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[ロビーを歩いていた若者に、駆けて来る姿があった。
年の頃は16・7。
この季節に、白いワンピースを着ている。]
ちょっと君
[自分に寄ってきているのだと思ってはいないけれど、とりあえず声をかけた。]
そんな格好では風邪を引いてしまうよ
女性が体を冷やしてはいけない
[お節介である。]
[その少女は、ボタンと名乗った。
クルミさんの友人だという。
変に挙動不審なのは、なんだろう。
上目遣いで、病室を聞いてきた。
受付で聞けば良いのに、とも思ったが。]
ああ、クルミさんのご友人。
病室は、わかるよ
番号を教えればいいかな?
この病院に初めてくるのなら、連れていこうか
ええっと、ボタンさん?
[ボタン、と言うと。
月に一度検診に来る老女を思い浮かべてしまう。
少女と老女を重ねてしまうと言うのは、やはり失礼なのだろうけれど。]
では、いこうか
大変だったね、迷うなんて
[陽だまりの方を眺める少女。
つられて、若者も窓辺を見る。
花びらが散るように見えたのは、目の錯覚か。
瞬きをすれば、そこにはいつものロビーがあった。]
いや、気にしないで
こっちだ、行こう
[お辞儀をされて、若者は笑う。]
[896号室。
クルミさんの部屋は、たしかそこだ。
だが困った。
まだ、宿題をクリアしていない。
顔を出しづらいが、今は仕方ない。]
ここだよ、ボタンさん
[クルミさんの病室。
一つ、二つノックして。
少女を連れて、病室に入る。]
クルミさん、入るよ
[ところで、少女は年齢が随分離れているけれど。
どう言う友人なのだろうか。]
ああ、こんにちわ
こんなに早く来る予定ではなかったけれど
[招き入れられれば、苦笑いが浮かぶ。]
宿題は、まだなんだ
今回は、君に会いたいという人を連れてきた
[少女後ろに少女を連れているはずだから。
彼女の目にも、入るはずだけれど。]
体調はどうだい?
[職業病だろうか。
まず、患者の体調を聞いてしまうのは。]
[自販機前で、男性に出会った。
何度かお世話になっていて、顔も知っている。
お互いに、名はしらないままだけれど。]
こんにちわ
ええ、休憩です
こういう仕事は、いつ休めるかわかりませんし
[微糖を啜りながら、彼の手元を見る。
どうやら、ブラック珈琲のようだ。
苦いのに、よく飲めるな。
ブラックを飲む人を見ると、いつもそう思う。]
そうですね、カフェインの摂り過ぎは良くない
といっても、日本茶や紅茶にも入っています
飲みすぎなければ、大丈夫ですよ
[名札は左胸についているけれど。
小さいので、遠目からでは見え辛いかもしれない。
もし見えたなら、結城、と入っている名札が見える。
苗字もユウキ、名前もユウキである。
子供の頃は、うちの親は馬鹿じゃないかと思った。]
いけめん、ですか
うちの先生には、素敵な方が多いですから
どなたの事でしょうね
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