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―自室―
[起き上がり、辺りを見渡すが誰もいない]
おはよー?
[ゆっくりと四肢を動かしてから、機械のような作りの寝床を触る。
共に寝ていたぬいぐるみを胸に抱え、寝台から出て行った]
[部屋の中にあるものを次々眺めていく。
本棚、鏡台、クローゼット。
一枚の白いワンピースを取り出して、じっと見つめた]
『プレーチェ』?
[タグに書かれた文字を、“声”が読み上げたのでそれに倣った。
ワンピースに着替えたが、背中のファスナーは半ばまでしか上げられない]
りん、りん、りん。
[ぬいぐるみの鈴の音を口真似ながら部屋を出て行く]
はぁー。
[また扉を開くと、そこはビオトープ。
ぽかんと口を開けて、木々を*見上げた*]
― 部屋 ―
[並ぶ部屋の一つ。中央に腕を組んで立ち、目の前の壁をじっと見つめる、妙に背の高い男がいた]
……。
『やあ、おはようございます』
ああ、おはよう。
[聞こえる「声」に低めの声で返してから、また黙る。上向きがちだった顔を今度は俯け、ぽりぽりと頬を掻き]
……
君の名前は、何と言うのだね?
[ぽつりと呟く。すぐに首を横に振り]
ああ、順番がおかしいか。
人に名前を聞くならまず自分から、だ。
私は……
[声を途切れさせて逡巡していると、「声」は自分はカナメというのだと名乗った]
カナメ、か。
宜しく頼もう。私は、……
ええと、ああ、格好がつかないな。
君、もしや私の名前を知ってはいないかね?
……ライデン。
ライデンというのか、私は。
[思わぬ返答に瞬き、確認するよう繰り返してから]
覚えがあるような気もするし……
ないような気もするな。
ああ、いや。他に思いつく名前もないから、きっとそれで合っているのだろう。
有難う、優しい誰か……
いいや、カナメよ!
これで私は名のない生活を送らずに済んだわけだ。
[恩に着る! と腕を広げ、両手をかざすようにして宣言する。大げさな、芝居がかった言動。傍にあった椅子に腰を下ろし]
感謝ついでにもう一つ二つ聞いてもいいかね?
[背もたれによりかかり、膝を組み、足の上で両手の指を組み合わせながら]
一つ、此処は一体何処なのか。
二つ、私は何故此処にいるのか。
三つ、……この部屋に鏡はないのかね?
[声は一つ目には此処がドームの中である事を教え、二つ目には...が冷凍睡眠から目覚めたという事を伝え、三つ目には後ろを振り向いてごらんなさい、と答えた]
おお! これはいかにも……
灯台下暗し、というやつだ。
……いや、それに驚いている場合ではないな。
此処がとあるドームの中で……
私がつい先程まで冷凍睡眠――コールドスリープをしていたと? ふむ?
どうにも奇想天外な話ではないかね。
しかし……
名前すら思い出せなかったところをみると、一概には嘘と断じ難い。
知っているかね、君。
存在の証明より、不在の証明の方が難しいのだよ。
[そんな事を言いつつ立ち上がり、背後にあった鏡へと向かう。壁にぽつんとかけられているそれを、やや膝を曲げて覗き込み]
おお、我ながらなかなか色男ではないかね?
どう思う、君……
……ああ、親切だがつれないな、君は。
[それには返さない「声」に、やはり大げさに溜息を吐き、やれやれと*肩を竦めた*]
―自室―
[仰向けに小柄な少女が横たわっている。
両手を胸の上で組んで、つま先を揃えた雰囲気は、
眠りの深さや、安らかさを伺わせる。
やがて。おもむろに。
瞼が上がるにつれ、現れる黒い双眸]
――おはよう?
[目覚め。
幾度かの瞬き、子供の高い声が零れ。
続いて起きあがった上体、蒼みを帯びた前髪が流れ、
少し間をおいて眉根がよせられる。耳をかたむける風]
あなたは、どなた、ですか?
…カナメ?それがお名前ですか?
[訝りもなく問いかける口調だけれど、ほのかな照明の中に他の人影は無い。
まるで目に見えない、彼女にのみ感知できる存在――『カナメ』を示す如く
不思議な対話は続いている]
――ルリ。
それがルリのお名前ですか?
[教わった名を唇は発音して。カナメと一通り話しがなされた。
小さな足が寝台から下りたつ。
己の身体をたどった視線の先には、入院着のような服がある。
それだけでは肌寒いか、少女は、
備え付けのチェストから探し出したブランケットを羽織り、ついでに見つけたリボンで髪を括る。
かなり無造作な所作だった。
そして軽い足音が扉を出て行く*]
―自室―
[夢を見ていた気がする。時は容赦なく、人から大切な物を奪いさっていくから。大切な何かを、決して失わないように。瞳を閉じれば、いつでも美しい景色が浮かんで来るように。楽しかった日々の思い出が、いつでも思い出せるように。大切に思っていた人達と、もう一度出会ってもすぐにそれとわかるようにと。夢を見ていた気がする。夢の中で誰かが振り返った時、声は聞こえた。]
―おはよう 目を覚ましなさい―
[繰り返し見ていたあの夢は、目覚めと共に泡と消えて。忘れぬようにと見続けた夢は、聞いた事のない声にかき消されて。自身の名も、歳も、記憶も、全て失ったウシナイビト。失人の目覚めは、最悪な気分だった。]
―おはよう 気分はどう?―
最悪だ、バカ野郎。
[カナメと名乗るその声は、最低限の情報のみを語る。まずは失人がヒトという生き物である事から。生きる上で絶対必要な記憶を聞くだけで、失人はかなりの量の説明を受ける事になる。しかも、叩き起こされて不機嫌なところにだ。一通り説明を受けてやっと、カナメが失人の置かれた状況の説明に移ろうとした時。失人は最早聞く気すらなく、ただぼーっと虚空を眺めるのみになっていた。全ての説明を終えたカナメが、失人にそれを告げるまで。彼はただ、呆けていたと思う。]
―さぁ説明は終わり―
―起きなさい 行動しなさい―
[説明の終わりを告げられた失人は、解放された喜びに満たされていた。目覚めてから、六度ほど時計の音を聞いていた。座っているの、もうも限界だったから。]
長い説明、お疲れさん。
じゃぁ俺、もう一回寝るから。
今度は起こすなよ、バカ野郎。
[失人は、もう一度眠りに落ちる。しかし、あの夢を見る事は*二度とない*]
[幾人かが目覚め始めた部屋の扉が並ぶ通路。]
[ こつ こつ こつ 歩む靴音は数歩分。]
[ こつ こつ こつ 扉を叩く音は3回。]
部屋の主は、お出ででしょうか?
[控えめな声が尋ねる。しばし返答を待つ。]
[応える者があれば、他愛無く言葉を交わすために。
応える者がなければ、左手へ握る鍵を試すために。]
[扉に触れる。
指先へ無機質な冷たさが染入る――気がする。]
此処も、違いますか?
[さらりと手探りに辿る。鍵穴は見つからない。]
私の部屋では、ないのでしょうか?
[部屋の主が出てきたならそれは明らかなのに。]
[何時からこんなことを繰り返しているのか……
Knockerは疲労した様子もなく、次の扉へ歩む。]
[遠くで扉が開き――細い人影がビオトープの方へと
歩いて行くのを見た。半ばしか上がっていない背の
ファスナーを見遣っているうちに声はかけそびれたが]
あの方も、忘れてしまったのでしょうか?
[次の扉を叩こうと、鍵を握る手を持ち上げつつ呟く。]
…初めてだといい。
カナメが教えてくれるでしょう。
――…2度めにはもう、…
[ こつ こつ こつ 扉を叩く音は…呟きに*重なる*]
[夢は、見れなかった気がする。夢は記憶を整理する為の物であるから、記憶の無い失人には無縁であったから。]
―起きなさい―
[カナメの声が再び失人を目覚めさせ、やはり不機嫌に。]
俺、外に出てくる。腹が減ったから。
[カナメの声を背中に聞きながら、失人は歩き出した。]
―自室→室外―
[ひとつふたつ向こうの部屋から、扉を開けて出てくる人影。
二度寝から醒めた失人へ――Knockerは丁寧な辞儀を向ける。]
…おはようございます?
[視線は1度扉へ逸れ。其処はもう叩く必要のない扉。]
あちらに、先に目覚めた方がお出でのようですよ。
[ すう ]
[淀みなく上がる腕。ビオトープで屈み居る娘を指す。]
[ こつ こつ こつ 靴音は空気を震わせず
然し聴こえて。
Knockerは失人の背後を抜け次の扉へ向かう。]
思い出したことが真実かも、確かめられない。
[擦れ違いざまの呟きは彼に向けた其れでなく]
[然し *聴こえて*]
[すれ違った見知らぬ……のは当たり前だが、男に声をかけられてビオトープを眺める。膝を曲げ、何かを見つめる人の姿を認めた。あれは、オンナという生き物らしい。カナメがそう教えてくれた。失人は、ふらりそれに近寄ってみる。見知らぬ男は何処へやら去ったようである。]
何をしているんだい?
あり?
[声の降る方を見遣る。
すん、と鼻を鳴らして、人差し指の腹を見せた。
しかし蟻は既に吹き飛ばされている]
[鏡で己の姿を確認した後、また室内を見回した。くすんだ白色の壁に貼られた何枚かの紙。空を飛ぶ超人や派手な衣装を纏った青年が描かれている紙、中央に赤いバツマークが描かれた黒い紙、破れ掠れたそれらの絵を一望して]
君。
ふと思ったのだが、私の正体は正義の味方だったりはしないかね。
悪に改造をほどこされてしまった、というような……
あるいは逆に封じられた何か悪しきものでもあるか。
[それに「声」があしらうように返せば、眉を下げ]
……
冗談だ。そう冷たく否定しないでくれたまえ。
だが、私が何者かと聞いても……
君は答えてくれないのだから、色々と想像してしまうのも道理というものだろう。
哀れだとは思わないかね、君は――事情を知っているというなら、尚更!
今自分が使っている言葉が何という言語であるかすらわからない私を……
ああ、まるで迷い子のような気持ちだよ、私は。
[額に手をあて、ふらりとよろめいてみせる。はたと気が付いたように己の袖を見、そこから身に纏った服をざっと見て]
……改造というのは冗談としても……
これでは本当に実験体か何かのようだ。
[実験体のようでも、囚人のようでもある灰色の服。その箱を開けてごらんなさい、というカナメに、床の隅に置かれた木の箱を見やり]
着替えかね。
よもやびっくり箱などではないだろうね?
……いや、これも冗談だ。
全く、君は親切だが……
どうにも生真面目なようで困る。
[ぼやきつつも木の箱まで歩み、しゃがんでその蓋を持ち上げ横に置く。中には薄い色のシャツと黒っぽいズボン、地味な色のコートが畳んで重ねられ、その上に皮のロングブーツが置かれていた。どれも共通して大きく]
ふむ。丁度良さそうだ。
[それらに着替えると鏡を覗き、前髪を指で軽く梳いて。膝下まであるコートを前はしめないまま、マントのように翻して部屋の外へ出た]
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