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[夕暮れ時、学校帰りの少女が一人。
あたりにカラスの鳴く声がいくつも聞こえる]
カラスさん、なぜ鳴くの……不思議。
捕獲して、分解。
[カラスが一斉に飛び立つ羽音]
いなくなった。
[飛び去る黒い影を残念そうに見つめた後
再び歩き始める。
やがて一軒の日本家屋へと*入っていく*]
[長身の男が森の中を歩いている。眼鏡のレンズに、薄い色のシャツに、橙の光が反射していて]
……。
[かさり。革靴の底が、葉を踏みしめる]
[男は紐で縛った数冊の本とノート、そして布製の薄い筆入れを小脇に抱えていて。その緩慢な歩みが、ぴたと止まり]
……、迷った。
[静かな調子と声色で、ぽつり。目線の先に一軒の日本家屋を見つけると、首を傾げた後そちらへ向かう事に]
[やがてすぐ前まで辿り着くと、空いている手で扉の辺りを叩きかけて、少し逡巡。扉を小さく開き、薄暗い中を覗き込んで]
――すみません。
どなたか、おられますか?
[穏やかだがよく響く声で、中に呼びかけ]
そう。
じゃあ、この辺りに……
[言いかけた言葉を、途中で途切れさせ。何か考える素振りをしてから]
……通りがかりですまないけれど。
一杯、水かお茶を貰ってもいいかな?
なんだか喉が渇いてしまって。
[後ろからついてくる足音を聞くと]
そこで、待ってて
[広間を指差した後、台所へ。
きりんの図柄の入ったマグカップを手に戻る。
それにお茶を入れて、来訪者の前へ置き]
粗茶ですが。
[じっと顔を見つめている]
[示された通り広間に入ると適当な所に正座して。軽く挨拶をした後、餅肌の笑顔を控えめに眺めていたが]
どうも。
[戻ってきた少女からマグカップを受け取り、礼を。一口飲んで、ふう、と息を吐き。ふと少女の方を見て、数秒]
……私の顔に何かついているかい?
[目が合えば数秒見つめ合い、首を横に振る]
……ううん。
普通の人と、変わらない。
[興味を失ったように、自分の湯飲みに手を伸ばす]
よんじゅうはち、度
[温度を確かめた後、お茶を啜る]
そう、なら良かった。
[中指で眼鏡のブリッジを押して、少々のずれを直し。温度を確かめる様子を傍観し、それから静かに茶を飲んでいたが、ふいに広間を視線だけ動かして見渡し]
……
[隅にある古めかしい戸棚に目を留める。戸棚の中がぼんやりと光っているのが、男のいる場所からでもわかっただろうか]
[お茶を啜り、湯飲みを置いて、ふと顔を上げる]
……どうかした?
[男の視線が一点に止まったのを見て、その視線の先へと目を向ける。
ぼんやり光る戸棚に気づくと、首を傾げる]
ん、いや……
何だろうと、思って。
ランプか何かが入っているのかな?
[最後は半ば独り言のように。マグカップと、膝上に置いていた本などの束を卓に置くと、その方へ歩いていき]
……?
[幾らか前で、不思議そうな顔をして足を止めた。戸棚の中には火の灯る蝋燭があり]
[男は戸棚に顔を近付けると、眼鏡のレンズの横を片方つまむようにして、観察するように蝋燭を見]
……フユキ。
[その一つに刻まれた文字を、呟くように読み上げる。イシダ、フユキ。――後、何を言うでもなく先程いた所に戻って座り]
ああ。
その戸棚は……
[少女に向かい聞きかけた言葉を、途中で切り]
――フユキ。
私の名前だよ。
お茶を貰った後で、今更だけれど。
[男は、名を*名乗る*]
リウ、ね。
[少女の名を復唱してからまた茶を飲みかけて、ごほり。口元を押さえ、ごほごほとむせながら]
……や、泥棒では、ないよ。
うっかり道に迷って、ね。**
大丈夫?
[むせる姿をわずかに心配の色の混じった瞳で見つめ]
迷子さん、可哀想な人。
……泊まってく?
[小首をかしげて、*フユキに問う*]
あ……れ?
[不思議そうに顔を上げ、身を起こす。
走ってきた方向をじいっと見やる]
誰も追ってこない……。
[自分の発した言葉に首を傾げる]
誰が追ってくるんだろう?
オレ……追われてるんだっけ……?
[膝をぽんぽんとはたいて立ち上がり、
帽子とサングラスを拾い、身に着ける]
頭うったかな。
[帽子の上から軽く頭を叩く]
家だ。誰か居るかな。
[古い日本家屋が目に入る]
で──さ。逃げるって誰からだろうね?
[冗談めかして呟きながらも、
周囲を慎重に確認し、
小走りに日本家屋に*向かった*]
[森の中、荷物を引きずり歩いている]
もうやだ……。
[湿っぽい臭いがする地面に置いた白いトランクに腰を下ろして、うなだれた]
はぁ。
[ため息混じりに顔を上げると、明かりの燈る家屋が目に留まる。
やや逡巡してから、亀の歩みでそこへ*向かい出した*]
大丈夫。少しむせただけだ。
[心配げなリウに、首を縦に振って答え。続く問いに]
私は……
ん。それは、有難い話だけれど。
[言いかけたのをまた、忘れてしまったかのように止め。新しく人の気配や声があれば、ふと廊下の方を見やった*だろうか*]
[引き戸の前で、どこか懐かしさを覚える。
けれど、具体的な記憶には結びつかない。
首を横に振っると、なれた様子で引き戸に手を掛け、無造作にがらりと開けた]
ただいまー!
……あれ。オレんちじゃないよ……な。
[自分の言葉に首を傾げて、もう一度背後を確認し──]
わぁ!!!
[大きな荷物を引きずる女性に驚いて声を*上げた*]
[言いかけて言葉を止めるフユキに首をかしげ
引き戸が開く音を聞くと、緩慢に首を玄関の方に向けて]
……誰か来た
[立ち上がり、ゆっくりと玄関へと向かう]
何か?
[疲れきった様子で尋ねる声には、僅かな抑揚しかない]
隣村に行きたいのだけれど。
[言って、右手をひねり腕時計の*文字板を見遣った*]
それじゃあ、また明日ね。バイバイ。
[友達と別れて森の中を歩きます。
木の枝を拾い藪をかきわけて進みます]
近道近道。えいっ。
[草だらけの姿で日本家屋の玄関脇にひょいと出ます]
[冷静なソラに目を丸くする。
どうやら自分を追っている人ではないようだ]
あー。びっくりした。
何でもない……よ。たぶん。
[続いてやってくるリウに小さな悲鳴を上げる]
……隣町ってどこか知ってる?
[小さな声で尋ねた]
[服についた草を手で払います]
お母さんのお客さん?
お兄さん、お姉さん、こんばんは。
お姉さん、大きな荷物ね。
[ソラの荷物を目を丸くしてみつめ、引き戸の隙間に飛び込みました**]
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