼンジ先輩・・・私も・・・冷やし中華には、
マヨネーズ・・・。
[訳のわからない寝言を言った。]
[いまだ朦朧とする中、教室には片付けの雰囲気漂い始める。
白いうなじを見つけて、襟を引っ張った]
なぁ、頼みたいことあるんだけど。
[マシロの手首を掴んで、半ば強引に笹の葉へ向かおうとする]
―― →笹の葉 ――
って、どこ行った俺の短冊ー!?
[いつの間にかわっさわっさ豊作の短冊の前で叫ぶ。
と、足元を風に吹かれた短冊が]
え、縁起悪っ……
[拾い上げて砂埃を払う。
マシロにぴらっと見せる『変愛成就』]
これ、叶えてくんない?
―中庭前―
[例えばだね。
苦しい。悲しい。辛い。
なんでそう苦しくて悲しくて辛いのか。
絶体絶命で孤立無援で、それはそれほど苦しいのか?悲しいのか?辛いのか?
でも諦めきれないやつがたくさんいる。それがきっと強さなのだろう。
などと、冗長な思考。
例えばのことでしかないのだ。本日寝ている間にあったイロイロなことなど関係はきっとない。
空は好天、祭りは上々に締めて、七夕の影響からか恋人たちは楽しげに、心が素敵に満ちてるものたちはきっと無敵でもあるのだろうか]
[でも]
一期の栄は一盃の酒、四十九年は一酔の間、生を知らず、死また知らず、歳月またこれ夢中の如し
[一瞬に願うものはなんであるか。]
人間五十年…下天のうちにくらぶれば…夢幻のごとくなり…一度生を受け…滅せぬ者のあるべきか…
[昔の人もいっているではないか。生きたものはいずれ死ぬのだと]
[扇子でもあろうものならば舞いでもしたであろうか。
でも手にもつのは短冊。
でも、そこには文字は書かれていなかった。
でもそこには願いがちゃんとあったのだ。
文字を書く必要がなくなるような…願い事がなくなるようになるよな日々を
そうすればきっと…
思考を止めて鼻で笑い、その短冊をビリビリと破り捨て、夜の風に散りばめて流す。七夕ももうおしまい。
これからは*暑い夏がくるのだろう*]
[瞼を開くと、短く苦笑した]
スマン。
ぽっぽ焼きくらいなら、食べられる時間。残ってると思ったんだけどなぁ。
カミサマは、思ったよりケチだったみたいだ。
とびきりの弁当か。そりゃ食いそびれて残念。
なんなら、後から持ってきてくれてもいいんだぜ。
何十年後になるか知らんけどさ。
[そこで一度口を噤んで、真剣な表情でワカバを見詰めた]
[目の前でくるくる変わる表情]
[ふくれっつら]
[柔らかい微笑み]
[ああ。どんな表情も可愛いって思ってたんだっけ。伝えたことはないけれど]
[意識がどんどん遠くなる。
教室一杯に広がった満点の星空が、身体を透かして見えそうなくらいに。もう身体を留めていられない。
最後の力を振り絞ると]
それじゃ、また後で。
……逢えたらいいな。
[それきりだった]
[中庭の笹の葉。
ひときわ高いところに括りつけた短冊が、はらりと落ちた。
表にはインターハイ優勝!
裏には目立たないように、短冊と同じ色で書かれた言葉。]
――もう一度だけ。ワカバと会いたい
しかし神さんも思い切ったこと、
決断しましたなぁ。
たった一日だけ、生きていた世界に戻すって。
――酷じゃ有りませんの?
[七夕の夜、約束の大門の前で魂の還りを待つ。
少しだけ体力を奪われたもの達は帰し、
約束の時間までもう少し。
果たしてふたつの魂は無事戻ってくるだろうか。]
あ、そうそう、神さん。
あの二人が戻ってくる前に。
自分、あんたさんに無理を承知でお願いした事、
あるんですけどー…。
[茶目っ気を湛えた口調とはうらはら。
視線は至って真剣なもの。]
ひとつ、七夕の願いを聞いてくれませんか?
今から還ってくるふたり…
ナオさんとヤスナリでしたっけ?
あの二人、自分の存在と引き換えに。
元に戻してやってくれませんかねぇ?
いや、無理承知で言ってますし、
本人達が望まないなら、
それはそれで良いですけどね。
ただ――
[手渡された髪飾りをきゅっと握り]
自分、彼らの願い事、叶えてやりたいんですよ。
駄目なら一年に一度だけ。
向こうに還られる様に。
だめ、ですかねぇ?
[へらりとした笑顔で、懇願した**]
うん、よかった。
ホント、よかったー……
[短冊を追いかけるマシロを不思議そうに見る]
何て書いたんだ?
[次々に響く花火の音。
頭の奥で何かが焼きつくような感じがして瞬いた。
県展に出ていた書道部の女の子のこととか、ひときわ背が高かったバスケ部の男子のこととか、そういう他愛もないある日の記憶が、ふとよみがえる*]
[初めて自分に向けられる、真剣な表情に。
逃さぬようにのばした手は星空を掻いた]
……あ。
[抱き留めたのは温度のない宙のみで。
何もない腕の中を見つめる。
唇をかんで、そっと目を閉じた]
[涙はでない。
もう、散々泣いたのだから]
ひどいよ。
ちっとも私の料理、おいしくないみたいじゃない。
少しくらい、長居してくれてもいいのに。
[ハンカチを握りしめて、歩く。
本当は、とっくに気づいていたのだ。
ヤスナリが、この世の人ではないことを]
[だって自分は彼の葬式に出て、恥ずかしいくらいにわんわん泣いて、次の日は目が腫れて学校にいけなかったのだから]
ヤスナリくんの馬鹿。
せっかち。
薄情者。
うっかり屋さん。
[唇をとがらせて、文句を言いながら。
花火があがって、後夜祭を楽しむ人混みの中を、地面を見つめたままずんずん進む]
[ぱたり、立ち止まるのは、色とりどりの短冊がつるされた笹の前]
ええと、どれだっけ。これか!
[ぶち、と自分の書いた短冊を引きちぎる]
もう、私のお願い事、かなえてくれなかった! 神様の馬鹿。
[それは、一年前にもした勇気を出すためのおまじない]
[くしゃりと短冊を丸めて、ぽけっとにつっこんだ]
楽しかったとかありがとうとか、言いっぱなしで返事聞かないんだから。
[もそもそと口ごもりながら、笹の葉を、その向こうに見える天の川を見上げて、ちょっとだけ思いだし笑いして]
ありがとう、私も楽しかったよ。
それと――
[たったひととき、自分の願いを叶えてくれたのは神様ではなくてヤスナリだ、そう思うから。
目を閉じればはっきりと思い出せる真剣な表情。
部活に打ち込む時のもので決して自分に向けられるものではなかったけれど、その横顔が――]
腹すかない?
団子だったら残ってると思うんだよな、うちの部。
[そう言うと、とある男の残像が浮かんでは消える。
彼は誰だったか。
まばゆい花火を見上げて考えるが思い出せない。
しばらくぼんやりとマシロを見つめていたが、おもむろに左手を伸ばして、華奢な手を*握ろうとする*]
あぁ、自分のこと、ですか?
[「二人が戻りたいと願うなら」。
無理な願いを言い出すと、
見透かされたように上から問われた。]
良いんですよ。自分の事は。
だってあの子は――
[足をぶらぶらさせながら覗く、現実の世界。
夜空に舞う打ち上げ花火が眩く光った。]
…別な願いを叶えてあげたほうが、幸せでしょ。
[自らが渡したハンカチで、
涙を拭わないほどの強さを叶えた方が、
きっと――]
それにね、恋より愛のほうが。
ずっと続くと思いませんか?
…なーんて自分、言えた立場じゃないですが。
[「くさいですねぇ」
冗談交じりに苦笑して照れ隠し。
手にはあの雪結晶の髪飾り。]
仮令忘れられてもね。
自分が憶えていれば良いんです。
自分が心を動かされたことだけをね、
――知っていれば。
[ひとり語散て、空に散らすスターチスの花びら。
それは花火と共に*夜空に消えた*]
[ベッドの上で目覚めれば、保健教師に気絶していたことを説明され、ンガムラが羽つけていたりしていたのは夢かなにかだと認識する。
もう大丈夫だと教師に告げれば、そのまま保健室を出て。
部室でいくらか話をして、報告を貰うと、行くところがあるからと部室を出た。
そんな場所はただ一つ]
あれ?
私の短冊、どこに行ってしまったの?
[ネギヤ像のそばの、笹の前。
自分で飾ったはずの短冊が消えている]
ここに飾ったと思ったのだけど…
…私のも、落ちてしまったのかしら。あのとき…倒れた2人の短冊も落ちていたわけだし…
[下に落ちていないかと探したが、見つからない。
強い風も吹いていたし、落ちていたとしても風で飛ばされたのだろう。そうおもうことにする。]
今年も、かなえてくれなかったわね…お願い事。
[去年も同じようなことを願った気がする。
『素敵な人にあえますように』
こんな受け身だから、いけないのかな?と首をかしげる]
…いや…
もしかしたら、叶ってはいるのかしら。
[願ったのは恋人じゃなくて、素敵な人。
気付いていないだけで、何処かにはすでにいるのかもしれない]
…かも、ね?
[それが誰か、なんて、全く分からないけれど。
でも誰かを見つけられるのは、きっと自分だけだから]
見つけるお手伝い、してくださいね?…ネギヤ様。
[そのくらいは良いでしょう?と、ネギヤ像にほほ笑んで。祭りの片づけの喧騒の中、ゆっくりとそこを後にした]
― 7月8日 ―
[ワカバの家の前。
ブロック塀に座って、学生鞄を横に放り投げ、両手をポケットに突っ込んで彼女を待つ。
彼女が玄関の扉を開けたら、片手を挙げて照れくさそうに微笑んで。]
よっ。
俺、生き返っちまったみてぇ。
……学校いくか?
[告白も。何もなかった*フリをして*]
ち こ く するー!
[がん、ばたん、と扉をあけて。
履きそこねた靴を取りに戻って]
行ってきまあ……
[叫びかけた声は、夢でも幻でもないらしい、その姿に遮られる]
……ああああ!
[びしり、指をさして。
上から下まで穴が開くほど見て]
足がある!
[町内に響くほどの声を上げて――**]
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