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[李の弾丸が発射された瞬間、0099を突き飛ばすように、0026が前に出た]
にいろく!
[銃弾は間違いなく、0026の心臓を突き破った。スローモーションのように、0026の倒れる瞬間が0099の目に映った]
李『どうして、庇った?まだ未練があるのか?』
当たり前でしょう!ずっと仲間だったのに!どうして、あなたは、こんなに、わたしに、辛くあたるの!
[李の胸を両手で叩いた]
『その死体、片付けろよ…』
[李は、そっけなく、言い放った]
にいろく…。
[0099は、0026の遺体に寄った。そして、大粒の涙を流した]
うう…。
[ついに、後戻りができなくなった、そう思った]
[本部に報告]
幹部Bに拉致され、タシケントに到着。0026と協力して、ミセス・グリーン及び幹部Bを抹殺。但し、0026は相撃ちで殉職。
オマエ=サ=ピン=ラシイの潜伏先は、0026の飼い犬により、0031に渡っている。早速解析を頼む。
タシケントの任務終了のため、これから、NYに向かい、Mr.X捕獲に参加する。
以上。
[嘘の報告をあげる。傍らには、幹部Bがニヤニヤしながら見ている]
[NYに向かう機上にいた。「サル・カイーダ」の専用機だった。某国の政府専用機をそのまま使っているので、管制官にはテロ組織の関与している飛行機だとは認識できないはず。それだけ、「サル・カイーダ」の支援をしている国があるという現実であった]
あと、どれくらいでNYかしら?
李『2、3時間じゃないか。JFKではなく、ラ ガーディアにつける。あっちでは、軍の関係者が待機してくれてるから安心だ』
まあ、手配の行き届いたことで…。
李『全ては、世界を牛耳る一握りの国々に制裁を下すためだ。だから、軍内部の人間でさえ、こちらに味方する』
そう…。あなたも、そのプロパガンダに賛同して…ってことなの?
李『いや、俺は、自分の能力を買ってくれる奴につくだけだ。JNRは、いや、そのボスである大統領は、俺の能力を過小評価していたから…だから寝返った。ただ、それだけだ』
…。
[この時点でも、まだ0099には迷いがあった。もちろん、「サル・カイーダ」のプロパガンダに賛同したわけでもない、自分の能力を買ってほしいわけでもない。たった一つの理由で003に手をかけてしまった。それだけで、今ではもう戻れなくなっただけなのだから…]
李『NYに着いたら、あんたの兄さんに会ってもらうぜ』
え?どうして?
李『いろいろな。俺も話があるし』
…。
ちょっと、失礼…。
[0099は、そう言って、小型機の最後部にあるトイレに入った。トイレに入ると、髪に仕込んであった、ピン型の爆破物を取り出した。20名乗り程度の小型機であれば、十分墜落させられる…そう思っていた。但し、多分、自分も助からない…。
この小型機には、ミセス・グリーン、幹部Bの他、数名の「サル・カイーダ」の要人が乗っている。
「JNR」にとっては、千載一遇のチャンスである。
しかし、自分はすでに「JNR」を裏切った、反逆者である。
今更功績をあげてなんになる…?
思いが巡って、巡っていく…。
李『0099どうした?長いな?』
李(幹部B)が声をかけてきた。
そして、0099は、起爆ボタンに手をかけた…{5}
1.李に邪魔されて起爆できなかった
2.起爆、小型機は破損、しかし、不時着で済み、全員無事
3.起爆、小型機は破損、不時着で済んだ。0099、幹部Bが重傷。
4.起爆、小型機は破損、不時着で済んだ。0099、幹部B、ミセス・グリーンが重傷
5.起爆、小型機は大破、不時着で済んだ。0099は行方不明。幹部B、ミセス・グリーンが死亡。
6.起爆、小型機は大破。飛行機は海に墜落。0099は行方不明。他全員死亡]
-NY近郊のどこか-
(生きている…)
[起爆と同時に、機外に飛び出された後、あらかじめ用意してあった、パラシュートで不時着したのだ。ご都合主義との批判はうけない]
う…。
[しかし、体中に激痛が走る。多少の負傷はしているらしい]
まずは、連絡しなければ…。
[携帯電話を取り出す]
[その伝説の樹は、別名、「裏切りの樹」とも呼ばれていた。0099を迎えに行った部下達も、皆、ボスと共に組織を裏切るつもりで0099救出にあたっていた]
ボス『ジェミー、大丈夫か?』
ええ、大丈夫。それより、兄さん…ごめん。
ボス『いいんだ。もう、私は決めた。お前の為なら、組織を裏切ってもいいと…』
え…?
ま、まさか…。兄さん…。
[0099はボスの胸に飛び込んだ。そして、全てを話した。ただ一つ、003の事を除いて…]
ボス『そうか…李が…』
[幹部Bが、元部下の李であったことにショックを受けたボス。しかし…]
ボス『分かった…。とにかく、「サル・カイーダ」は撲滅しなければならない。でなければ、お前とわたしの未来はない。とにかく、例の軍施設に向かおう。そして、撲滅ができたら…
仲間を皆殺しにして、逃げよう…』
[そう、0099に、囁いた]
[カウコに照準を向けているスナイパーを射殺した]
0011、派手にやってるわね…。
[両手にコルトを握り、0011に向けて声をかける]
[自分を狙った敵を倒してくれたことには、特に礼も言わず]
そうね。とにかく、前に進みましょう…。
0044は?
[実のところ、全身がひどい激痛で耐えるのでいっぱいだったのだ]
[0011が裏倉庫に向かうのを眺めながら、施設の中へ入っていく]
(Mr.Xはこっちの方のはず…)
[痛みを堪えながら進む]
[施設の中に侵入。上の階では派手に暴れている誰かの激音が響く。多分、0044だろう。
遅れて、ボスの部下が(04)人0099の脇にやってくる]
『先導します』
[続いて自分も前に進む]
[ボスの部下達は、建物内の各所に爆破物を設置している。さすがに手慣れている]
『時限装置をセットしてあります。零時ちょうどに爆破されますから、その前には脱出してください』
わかったわ。
(もう、駄目かも知れない…)
[飛行機内での衝撃は、思った以上に大きかったようだ…。
激痛がどんどん酷くなっている…。
多分、肋骨はかなり折れているようだ。内臓にも障害があるかも知れない。
兄さん…。
これも、兄の婚約者を奪ったという罪の償いなのかも知れない。0099は、そう思った]
[003、0043、0026…。
走馬燈のように、自分が手をかけてきた仲間達の顔が思い浮かぶ…]
(こうなったら、おしまいよね…)
[心の中でうそぶいた]
『ジェミー!』
[兄がやってきた。爆破設置班は、ほとんど任務を終えていた]
『大丈夫か?』
[0099の具合の悪そうなのをみて、近寄る]
もう、駄目みたい…。
肋骨も、内蔵も…。
『さっきは、そんなほどではなかったじゃないか…?…我慢していたのか?』
あれだけの爆発の後のスカイダイブじゃね…。
『すぐ、病院へ…』
もう、駄目…。
ねぇ、兄さん…、さっき一つだけ言っていなかったことがあるの…。
『もう、いい、喋るな。誰か!』
待って。聞いてちょうだい。
[懇願した]
ドロテア…003…ううん、姉さんに手をかけたのは、わたしなの…。
姉さんを殺したのは、わたしなの…。
『!?』
[兄は、沈黙した]
『すまない。知っていた』
[兄は悲痛な面持ちで言った]
『そうではないかと思ってはいたんだ。あの日、ドロテアを婚約者として照会した日、おまえの目が、訴えていた。
「わたしを裏切った」と。
おまえが、私を好きでいてくれたことを、わたしは、知っていた。
だが、兄弟で、しかもスパイ同士だ。
幸せになれるわけがない。だから、拒否するために、ドロテアを…。
もちろん、彼女は愛していた。しかし…』
[0099は、ボスと共に建物内にいた。
二人共に、>>57>>59の通信を傍受した]
0011が…。
ボス『…』
[ボスは満身創痍の0099を抱きかかえると]
ボス『いくぞ』
[と言った]
[0011の放った弾丸は、急所を外れていた。わざとそうしたのだろう。
しかし、二人共に倒れ込んでしまった]
兄さん…。
ごめんね、兄さん…。
[虫の息で言った。兄は首を振って、0099に口づけた]
『謝らなければならないのは、こっちの方だ…』
兄さん、愛してる…。
[そう言うと、兄は、
『お前がもらわれてきた時から、ずっと見ていたよ。歳の離れた妹を…』と言って、さらに深い口づけをした]
愛してる…。
永遠に…。
[建物の各所から、火の手があがる。若干早めにセットされた爆薬があったのか…。徐々に上の階に火の手があがっていく]
『私も、愛しているよ。永遠に』
[兄の声を最後に聞いた。0099はこの人の妹になったこと、スパイとして育てられたこと、全て、よかったと、心から思った。]
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