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[サヨにつられて、後ろを振り向く]
いないの?
[と、口にした途端、ぶわっと空気がざわついた気がした]
キョウコちゃん……。
[繋いだ手に力を込める]
[目を開けるのが怖かった。見えないはずの人が見えるのが怖い。見えていたはずの人が消えるのが、怖い。おそらくそれは、理解してしまったからだった]
キョウコちゃんは、ここに居るよね。
[繋いだ先のぬくもりを確かめながら、ゆっくり目を開ける]
―翌朝―
[一晩眠っても、昨日感じた不安が消えなくて]
やだやだ。おかーさん。
今日はお仕事お休みしてよ。
[思い切って我儘を言ってみたけれど、自分を宥める母親の困った表情を見ると、口を噤んでしまう]
うん。わかった。いってらっしゃい。
[家に一人でいるのも寂しくて、喫茶店へ向かう。村の中は、ちっとも普段と変わらない様に見えていた。ふと、道の向こうに傘を差した人影を見つける]
あ、と。えと。タカハルくんだ。
キョウコちゃんたちと同じ学校の。
[そして、その隣には]
リウちゃんだ!良かった。
おーい!おっはよー!
[見知った顔にホッとして、勢い良く駆け寄っていく]
[自分の声が届いているのか、それとも聞こえていないのだろうか?二人は何事か話続けている]
あれ?
[近づくうちに、ふと違和感を感じて立ち止まる]
……浮いてる?
[よく見れば、二人の足元は地面から10cmばかり離れているのだ]
なんで、なんで。
[どうしても、そのまま近付いていく勇気がなくて、踵を返すと喫茶店へ向かって走っていった*]
やっぱり……。
[自由帳を開くと、そこには滲んだ名前と赤くなった名前が増えていた]
リウって名前が消えてるよ。
[読めない字が多かったけれど、それだけはわかって]
うえぅぇ。リウちゃん。
[何かを堪えるように、ぐっと下腹に力を入れる]
[もう夏本番だというのに、不思議と空気が湿っている気がした。何となく気配を感じて振り向くと]
いる……。
[消えたはずの人たちが座っているのが、薄ぼんやりと見える。何故だかちっとも怖い感じはなくって。だからなのか、この状況を受け入れ始めていた。試しに手を振ってみる]
[リウが、いつもの様に『お腹空いた』って顔でいるのが可笑しくてホッとして]
飲む?
[自分が注文したマンゴーフロートジュースを差し出した]
[ナオに声をかけられると]
な、ナオちゃん。
いるんだよ。みんなそこに居るの。
でも、なんか変なの……。
声は聞こえないし、もやってしてるし。
これって、ゆ……ゆーれいじゃないよね?ね?
元に戻るんだよね?いつか。
[思いを吐き出すように一気に言葉にして、ふと我にかえる]
う……嘘ついてないんだよ。
ホントなんだよ。
[信じて貰えるのだろうか?自分でも信じ難いくらいなのに……と不安になる]
ゆーたいりだつ。
[ナオが優しく説明してくれるのに安堵を覚えながら、聞き慣れない言葉を繰り返す]
ゆーたいりだつ。
そっか。じゃあ戻ってくるね。
ゆーたいりだつだもんね。
[モミジに気付いて挨拶をする]
こんにちは。
えとえと。
[消えてる、という言葉にぴくりと首をすくめるけれど]
でも。
ゆーたいりだつだから、消えても大丈夫なんだよ。ね?
[ナオを見ながら]
[手を振り返すタカハルが困ったように笑っているのには気がつかないままで。にこにこと手を振ると]
はあ。
[リウに差し出したはずのマンゴーフロートを引き寄せて、ぐびぐびぐび]
[笑いかけてくれるサヨに]
そうなの?ケンカ、じゃない?
[ナオとサヨを代わる代わる見ては、一人「そっか。良かった」と呟くと、ストローでフロートをかきまぜている*]
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